「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#057 しなやかになったアシ

BMW 523i 試乗インプレッション(2010.9)

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~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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エクステリア



 先代5シリーズのデザインには長らく馴染めなかった。先鋭的で、ちょっと進みすぎているように思えた。それまでのBMWのデザインポリシーがきわめて保守的でイメージを継続させることを目的としていたところ、その部分が大きく違っていた。




 ロングノーズに長い直列6気筒を収める。BMWの特徴をそのままに、しかし今回はやや丸くなって、大人びた印象。若々しかった先代よりずっと年齢が上がった。簡単に言えば以前のBMWらしさを取り戻したということができる。10年前なら7シリーズのサイズ。堂々とした存在感は重厚でもあり、そのまま7のバッジを与えてもいいくらい。




 テールレンズはちょっと昔を思い出させる形になった。



視界・扱いやすさ

 長いノーズは運転席から視認できる。最小回転半径は5.5m、それでも幅も長さも大きく取り回しは正直ラクではないが、例の可変ギアレシオをもつステアリングのおかげで慌しくステアリングを回す必要はない。




 BMWの計器盤はいつもシンプルで無駄な装飾がなく機能的。運転する上で必要な情報に装飾は必要ない。この考え方には共感できる。いまどきただのアナログメーター。しかしこれもBMWのポリシー。男、ポリシーは貫く。



インテリア・ラゲッジ

 前席のサイズは横も縦も余裕があり、また身体をいたずらに拘束しないからリラックスできる。硬くはないが型崩れはしない。変形が少なく、時間と共に身体に馴染む。革の張りもやや強め。これらもいままでのBMWと同じ。


 リアシートはまさしく7シリーズ級。5シリーズはドライバーズカーとして上位に位置するクルマだと思っていたがここまで広いとショーファーカーとしても適任に思える。ちょうどショートホイールベースのE38型7シリーズくらいの後席スペース。




 トランクは奥行きがとても大きく、後席の背もたれは倒れてトランクスルーになる。でも、後席を倒さない状態ではゴルフバッグ3つが上限。国産車ではここが重要視される。ドイツ人は4名乗車でゴルフには行かない。



エンジン・トランスミッション

 排気量は2.5リッター。しかしパフォーマンスを絞って燃費に振ってある。だからグレード名は525ではなく523。ま、そのへんの事情はどうでもいいのだが、このエンジン、なかなか軽快でストレスなくビュンビュン回る。さすがは稼動回転部品の質量が少ない小排気量。乗ってみてはいないが、このあたり528の3リッターになるともう少し重厚な印象になるはずだ。精密に組み上げられたマシーンが設計どおりに稼動しているという確かさ正しさがBMWエンジンの魅力。




 8段オートマチックはまめにチェンジ動作を行い都度適切にエンジン回転を維持する。試しにマニュアル操作して低回転を維持しても充分に力のあるエンジンだが、いたずらに低回転を維持しても負担は増えるだけでじつは燃費にもよくない。そのちょうどいいところをこのトランスミッションは選んでくれているようだ。思ったより軽い1770kgはそれでもヘビー級だが走りは軽快。



足廻り

 じつはこの部分が新5シリーズのもっとも注目すべきところかもしれない。事前に柔らかくなったという情報を得ていて、それがどんなものか、たとえばメルセデスに近づいたのか、そのかわりに鈍になってしまったのかと気になっていたのだが、実際にはさらなる高みに上がったという言葉を用いるのが正しい。




 シャープで正確であった代わりに硬く、いうなれば「若かった」旧5シリーズ、というよりここ数年のBMWのアシ。ところが今回は今までのスポーティさをそのままに身のこなしが上品になった印象で、具体的にはゴツゴツ感が消え滑らかになっただけでなく、凹凸のいなし方もしなやか。それでいてハンドルは正確であるしコーナーを行けば充分な手応えと機敏な反応でドライバーの要求に応えてくれる。まさに新境地。率直に言ってジャガーは置き去りにした。



結論

 旧5シリーズでは若すぎた。5シリーズを求めるユーザーは、自分でハンドルを握るものの、それ相応の立場や年齢の人。故に相応しい成熟さを持っていなければならなかったはずである。簡単に言えばそれを今回の5シリーズは会得した。重力に対し美しく抗うエンジン、遠心力を正しくコーナリングパワーへと置き換えるアシ。そこには地球という星がもつ大原則との真っ直ぐな関わりあいがある。一点の曇りもないその清廉潔白がBMWなのだ。






 走るための技術を後付けするのではなく、源流から走りをありきとしたクルマ作りをするのがBMW。昨今は安全性などのために重量が重くなり、その考え方も貫くことが難しいことだろう。しかしこの重さにしてこの軽快さ、正確さをやって見せているのは見事である。次は、ではさらにこの安全性を維持(あるいは進化)させつつ軽く作るという技術にも挑戦してほしい。省エネには軽いことが一番、BMW自身がよくわかっているはずである。



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5段階評価:★★★★




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試乗データ

試乗日:2010年9月3日
試乗車:BMW523i(車両本体価格:6,100,000円・OP含まず)
型式:DBA-FP25
駆動方式:FR
全長×全幅×全高:4910×1860×1475mm
ホイールベース:2970mm
最小回転半径:5.5m
車両重量:1790kg(電動ガラス・サンルーフ装着車)
トランスミッション:8段オートマチック(シーケンシャルモード付)
ボディタイプ:4ドアセダン
ボディ色:チタンシルバー #354
内装色:ブラック/本革
装着されていたオプション:メタリックペイント(85,000円)
                電動ガラス・サンルーフ(170,000円)
                ハイラインパッケージ(390,000円、以下含む)
                ・ダコタ・レザーインテリア
                ・フロントシート・ヒーティング
                ・電動フロントシート(運転席メモリー付)
                ・リア・ウインドー・ローラー・ブラインド(電動)



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インポーターサイト
http://www.bmw.co.jp/jp/ja/newvehicles/5series/overview.html


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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。








前田恵祐


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