「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#027 フレンチ・スポーツ・ツアラー

プジョー207GTi  試乗インプレッション(2009.9)
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~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 以前207GTに試乗したことがある。なかなかの完成度でエンジンや足回りもうまく仕上がっていた。その時の経験を元に、もう一つ上のGTiに試乗した。



概観


 あまり大きくなりすぎてほしくない、というのは筆者の願い。せめて旧206くらいのサイズで。人はそんなに大型化していないし、載せる荷物だってそんなには増えていない。サイズ設定には見切りと節度を持って臨んでもらいたい。




 イノシシ系(?)のフロントデザインは、昨今の歩行者保護の観点から全体のフォルムを丸めてある関係で印象的なデザインがしにくいことの反動。やりすぎ。ピニンファリーナ時代、切れ長の瞳、端麗なマスクがとてもクールでよかったのに。



インテリア



 ガラスエリアが大きくアイポイントに対してウインドウの下端の線が低めだからさらに開放感があり、眺めがいい。フランスはこういうところの演出がうまい。他グレードにあるガラスルーフを備えたものなら日本の四季の移ろいとともに走ることが出来よう。207GTに乗ったのは数年前の春先だったが、ガラスルーフに大写しになった満開のサクラは見事だった。ダッシュボードのデザインはあまり凝っておらず、機能もシンプル、かつ直感的にまとめてあり良心的。




 GTi専用のレカロのようなシートのかけ心地は、じつはソフトで、クッションの絶妙な弾力で乗員を支え、同時にその弾力にも耐久性があるから時間と共に沈んでいくこともなく、これがなんとも快適。他グレードのシートはやや硬めだが、絶妙にフィットしてこれもじつに塩梅がよろしい。良い乗り心地の助けにもなっている。



エンジン/トランスミッション

 BMW系となったエンジン。ミニや116iと共通性のあるものだがその性格ははっきりと異なっていて、こちらのほうがずっと静かで滑らかに回り、高級車のような感覚を持っている。BMWやミニに載るものは積極的にメカニカルノイズを聞かせ、シャープに、スポーティに回る。3000rpm以降の豊かで伸びやかなターボカーらしいパワーと加速が魅力。だがボトムエンドのトルクはもう少し頑張りたい。試乗車はまだ走行400kmとおろしたてではあったが、にしても、GTiというグレードの性質に対してちょっとお上品過ぎる気はする。




 5段マニュアルの操作感はスムーズで柔らかく、同時にゲートも正確で扱いやすい。この点もスポーツ車というより高級車のそれを連想させる。レバーは長いが、多少なりとも長さがあったほうがシフト操作のリズムや間合いを図りやすく、スムーズな運転にもつながりやすい。また、そのほうがクルマを傷めない。



足回り

 しなやかに凹凸を吸収してくれる豊かなストロークと許容量をもち軽やかながら、それでもなお、敢えて締め上げてあるという印象。うまくまとめてある。しなやかだがゴリッと食いつくしたたかさ、そして丁寧にチェックされた姿勢変化とその過程など、プジョーのスポーツモデルらしいバランス感覚と仕上がりを得ている。ただ、個人的なことを言えば、以前乗ったGTのしなやかさとフラットさの高いバランスのほうが好き。




 ハンドルからは路面の情報量は他グレードより多く伝わるが、かといって目を見張るほどダイレクトでもクイックでもない。残念ながらタイアのグリップが勝っていてステアリング系統の剛性が相対的に低く感じられる。GTでは感じられなかったことだ。こうしたモデルはよりエンスージャストの度合いが高まるから、チェックはさらに厳しく、やるなら徹底的に。ブレーキはややオーバーサーボ。



まとめ

 207シリーズの他のグレードからフランス車、プジョー車の魅力を存分に味わうことが出来る、それは間違いない。その中でこのGTiグレードはトップオブレンジで、もっとも走りを追求したものとされているのだが・・・


 確かにひとつひとつの仕上がりは悪くない。しかしよりスパルタンにスポーツグレードを行きたいならさらに割り切ってアシを硬めてクイックに立ち回れたほうがいいし、エンジンももっとピーキーであっていい。あるいは、GTの延長線上として高級エクスクルーシヴで行くならもっと快適に、静かに、贅沢に、同時に速く、と、進むべき方向性や色分け、あるいはより明瞭な性格付けがあったはずだ。でなければGTとの違いを見出しにくい。


 筆者なら優れたトータルバランスを持つGTを採る。ただこのGTiのドライビングシートはとてもいい。GTにオプションでつけられたらいいのに。また、GTもGTiも、5ドアがあると家族持ちのエンスーにとってさらに有力な選択肢になるはずだ。



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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。









前田恵祐


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