「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

薄々感じていた「買いにくさ」



上玉中古車とめぐり合うのがタイヘンになってきたぞ。


 ワケあって、また中古車探しをすることになり、紆余曲折の末、またも僕はJ31ティアナの前期モノを買うことになった。そのいきさつや事情は割愛させていただくが、昨年秋にやはりティアナを探した時にも感じていた「モヤモヤ」のようなものを、今回も同様に抱くことになった。それは、圧倒的にクルマを探しにくくなったということだ。僕はそれなりに中古車ライフも長いし、キャリアも積んできたと自認している。だから選ぶ中古車は皆上玉中古車に、自然となっていく。並以下の中古車では満足しない。そして、ちょっと探せば、目を光らせていれば、上玉中古車を探し当てるだけの眼力や嗅覚のようなものは持ち合わせているつもりだった。


 しかし、前回、昨年秋のクルマ探しの時から自分の中のクルマ探しの方程式が適応できなくなってきていることを薄々感づいているのでもあった。例えば、いつものこの店にあるこの値段のタマならまず間違いない、というセオリーが通らない。明らかに中古車の質が下がっている。しかもそれは複数の店舗の在庫を見て歩く中で、一度ならず確認できた。


 今回僕が訪問したある中古車店の店員さんが話してくれた。


 「上玉中古車は今、熾烈な奪い合いです」


 なぜそんな事が起こっているのか。理由の一つはクルマそのものの台数が減少しているから。少子化やクルマ離れが進んで、中古車の母数そのものが大きく減っているという、社会的な情勢がここに来て上玉中古車そのものの数も同時に減らしている。しかも減っている上に、例えばディーラー下取りで入庫したタマは以前よりはるかに厳格に「ザル」にかけられて、希少となった上玉中古車はまず高い確率でディーラー系中古車店に置かれ、それはかなりの回転率でハケていくことになるから、遭遇率はどんどん低くなると。道理でいつもの「アノ店」(非ディーラー系)と目をつけていた店の品質が下がっているわけだ。上玉中古車は市場に流れ出しにくくなっている。


 ちなみに、例えばワンオーナー記録簿でしかも禁煙、みたいな使い方をするユーザーのほとんどは次のクルマもまたディーラーで新車を購入するから当然下取りに出す。よほど下取り条件が合わないなどして買取店に流出することがあったとしてもそれはごく稀なことだろう。上玉下取り車とともに新車商談をすれば、それはやはり新車営業も良い条件を出しやすくなる。すると当然のように上玉下取り車は、やはり市場には出にくくなる。


 5年も前ならまだまだ上玉中古車というのは選り取りミドリだった。下取りも、ディーラーで条件が合わなければ一般の買取店や中古車店に持ち込んでより良い条件を引き出すことも可能だったから、上玉は市場にたくさん流れた。それも今や社会情勢や中古車市場の状況、潮目も変化し、以前通りのクルマ選びでは満足な個体にめぐり合うことが難しくなったというわけだ。これがなんとなく感じていた「買いにくさ」の正体だったのである。


 しかし、くだんの中古車店の店員さんは続ける。


 「それと、やはりクルマそのものを大事にしなくなっている気がしますよね」


 僕なんかはキレイなクルマに乗っているということが、「自分を表す鏡」みたいに思っているようなところがあるから、クルマをいたわる、大事にするというのはけっこう生活の中でもプライオリティが高い。しかし、世の中クルマどころではないのだろう。満足な給与を得ることも難しく、苦しい生活の中でクルマというモノの順位はどんどん下がっていくことになる、それも無理からぬところだろうと思う。多少傷がつこうが構わなかったり、大事に、キレイに維持しようという意識は薄くなっていく。しかし本当は、苦しい時こそ、こういう部分のクォリティを保たなければ本当に「心が貧しくなってしまう」のだけれどね。


 別の、ディーラー系中古車店の店員さんからも以前聞いたことがある。


 「いやぁ、最近ホント、並べられるクルマがないんですよ!」


 下取りで入ってくるクルマは山ほどあるけれど、その中から、ディーラー系店舗として自信を持って並べられるコンディションのタマがなかなか無い、という。この発言も先の「クルマを大事にしなくなってきている」という説を裏付けている。上玉中古車をある意味必須条件とするディーラー系中古車店でも、タマの確保に苦労をしているというありさま。こいつは世の中クルマ選び(中古車選び)も難しいことになってきたぞ、と。


 世の中は変化している。明らかにクルマを、中古車を取り巻く事情は悪化し、その向こうに生活の困窮や人心の荒廃のようなものが透けて見えてくるような気がして、ちょっとやりきれない思いがした。しかし、その状況を変えるのは、政治でも総理大臣でもないと僕は思っている。事実として僕は今回上玉中古車をゲットすることに成功した。ちゃんとクルマを維持して大事に乗っている人は、数少ないけれど、確実にいるからこそこうして出会えた。クルマを大事にするというのは、持ち主としての心の持ちようであり、心がけであり、意識一つの問題。上玉中古車との遭遇率が減少するその理由は、それは世の中のせいとか貧しいせいとか理由付けはそれなりにできるが、でもそれは単に、人々が「不況に負けているだけ」じゃないかと、僕は思った。



 で。今回僕が購入したのは。



・平成15年6月登録、日産ティアナ230JK、某日産系中古車店で購入
・走行4.6万キロ、禁煙ワンオーナー屋根付き車庫保管、当然記録簿完備の無事故車
・ナビなし⇒使えねえ純正ナビ(マルチ)は無くてよろしい(前のティアナはナビ有り)
・モダンリビング度が若干低い非スエード内装⇒摩耗を気にしなくてよく、むしろ清々しい
・純正セキュリティ、Pガラス、フロントフォグランプ、ETCなどの実用品(純正OP)完備
・要加修ポイント(再塗装レベル)はあるが、少々の追い金ですべて対応
・タイア新品(ダンロップ)⇒前回ミシュランを付けてもらったがこれが相性が悪かった
・長期保証付き⇒一般中古車店ではまず3ヶ月ついていい方ね
・ヘッドライトがくすんでいない⇒保管の良さが伺えます



 と、いうわけで、これです。






 ティアナというクルマ自体はかなり気に入っています。ラクチンで上品で控えめ。上玉率も高いから、この世の中だけど比較的探しやすいというのもある。ワンオーナー物だったら中年以上の人が大事に大事に乗っている確率高い。でもツーオーナー以上だと、勘違い小僧が安く買える”VIPカー”とかで手荒な扱いを受けている可能性が高いので要注意。故にちゃんと履歴は確認したほうがいいに決まってます。僕のこの個体は13年オチの4.6万キロだけど、ずっと止まっていた個体ではなく、コンスタントに距離を伸ばし、適宜ディーラーでの手厚い整備を受けてきた履歴もあり、まずは安心して買える個体だったわけです。



 納車が待ち遠しいですね。





2016.8.2
前田恵祐

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