「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#046 優れたドライバビリティのミニバン

トヨタ ウィッシュ 2.0G 試乗インプレッション (2010.4)
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~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 5ナンバーサイズの3列シートミニバン。取り回しのよさと室内の広さ、というより乗車定員の多さ、シートアレンジによるユーティリティ、などなど、何かとツブシの効く手ごろなファミリーカーとして人気の高いウィッシュ。日本のファミリーカーとしての使い道、求められる物事の中で最大公約数的なクルマ作りである。



 エクステリア

 若々しいという第一印象。それはこのクルマの数少ない個性。かといってどこかトガっているというわけでなし、風景に溶け込む無難さもある。誰が乗っていても自然であるということが大切。特徴的で個性的な製品を作ることより、実はこうした無難な印象の製品、デザインを考え出すことのほうが、実は仕事として難しいのではないかと思う。




 スマートなサイドシルエット。




 ノーマルバンパーだが低く構えている。スポーティ。




 ミニバンというよりステーションワゴンのようなスマートなスタイル。



視界・扱いやすさ

 スラントしたノーズの先端位置に自信がもてないのは最初の10分程度。車庫から出るとき、どこかに停める時、などなどのうちに自然に感覚を得られる。やはり5ナンバーサイズの取り回し、というか、気軽さがいい。日本の道路幅はこの寸法を基準にしていると、改めて感じる。




 下部をカットしてあるデザインのステアリングホイールの意味は?。シフトレバーは依然として存在感がありすぎる。もっと短い物にするとエアコンやオーディオへのアクセスに障害も少なくなる。顔のまん前にエアコンルーバーがあるように見えるが、実際にはあまり気にならない。全体的にスマートでスタイリッシュな雰囲気。




 窓の下端、見切りの低さもほどほど。Aピラーの太さは平均的。見通し窓も適切に視界を確保している。ややミラーが大きすぎるかな。



インテリア



 運転席のサイズは平均的で硬さもほどほど。1時間の試乗ではとくに型崩れなどが気になるようなことはなかった。腰の押さえもしっかりしていて、クッションもしっかりしている。サイドサポートはごらんのとおりなのでいたずらに身体を拘束せず、リラックスできるし、どんな姿勢を好むドライバーでも受け入れてくれそうだ。ベージュの配色は明るい印象。




 2列目シートのサイズは小さすぎないが、長距離にはもうすこしユッタリ感がほしい気もする。アレンジ(畳み込み)を考慮していろいろ制約もあるところだが、無難にまとめてある。座面はもう少し高くして見晴らしを重視してもいいかな。広さもほどほどで、このサイズのこのファミリーカーとして妥当な範囲。




 運転席を筆者のポジションに合わせると2列目の足元はこんな具合。




 3列目は、やはり緊急時用。つねに乗車するための場所ではない。たまにやってくるお客さんや友達と家族みんなで近所のファミレスにでも食事をしに行こうか、というようなシチュエーション向け。実際にそのように使われることが多いのだろうし、目的を十分に果たしている。




 3列目は5:5で折りたたむこそが出来る。通常は折りたたんだまま、むしろ荷室を広くしてステーションワゴンとしての使い道が主となるのだろう。



エンジン・トランスミッション

 2リッター4気筒バルブマチックエンジン。低回転域から静かで振動が少なく滑らか。トルクがあって回転を上げずに上品にスピードに乗る。といって機敏に走ろうとアクセルを深めに踏んでも力強く追従する。このときも突然音が高まるとかすることなく、シレッとした顔で涼しげに行く。スポーツカー並みではないが、乗用車向けのものとしてとても使い心地がいい。長距離でも人を疲れさせず、長期間使っても飽きが来ないタイプと察す。このエンジンはトヨタの小さからぬアドバンテージである。




 CVTは7段に区切られていて、試乗したグレードではシフトレバーを上下に動かすことでマニュアル操作に対応しているが、これのレスポンスがとてもよかった。また動作が速いだけでなく、変則動作直後から有効な加減速Gを発生。CVT特有のモッサリ感をかなり払拭している。



足廻り

 セダン型より少し高い重心、しかしそれはまったく意識しなくていいくらい自然なロール。アシは、基本的に路面への当たりはやさしいのだが、どこかヒョコヒョコした落ち着かない上下動がある。ダンパーの動作精度や初期の硬さとも思えない。これだけの硬さを「感じさせる」のだからとハンドルを切ってみればヨーの発生は思った以上にマイルド。




 ウィッシュにはノーマル系とスポーツ系の各グレードが設定されているが、ノーマル系である試乗グレードならもうすこし素直に足を伸び縮みさせたほうがより目的に適うだろう。また、この系統のプラットフォーム特有の微振動は充分に消し去れていない。



総評

 使いやすい。それは実際のユーティリティだけでなく、誰にとってもすんなりと受け入れられる親しみやすさ、とっつきやすさの意味においても。こうした商品を作らせるとやはり右に出るものはいないトヨタ。空気や水のように、当たり前にそこにいられるという存在感は、自動車という商品として考えると、もはや才能だと思う。素晴らしき腹八分。


 これにエアロを付けてアルミやマフラーを入れ、ちょっとヤンチャな若い人が乗るのもありだろうし、ごく普通の家庭に一台というファミリーカーとしてアクリルバイザーにドアエッジモール、愛車セット付きで乗られるのにもぴったりハマる。






 今や自動車という商品は普及し、誰にとっても身近な存在。そう考えると自動車は所有することで他人に差をつけるとか、見栄を張るとか、自慢するといった"用途"は廃れたかもしれない。このクルマを見ていると、はっきりとそのことを意識させられる。






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試乗データ

試乗日:2010年4月20日
試乗車:ウィッシュ 2.0 G
年式:平成21年
型式:DBA-ZGE21G
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:4590×1695×1590mm
ホイールベース:2750mm
車両重量:1380kg
トランスミッション:Super CVT-i/7速スポーツシーケンシャルシフトマチック付
ボディタイプ:3列シートミニバン
ボディ色:グレイッシュティールメタリック
内装色:グレージュ
装着されていたオプション:
HDDナビゲーションシステム(下記含む33万750円)
 WISHパノラミックライブサウンドシステム 
 DVD+CD+MD+AM/FM+サウンドライブラリー+10スピーカー
 6.5型ワイドディスプレイ(タッチ式)
 Bluetooth対応ハンズフリー機能
 FM多重VICS+G-BOOK mX 対応






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メーカーサイト
http://toyota.jp/wish/index.html






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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。








前田恵祐


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