「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

Z20ソアラ vs F31レパード


 初代レパードでソアラに遅れを取ったと認識した日産はその初代ソアラを標的に二代目レパードたるF31レパードを開発した。しかしそのF31レパードが相まみえる二代目、Z20ソアラは初代ソアラから大きく進化して登場するのは、ある意味当然といえば当然のことで、当時もF31レパードの目標の読み違いを指摘する声が大半だった。その実、レパードはソアラに大敗を喫する。ソアラは強力なターボエンジンに豪奢な内外装、美しくシェイプされたフォルムで、バブル紳士の必須アイテムとなった。




  その華々しい立ち居振る舞いに対し、負け犬となったレパードが当時どれだけ分が悪かったことか。しかしクルマ単体で見ればVG30DEのフィーリングの良さや足廻りの素直さなど、クルマとしての素性は決して悪くないというのが当時の評判で、さらにレパードにとって思ってもみない追い風となったのはドラマ「あぶない刑事」に起用されたことだろう。あの金色のレパードは柴田恭兵のドライブで派手なカーアクションを披露しこのドラマに欠かせない出演「車」となっていった。


 バブルの終焉と共にソアラの人気は瞬く間に落ちて行く。後に続くニューモデルもいまひとつユーザーのハートを捉えることが出来なかったこともあり、20ソアラほどの人気を得ることは出来なかった。しかしそれはレパードも同じことで、F31の次に来たレパードJフェリーはまったくキャラクターの異なる4ドアサルーンであり、F31を支持した者をはっきりと切り捨てる政策を採った。


 あれから27年という時間が流れ、改めてZ20ソアラ、F31レパードの取り扱われ方を見てみると、バブルの終焉と共にシュリンクしたソアラ人気と、あぶ刑事人気に推され、むしろ中古車になってからプレステージを上げたレパードが、ほぼ拮抗しているように見えるのが面白い。ちなみにソアラは発売当初にプラモデルがキット化され、レパードは中古車になってからキット化されている。しかも2009年には敢えて前期型を新金型で新規キット化されているという事実もあり、そんなあたりにも、それぞれに人気の高まり方が異なることが見て取れる。




 それぞれに熱心なファンがあり、状態の良いモノが減少してゆく中、いかに美しく「維持」していくかという、クラシックカーとしていたって正統な取り扱いに推移している。ソアラは数が出ただけ当たり外れも多く、レパードは希少性から大事に扱われた個体が多いように思える。私から見れば、どちらもその時代を色濃く内包するタイムカプセルとして貴重な存在だと思う。どちらが良い悪いではなく、どちらもそれぞれに魅力があり、ダブルウイッシュボーンかセミトレーリングアームかの違いなどもはや大したことではない。


 しかし、今こうしてみると、クーペとしての本来的な美しさ、エレガンスを生来持ち合わせていたのは、ソアラを横目で見ながらも苦戦していたレパードの方だったように思う。ソアラは今見ると「ああバブルだな」という感じだが、レパードは元々フケていたから実際にフケてもそんなに印象が変わらない苦労人のようなふぜいだ。


 中古車になってみないとわからない「魅力」があるということを、この二車を見ているとよく理解できる。だからこそ中古車を積極的に選ぶ理由も生まれるし、新車時の印象だけでは判断できない要素もたくさんある。そう考えると車の見方にも幅が生まれて面白いではないか。





前田恵祐

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