「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#014 ラテン快楽主義

ALFA155 V6 思い出しながら、試乗インプレッション(2009.7)
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~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 さて今回は【短評】特別編、15年前に初めて乗った「アルファロメオ」の記憶を辿りながら、【短評】のフォーマットに従って書き進めたいと思います。



 概観

 いうなればP10プリメーラのようなサイズである。取り回しのよいサイズに寛い室内と荷室が組み合わされた実用的な小型サルーン。日本ではやはりこれくらいがいい。前期型は5ナンバー、後期型はワイドフェンダーになって3ナンバー。




 これV6ではないですね。


 アルファ155のデザインソースは同時期にアルファロメオの旗艦であった164であり、それをさらに凝縮しトンガらせたような格好。SZ(ES30)の要素も盛り込まれていると思う。




 もともとはフィアット・テムプラであり、ランチア・デドラでもあるわけだが、それはスクリーン越しのシルエットで見ると近似性があると理解できるだろう。しかし実物を並べるとこうも「違う」ものが出来上がるのがすごい。


 機能的であり個性的、そして美しく各部を処理してある。イタ車の真骨頂である。



インテリア

 当時としてはキャビンを最大限に寸法取りするパッケージングのため前後とも広く、フロアも効果的にスペースを稼いでいるから足元も広い。この時代、このクラスとしてはの話しだ。天井も高く上に向かうに従って絞り込みをキツくはしていないから頭の周囲も広いと感じる。座面は比較的高めで、足は膝下をストンと下ろすようになる。自然な姿勢である。




 ダッシュボードの形状は無機質で当時としてのモダンといえたが、機能性も高く、例えばメーターパネルやスイッチの角度や大きさ、配置など、触れてみるとじつによく考えられていて、直感的な操作に応じることを旨としていることがわかる。


 インテリアトリムには数種類あり、日本仕様で一般的なスポーツシートがあれば、ベロアとウッドという組み合わせもある。本国にはカラーも数種類選べ好みの仕立てを所有する楽しみがあったが日本仕様はごく限られていた。



動力性能

 ここでいう動力性能とは加速性能ではなく、どちらかというと「快楽性能」である。筆者が乗ったのは後期の2.5V6エンジン。トランスミッションは言うまでもなく5段マニュアルで左ハンドルだった。155には左ハンドルしかなかったのだ。


 この2.5V6エンジンが最高だった。ブラボーでありグッドでありトレビアンである(1992年F1総集編より引用)。スムースかつ正確な動作のクラッチはボトムエンドの柔軟性に富んだエンジンにも助けられ短時間に理想的なミートを完了する。そこからは一気に広がる悦楽の世界。


 敏感でありながら柔軟。軽やかに立ち上がるだけでなく滑らかでもあり、切れ味鋭く、やがて官能のフォルテシモへ。極上のオペラに酔いしれる。




 これ惜しいです。スポルティバだけどQ4らしいです。


 5段マニュアルのレバーは決して短いほうではないが動作はスムース。柔らかく軽いタッチで確実に決まり、そしてなによりタイミングが取りやすく綺麗にドライブできる。ギアはクロスしており繋がりがいい。エンジンはつねに「回せ、回せ」と言ってくる。だからこのシフトワークを楽しまない手はまったくないのだ。


 このおおよそ「鉄の塊」が奏でるものとは思えない極上の触感。この道の先にはきっとマラネロがあるんであろうな、世田谷の夜道で呟いた。



足回り

 ボディ剛性に関していろいろ言われることの多いイタ車ではあるが、試乗した155V6の後期に関してはそれほど気にならなかった。というか、当時の愛車がヤワな車体で有名だったランチア・テーマだったから、というのもあるかもしれない。


 それでも、足回りはしなやかなほうで、凹凸を「自分の足」のように吸収し、同時に路面の感覚をかなり明瞭に伝えてくる、というか、感覚的に自然で、やっぱり「自分の足」で歩いているような感覚、と表現するのがもっとも近い。機械を介在していながらこの感覚。エンジンについても同じだが、このクルマの言語はヒトの言語に近いのだと思った。


 そういうわけで実際にはピレリの45、16インチを履いていたりして乗り心地や快適性には不利でありながら、まったく不快には思えない。これはなんとも不思議なことだった。


 V6の重いエンジンを鼻先に積むためフロントヘビーを感じる。確かにコーナーでは思ったより大回りするケースもあるだろう。しかしそんなことはどうでもよく、大回りしそうになったらハンドルと切り増せばいいのだ。そしてそうならないように充分な減速とフロントへの荷重移動をおこなってからコーナーに入れば済むだけのこと。それだけのことだ。



まとめ

 なにより素晴らしいのは、この実用的な小型サルーンでありながら無類の官能性能をも具有し、日常の使用にもなんら身構えさせることなくすんなりと普通にも走り、時には心置きなく「歌わせる」ことができる。それはつまり、美人で(155はあんまり美人系じゃないが)料理や家事も手際よくこなし話してみればとても楽しい、という理想の女性像みたいなものだ。



 そんな人に出会ったら即プロポーズである。






 アルファ155 V6の日本仕様はこんな感じ。

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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。















前田恵祐


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