「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#043 露骨に絞られたターゲット

トヨタ・パッソ 1.0+HANA"Cパッケージ" 試乗インプレッション(2010.2)
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~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 トヨタ自動車が自ブランドで販売する国内モデルのなかで、実質の最小モデルでダイハツが生産している。完成度の高い3気筒エンジンをはじめとしてダイハツならではのエンジニアリングも。開発にはこのクルマのメーンターゲットでもある女性スタッフが中心となって当たったと言われている。



 エクステリア

 先代と比べてより丸みを帯び、表情は穏やかに、奇をてらったところがなくどちらかというと癒しや安心感を目指していることが見て取れる。そのおかげで購買層は広まったのではないだろうか。事実、メーカーが想定する購買層から外れる筆者も、そんなにわるくないぞ、と感じていたりもする。ボデー色のラインアップも多彩で明るいものが多い。しかし先代ほど原色系ではなくなったかな。個人的にはラベンダー色が好き。




 ちょっと落ち着きも身につけた?




 +HANA系はクリアテールにベージュ塗装ドアミラー、ホイールカバー仕様。



視界・扱いやすさ

 例えば、都市によっては景観問題というものがある。あまり目立つ建物を建てられては景観を損ねるから困るよ、ということなのだが、それはクルマの内装と視界の関係にあっても同じである。昨今の自動車のインテリア、とくにダッシュボードは、フロントガラスの後傾の問題などから占めるスペースが広くなり、そこへ凡庸にならないようにならないようにと過剰なデザインを施す傾向がある。そのため見た目にも凝りすぎな"目立つ"ダッシュボードが少なくない。しかしクルマの運転とはダッシュボードだけを見ながらするのではない。ダッシュボードはあくまで必要な情報の提供と簡潔な機能をまとめてあることが最優先のはずだ。




 そこへきて新型パッソのダッシュボード。白っぽい色合いはさておいて、シンプル。それでいて機能情報の提供も簡潔。機能的でありながら、デザイン的にも見劣りせず"景観"もこわしていない。つまり運転に集中しやすい。こうしたところもパッソというクルマの真面目さをうかがい知れるポイント。乗り物や機械としてずっと的を得ていて、まっとう。




 ステアリングのテレスコピック調整もあるとより親切ではないかな。


 新型になって感じるのは、アイポイントと運転視界の関係が改められていることで、具体的には、アイポイントが上がったこと以上に、ウインドウの見切りが低くなって、より直近が見えやすくなっていることが大きいと思う。最近の車は皆鎧でも着るように窓が小さく高くなってきているが、パッソはそのことが運転のしやすさに大きく影響することを認識しているようだ。スッキリ見渡せる視界は女性のみならず、運転に不慣れな人や若いときほど車幅感覚に自信がもてなくなってきた人にとってとても有効。やたらとあちこちにカメラを取り付ければいいというものではないのだ。




 リアドアはこのように直角に近い角度までひらく。



インテリア

 試乗車のカラーリングは濃い茶色をベースにオフホワイトをアクセントとしている"チョコ"。このカラーは明らかにターゲットを絞り込んでいるように見えるが、それ以外のものは比較的無難な明るいベージュ系。ちなみにパッソのベンチシートはこの"チョコ"のみだが、逆にダイハツ・ブーンはシート形状を問わず明るいベージュのみとなる。このへんは好みによってブランドを選ぶことにもなるか。




 そのシート、サイズ大きめで背もたれはショルダー付近までしっかりカバーする。前後ともクッションの厚みとストロークに余裕があり、沈み込みも自然で包み込まれるような安心感。前席では唯一クッションの前後長がもう少しほしいと感じた以外、30分ほどの試乗で不満は見当たらなかった。後席からの見晴らしも、前席のせもたれが大きい割りに開けている方で、それはウインドウの見切りの低さやアイポイントの高さが効いている部分だろう。




 後席の様子。余裕たっぷりというわけではないが、坐り心地の充実に満足。




 リアシートはシートクッションが一段下がり、平らなラゲッジルームを作り出せる。




 後席を畳んだ様子2。6:4分割だがグレードによって一体可倒。



エンジン・トランスミッション

 3気筒1リッターエンジンは馬力に溢れるわけでも静かで滑らかなわけでもないが、過不足ない働きを見せてくれる。信号で発進するとほどなくしてほぼアイドリングとかわらないほど低い回転を使うようにCVTを設えてあるが、それでも苦しがらずに粛々と行く。試しに深くアクセルを踏み込んだところで瞬発力も充分。この点は軽自動車に対する一日の長。




 CVTの違和感云々は、もはや書かなくてもいい項目かもしれない。ダイレクトでナチュラルに駆動力を伝える。独特のガングリップタイプのシフトレバーは力加減が易しく、形はいかにもレバー然としているが使いやすい。



足廻り

 ヒラリヒラリと行く身のこなしそのものは軽快だが、ハンドルの手応えはやや甘め。あえてそうしているのかもしれない。しかし女の人の声を聞くと、案外しっかりとした手応えを好む傾向があることも事実。腕力がないからこそしっかりとしたものを、確実なものを、と求める声もある。このあたりの設えはもう少しニュートラルでもいいのではないかな、という気がする。




 タイアサイズは155/80R13。



総評

 パッソはトヨタのエントリーカーで、様々な層の顧客に愛用されている。時にそれはメーンターゲットの若い女性かもしれないし、時にビジネスユース、営業マンの相棒かもしれない。またあるいはもみじマークを貼り付けた高齢ドライバーかもしれない。そうした様々な顧客の様々なニーズを取り入れ、とても丁寧に改良をほどこし、仕上げてきているように感じた。目立った特長はないが、求められる要素を適切に満たしているという点は他のトヨタ車と同様であり、筆者も「どう?」と訊かれれば「いいよ」と安心して答えられる、そんな一台だ。



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試乗データ

試乗日:平成22年2月26日
試乗車:トヨタ・パッソ 1.0+HANA"Cパッケージ"(車両本体価格118.5万円)
型式:DBA-KGC30
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:3650×1665×1535mm
ホイールベース:2440mm
車両重量:910kg
トランスミッション:コラムCVT
ボディタイプ:5ドアハッチバック
ボディ色:シンジュパールマイカ(OP/2.1万円)
内装色:チョコ
装着されていたオプション:
SDナビ、ナノイー*ドライブシャワー、フロアマット、インテリアトレイセット他



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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。








前田恵祐


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