「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#013 大きく重く、時代にそぐわない

日産・フェアレディZ 試乗インプレッション(2009.7)

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~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 量産スポーツカーとして主に北米で認められたブランド。クルマ作りにおいても北米市場の嗜好を取り入れたものとなっており、それは歴代通ずるこのクルマのキャラクターである。スポーツカーと一言に言っても様々な特徴や好みがあり、それぞれに意見のあるところだが、スーパーカーをひとつの頂点とするならこのクルマはより現実的で身近なスポーツカーといえると思う。



 概観



 旧Zの印象を残しつつS30や130をイメージさせるような意匠を各部に取りいれている。サイズ的には旧モデルより100ミリ短縮されたホイールベースがハイライト。しかし幅は1845ミリもある。元々小さい方ではなく、ミドル級とヘビー級の間くらいのクルマだが、個人的にはもう少しシェイプした方がよりスポーツカーらしいと思う。




 リアはポルシェのような雰囲気もある。




 旧モデルにはなかったウエストラインの陰影がおわかりだろうか。



インテリア

 プラスチックが多用されていた旧モデルに対し、ドアパネルにきちんと布をあしらったり、コンソールには立体的な造形を用いるなどしている。Zの伝統、センターの3眼メーターも健在。太目のグリップを持つステアリングホイールの向こうに視認性に優れたアナログメーター。回転計がセンターの配置である。




 シートのすわり心地は見た目ほどのタイトさを感じない。それは良い意味で捉えるべきで、このクルマはスポーツカーでありながら乗り込んだ瞬間に無用な緊張を強いないということが美点のひとつになっているからだ。スポーツカーだが窮屈には感じず、視界も優れ、つまり普段使いにもまったくストレスがない。落ち着いたオレンジ(明るい茶色?)のカラーも魅力的だ。バージョンSTでは他にグレーと黒がある。




 しかし大人が所有するなら後席があったほうがいいと思う。それならスカイラインクーペを、と案内されそうだが、Zでなければダメなのだ、と思う人は少なくないはずだ。Z32はよかった。あれは後席があったから。という話は一度のみならず聞こえてくる。子供用にも手荷物置き場にもちょうどいいのだ。




 トランクルーム。



動力性能

 VQ37エンジンは336馬力。基本的にはスカイラインクーペに使われているものと同じ。静かで滑らか、そしてとても力強い。低速域での柔軟性(日常性)はこの排気量、余裕からして当然としても、回して使ってもきちんと追随する強かさがある。故に、このクルマにぴったりなのだが、しいていうならスポーツカーらしい切れ味とかシャープさ、ドキドキするような音や演出はやや手薄。




 試乗車のトランスミッションはシンクロレブコントロール付きの6段マニュアル。しかし本当に6段も必要なんだろうかというくらいエンジンには柔軟性があり優秀。それはさておき、シフトレバーは短め。軽いタッチで正確に操作が決まる。シンクロレブコントロールはダウンシフトするとシフトレバーの操作を感知してエンジンを勝手に吹かしてくれるというもので、なかなか便利ではあったが、同時にマニュアル車ならではの運転の楽しみは半減すると言っておこう。どうせだったらクラッチペダルもなくしてしまえばいいものを。




 人間が判断して主体性を持ち操作執行する、ということが、自動車におけるスポーツあるいはスポーティの大原則ではなかっただろうか。



足回り

 フラットで引き締まった、スポーティというより快適な乗り心地。これこそがこのクルマのなんたるかを物語っている。スポーツカーだからといってほとんど身構えることなくなく日々使用できる。それは無用な緊張や疲労を強いず、親近感のあるスポーツカーという立ち位置である。




 スポーツカーとしてみると、例えばステアリングからはもっと路面の情報が伝わってきてほしいし、多少振動や騒音に目をつむっても身体でグリップを感じたかったりもする。そしてもっと身軽であってほしい。このクルマでトバすと、大きなエンジンで重いものを太いタイアをゴワゴワさせながら「どっこらしょ」力任せにいく、というイメージの走りになっていくのである。


まとめ

 旧Z33の進化型としてみれば、まとめとして4つ星にしてもよかったかもしれない。しかし、この大排気量の重量級スポーツというのはちょっと時代遅れではないだろうか。昔のZは大きくても3リッターであった。その前は2.8で、その前は2.4でも充分成立させていた。スポーツカーは身軽で、身体になじむくらいの大きさがいい。必要ならその上で快適性を身に着ければいい。自動車という商品が大きな曲がり角に来ているところで、スポーツカーにはより深刻な問題が突きつけられているはずだ。今のままでは大きすぎるし重すぎる。燃費もよくしなければ。


 Zは自らが日本のスポーツカーのリーダーだと自負するなら、率先して次世代のスポーツカー像を提唱してほしい。



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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。











前田恵祐


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