「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#037 思い切りパーソナルに

日産 フーガ 250GT Type P 試乗インプレッション(2009.12)
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~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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概観

 高級車にしては合理的なスタイリングだった先代から比べると、実は180度考え方が変わっている。流麗なウエストライン、抑揚の効いたプロポーション。長いノーズに短いキャビン。切れ長な目もいい。古典的なGTカーのフォルムを持っている。といってあからさまに過去のモチーフに助けを求めるでなし、充分にモダーン、今の時代なりにセンス良く消化している。どこかマセラティ・クワトロポルテを想像させるのはご愛嬌としても、実に大胆にやってきたなと思う。




 全幅は広がったがミラーtoミラーに変わりはなかったり、ドライバーズシートからフェンダーの峰が視認できるなど、運転のしやすさにも可能な限りの配慮が見られる。前後の絞込みもなされ、イマドキのクルマにしてはスカットルも相対的に低めで視界もいいから、大きさを感じずに運転できるというのが素直な感想だ。




 運転席からこのフェンダーの"峰"を視認できる。




 リアの絞込みも強め。



インテリア

 室内も外観同様曲線を多用したものとしているが、これは少々やりすぎか。思ったほど圧迫感はないし、使い勝手にも問題はないが、唯一問題があるとしたらすぐに飽きそう。メシもデザインも濃い口は飽きが早い。どうせなら、カラーリングももっと大胆なものにして、例えば黒の基本色に革とカーペットをタバコ色(明るくオレンジに近い茶)にしてみるとか、明るいグレーやホワイト、濃淡のはっきりした色合いも似合いそうだ。現状の取り揃えはやや常識的にすぎるか。




 シートは硬めで、がっしりとした骨太な骨格に変形の少ないクッション、張りの強めなレザーが相まってドイツ車的な印象がある。メルセデスというよりBMWのそれに近く、この印象はシートのみならず、後述する走りの設えに至るまで統一されている。




 外見からしてキャビンは短い。ダッシュボードの奥行きも、イマドキのクルマにしては短く、妙に懐かしい気もする。おかげで後席の広さはこのサイズ、クラスとしては平凡かそれ以下。しかしそれでいい。このクルマはパーソナルカーであり、ドライバーズカーだから。




 250GT Type Pは、それでも後席パワーシート標準装備。




 ゴルフバッグ4つ飲み込める、というのが大事。



エンジン/トランスミッション

 2.5リッターV6でこの重さのクルマを引っ張るのはさぞしんどかろうという先入観。たまに乗る個人タクシーの運転手さんも旧2.5はかったるいなぁと言う。しかし、今回からトランスミッションは7段となり、ステップ幅を小さくした階段を軽快に上っていく感じでスピードが伸びる。パワフルでこそないが、これで充分。




 エンジン音は積極的に聴かせるタイプだが決して官能的なサウンドというわけではないし、シートや足回りの印象から来るほど硬質でもなく、このあたりはごくごくビジネスライクな印象。それよりむしろどこまで効率的に燃費を稼げているかが気になる。


 燃費といえば、注目の”エコペダル”は試すことが出来なかったが、新型フーガにはスバルのSIドライブのようなドライブモードセレクタが備わっている。しかし、こうしたものに頼るより、自分で頭を使って工夫をして、考えながらスロットルコントロールをやったほうがずっと”楽しい”し、また人として”知的”な姿である。クルマが知能化すればするほど人は知能を預け、手放すことにつながるという事実を忘れてはならない。



足回り

 以前より、フーガの最重点項目である。ハンドルは軽いが路面の印象は充分に伝わってくる。もうすこし重厚な手応えがあってもいい気はするが、ここはユーザーの好みも反映した結果だろう。試乗車はコンフォート側のセットアップをもつグレード。よりスポーティに20インチホイールを頂くグレードはどんな走りなのだろう。




 このコンフォートサスをもってしても十分にスポーティ。姿勢変化が少なくソリッドで、しかもダンパーの動作精度も高いと見えて、NVHの減衰が行き届いており、硬めなのに不快なところがない。同時に軽快ですらもある。このあたり、筆者にBMWを連想させた所以である。従来のフーガもBMWを思わせるところがあった。よほどフーガの担当者はBMWが好きなのだろう。


 クラウンがあくまで滑らかさや静けさでアピールすることに対し、フーガはあくまでもアクティブに、走ることの楽しさをもたらそうとする。互いのキャラクターの、この明らかな違いさえ知ってしまえば、個人的にクラウンとフーガは競合車種になりえないのではないかとさえ思えるほどだ。



まとめ

 従来より走りの良い高級車という位置づけだったフーガ。今回はよりスタイリッシュに、また新しいトランスミッションの導入にも見られるメカニズムのブラッシュアップにより、さらに明快なキャラクターを得ている。あくまで保守本流であるクラウンに対し、正攻法では勝負にならない。それは過去の経験からわかっていた。セドグロ時代から、このあたり、行きつ戻りつを繰り返しているものの、今回のフーガはもっともはっきりと、アグレッシブに個性を強めてきたモデルと言えそうだ。


 気になるのは一年後に発売されるとされるハイブリッドモデルの出来や仕立て、値段だが、個人的な願いで申し上げるなら、もう少し内燃機関単体の効率を上げる努力も怠らないでもらいたい。2.5にも多段ミッションを与えてきたがそれだけでは不十分。世界のライバルを見回してほしい。多段化ならメルセデスはすでに5年前にやっていて、今やさらに排気量を下げようとする新たな技術をチャレンジしている。ましてや減税になればそれで済むというものではない。ポーズや体裁に留まらない、より良識と実効の伴った前進を今後も期待していきたい。





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メーカーサイト
http://www2.nissan.co.jp/FUGA/



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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。











前田恵祐


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