「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。

Monthly Talk/01 Jul 2016



 勝負というのは、「負け方」というのが大事なんじゃないかと最近になって思うようになってきた。勝負というのは、そもそも「勝つ」ために挑むものではあるけれど、その「勝利」に立ち向かうために「負け方」を知っているのといないのとでは大きく違うのではないかと思うのだ。


 勝つと気持ちがいいし、世の中では勝つことを良しとしている。だから勝つことしか、勝ったときのことしか考えないし、負けは醜いものという精神構造もあるのではないだろうか。たしかに勝ったほうがいいに決まっている。けれども負けるのが怖いからおいそれと勝負には挑めないという人もいるかも知れない。ところが、もし、負けが怖くなかったとしたらどうだろう。


 「勝つことしか考えない」というのは、一見とても集中力が高そうな状態に思えるが、私はそうでもないと思う。勝ったときのことしか考えないようにする、ということは、じつは負ける恐怖と常に戦う事になるのではないだろうか。この負けた時の恐怖が襲ってきて勝利への集中力がかき乱されるとしたらそれは大きな損失になる。中には負けのことをまったく意識から除外できるスーパーマンのような人もいるのかもしれないが、少なくとも私はそうではないし、多くの人もまた同様ではないだろうか。


 だったら、負けを「恐怖」にしなければいいだけのこと。「恐怖」にならない負け方というものを知っておくことが大事だと言いたいのだ。


 簡単に言えば心の準備なのだと思う。どう負けるか、あるいは負けた時にどのように気持ちの整理をつけるか。その方策さえわきまえていれば負けが怖くなくなる、少なくとも心のダメージは最小にすることができるのではないだろうか。そうすれば敗戦処理にもきちんとエネルギーを傾けることができるし、それ以前に、安心して勝負に集中し挑めるようになるんじゃないだろうか。いい状態で勝負に挑めるようになる、いわゆるひとつの「リスクマネージメント」みたいなものなのだと思う。勝つための。


 「負けて爽やか」という負け方は一つの理想形だと思う。そうだとしたときに、どうすれば負けてなお爽やかでいられるのか、ということを考えたい。ここで言いたいのは、負けてもやせ我慢して無理に笑顔を作るような負け方ではない。本当の意味で爽やかな笑顔とともに敗北を受け入れられる負け方。悔いを残さない負け方。


 では何をどれだけやり尽くせば「悔い」は残らないのか・・・それは人それぞれだと思う。身の程を知ること、勝利への道筋、地図を持つこと、現実的な計画を持つこと・・・ま、このあたりはそこいらの自己啓発本にいくらでも書かれているようなことだろうから端折ることにするが、とにかく目的意識とプロセスを明確に持つことが重要。その上で思い残すことなく思い切り計画を遂行していけばいい。負けて諦めがつくくらい、本気で一所懸命にやる、これに尽きると思う。それくらいの気概であなたは日々を送っているだろうか。


 その気概や覚悟、「負け」への分別をもってすれば、むしろ勝負に対してしっかりと腰を据えて、邪念にかき乱されることなく挑み臨んでいくことができるのではないだろうか。勝負とは結果がはっきり白か黒かで出るから恐怖を感じる面もあると思う。しかし気持ちの整理をつけ、計画性を持ち、負けたときのことさえもきちんと視野に入れて挑めば勝負も怖くない、そうは思えないだろうか。


 人生には、じつは勝負の連続だと思う。私も負けるのが怖くてこれまでの人生で勝負となるようなシチュエーションをずっと避けてきたという事実がある。「あの時こうしていれば」と思うようなこともあるし、たくさんの後悔の念に苛まれたこともあった。時間が経って知恵がついた今だからこそ「あの時こうしておけば」的な後悔というものが生まれる。しかしその後悔をできるだけ生まない生き方をするためには、本当にその時々に下す判断がベストなのかという洞察と検証がその瞬間に必要になってくる思う。これが生きていく上での「本気度」のようなものではないだろうか。


 そして、その「本気」を携えて生きればこそ、負けてなお爽やか、なおかつ勝負そのもの、ひいては人生そのものにも存分に集中力を発揮していくことができるようになる、そんなふうにも思えるようになってきたのだが、いかがだろうか。





2016.6.30
前田恵祐

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