「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

小林彰太郎さん


おくやみ (2013.10)
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 カーグラフィック誌初代編集長を務められ自動車ジャーナリズムの草分けとして長きに渡り御活躍された、小林彰太郎さんが亡くなりました。数年前からお加減が優れず、酸素吸入をしながら生活をされていたことは存じておりましたが、それでも矍鑠とし、旅立たれる前日もトークショーに出演されるなど、第一線に君臨され続けたバイタリティはまさにお手本というほかありませんでした。いつかこのような日が来るのだろうとは思っていましたが、大変残念なことです。


 博い知識と寛い心、そして常に確かな眼差しがあり、それが小林さんの大きなご人格として読む者の心を打つ、素晴らしい世界観がありました。その哲学を一代にして作り上げ、誰もが認めるジャーナリストとして発信し続けてこられた功績は計り知れません。


 小林さんの文章は、とても優しい。優しく身体に染み込んでくる、体温のようなものを感じさせました。それは自動車という共通語があったからではなく、執筆者としての人格、魅力がそこに投影され、詰まっていたからに他ならないと思う。このような書き手は私は他に知りません。


 私と小林さんの出会いは、1984年。私は小学4年、そして私の生涯で唯一無二と呼べる「愛車」、ランチア・テーマ登場時の現地インプレッションでした。私は小林さんの言葉でランチア・テーマを知り、手放してなおこの他に愛車と呼べるクルマはないと思えるほど魅了され続けて今にあります。そしてそれは同時に私にとっての「自動車批評との出会い」であったことは言うまでもありません。


 時間というのは冷酷なものです。しかし小林さんは私達に多くのものを、有形無形で残してくださいました。その示唆に富んだ遺産を、私達は継承し、自動車ジャーナリズムという世界をより正しく、豊かなものにしていく義務があると思います。それが小林さんへのお別れの言葉です。



 小林彰太郎さん、どうぞ安らかに。






2013.10.29
前田恵祐



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