「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#034 ヨロヨロDESIGN

ランチア・イプシロン MOMO DESIGN 1.2-16v  試乗インプレッション
(2006試乗、2009.11上梓)

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~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 2006年、春一番に乗ってイタリアからやってきたランチア・イプシロンの変り種、MOMO DESIGNの名を冠したコラボレーションモデルに乗った。(2006年試乗分より)



 概観

 基本的にはフィアット・プントの2代目をベースにしていて、スタイリングにはやはりプントの姿が見え隠れするが、ディアロゴスやテージス、リブラあたりの流れを汲んでクラッシィな仕上がりを得ている。それにしてもこの色合いである。乗るときのファッションを考えさせられる。というか、これに相応しい服装を僕は持ってません(笑)




 ウエストラインより上はつや消し黒。ワックスをかけるとどうなるんだろう。聞けば同じMOMO DESIGNの二輪用ヘルメットが同じようなカラリングをもっているらしい。おしりが丸くなったキャビンはたしかにヘルメットっぽい(?)




 ビミョーに曲がってます(笑)。決して「ヨロヨロDESIGN」ではありません。



インテリア

 ランチアお得意の革やアルカンタラではなく、もっとカジュアルなニットを使っている。色も外観に合わせていて、またそれぞれにあわせた数種類をそろえている。かつてのランチアY10にはミッソーニとのコラボレートなんかがあったりした。懐かしい。




 ハンドルやシフトノブはMOMO製品ではなく、デザイン上ふつうのランチアと同じ。せっかくだから懐かしのヴェローチェ・レーシングでも取り付けてくれたらいいのに。


 広さに関してはあくまでも前席優先。これは都会で乗られるパーソナルカーだからそれでいいという考えだろう。ある程度のタイトさがあって初めて「個室」の雰囲気が得られるというものだ。



エンジン/トランスミッション

 実はこのクルマの最大のみどころはエンジンであり、適切に区切られた5段マニュアルで駆る爽快この上ない走りにある。


 1.2リッター16Vエンジンはプントのそれと同じ。個人的に知っているCVTと組み合わされたものは、それはそれで全域で扱いやすく燃費も良いと、良く出来た実用エンジンという認識だった。これが5段マニュアルになってこうも印象が異なるのかというくらいスポーティ。ボトムはたしかにトルクの薄さを感じるが、一旦走り始めてさえしまえば軽快に回転を上げ、同時に澄んだ美声で高らかに歌うのである。


 しかも5段ギアボックスのギアリングがまたいい。つまりシフトチェンジしたときの回転のつながり、同調がとてもいいのだ。ましてやリモートコントロールのギアレバーはそれでもスムーズであり、やわらかく、同時に正確な操作フィーリングをもっている逸品。これで運転が楽しくならないわけがない。


 ちなみに、同じイプシロンの1.4もマニュアルで試したことがあるが、極低速域での扱いやすさで1.4が多少勝るものの、1.2の、この気持ちよさにはかなわないと思った。「イタフラはより小排気量をマニュアルで乗るべし」、の、定説は生きていた。



足回り

 路面を優しく撫でるようにコンタクトするタイアの触感を感じながら、ハンドルの切り始めからゆったりとしたロールの発生、コーナーリング中の姿勢や過渡特性の掴みやすさ、正確で信頼感あるハンドルなどから、軽快でありながら滑らかで美しくしなやかな線形を描いて曲がっていけていることに満足できるだろう。イタリア車にありがちなエネルギッシュに飛び回る感覚とは異なって、ハンドリングひとつ取ってもエレガンスという概念を忘れないのは、さすがランチアと思わせる。



まとめ

 2代目イプシロンは、男の子にとってはややフェミニンにすぎるところが難点といえば難点。女の子の方がやっぱりずっとしっくりくる。イタリア人をはじめ、ガイジンのイケメン男ならまだしも、もろ日本男児のアタマでっかち短足男のボクにはどうも腰が引けてね・・・(笑。そんな声が多少は本国にもあったと見えてこのような(男性的な)仕立てのものを出してきた。それにしたって服は選ぶし、ということは乗り手を選ぶということでもある。クルマ負けなんていう無粋な真似はできない。


 そんな装いはさておき、ではすぐれた乗り味をもって、例えば筆者のような運転好き、イタ車好きが買うかと問われれば、そうですね、候補には入るかもしれない。すくなくともBMWミニクーパーあたりとはいい勝負、いやむしろ乗り味の良さ、ブランド力、希少性でこちらが優勢・・・でもなんか最近のランチアはヤリスギなんだよなぁ・・・テーマが元相棒だった筆者としては。


 これ見よがしなオシャレより、さりげないオシャレのほうが、もっとオシャレだと思いませんか?



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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。








前田恵祐


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