「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

Monthly Talk 201208


01 Aug 2012

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 ある日、実家で雨漏りがするようになった。もう築30年近い家で建物としての資産価値はゼロ、建物付の土地として購入してそこに10年前から住んでいる。むろん購入時に建物のリフォームはやった。その時にも雨漏りの修理はしていたはずである。ところがまた漏れてきた。ま、経年劣化なんだろう。


 工務店に早速見積もりをとる。すると屋根の全葺き替えで160万円也の金額が出てきた。新車一台買えてしまう。しかもご丁寧に備考欄には「現在他の案件で同様の施工を行なっているからここまで安く出来た、資材高騰のため今月発注を逃すと来月以降の価格の保証は出来かねる」とまで書いてある。僕は思う、「これからあと20年30年と住み続ける家ならまだしも、既に30年も経っている建物にそこまでかける必要はあるのか」と。さすがに僕は噛み付いた。このキモチ悪い見積書に。


 その工務店とは数箇所の人脈から複雑に関わりのある付き合いで、長らくそこに全てを依頼してきた。田舎地元で幅を利かせている不動産屋との強いつながりに加え、じつは家族が以前勤めていたやはり田舎地元企業の社長と同級生でナカヨシでもある。つまりそういう人脈。しかしとりあえずそこしかない(と実家は思っている)から依頼をしようとする。つまりウチの実家のモノを見る目のなさが、この時点で即座にアイミツをとらないところからもわかってしまうんだが。あんな見積もりを送りつけられる時点で、バカにされすぎ。


 とにかくアイミツだ。そう思ったときに僕の頭にはある人物の顔が既に思い浮かんでいた。いつも世話になっている鈑金屋の専務である。彼はクルマの鈑金屋で家の修理はやらない。そんなことは百もわかりきっている。僕が思ったのは、彼の人脈なら間違いないだろう、という読みだった。そもそも彼は人間が出来ている。腰が低く常に謙虚だ。数々の中古車ショップから信頼されているだけでなく、ディーラーの仕事も自分の足で勝ち取ってくるような、専務はそんな人。趣味はマラソン、トレッキング。実際問題、間違いのない仕事をするし、そして間違いのない「人脈」を、彼なら持っているだろうと僕は察した。


 さっそく専務に連絡を取ると、そういう知り合いなら居ないでもないですよ、という。親子二代続いている工務店だが、父親から息子に引き継ぐ時には、あからさまな世襲を嫌い会社名を改めてまで再出発をした、という経緯もあるらしい。そんなあたりに健全さを感じる。ひとまずそこの連絡先を伺って、後日実家はその会社に見積もりを依頼した。するとすぐに社員を派遣してくれて実際に雨が漏れている箇所の損傷具合の確認と工事の規模、工程などを具体的かつ丁寧に説明してくれたと言う。ちなみに、例の最初に160万を言って来た工務店は現場を見もせずにいきなりあのファックスを送りつけてきただけである。この違いは天と地ほどにはあるまいか。


 して、やはりというべきか、全葺き替えの必要はなく部分補修で乗り切れるレベルであるらしく、提示金額はその半分以下。即依頼したのは言うまでもない。


 田舎の商売というのはこういうものだ。むろん前者の工務店のことだ。信用というより癒着、人脈というより馴れ合いに近い体質で暴利を貪る、あるいは貪りあうことでお互い成り立っているキモチ悪い関係。それは同時に、世間に揉まれていない者、あるいはそれを避け拒んで来た者特有の傲慢さであり怠慢だ。


 そこに切り込んでいった僕という人間を「揉まれた人間、出来た人間」というつもりはないし、鈑金屋の優れた人脈を見抜いた手柄を自慢したいわけでもないが、ここに見えるのは、信用の失い方と勝ち取り方の一つのカタチだと思うのだが、いかがか。










前田恵祐


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