「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#060 コンパクトハイブリッドの本命

ホンダ フィット・ハイブリッド 試乗インプレッション(2010.10)
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~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 待ってました、というより、待ちくたびれたくらい。インサイトももちろん優れたハイブリッドカーだと思うが、仕掛けが複雑でなく幅広い車種に応用しやすいホンダのIMA。であればこそフィットに積んで初めて本領を発揮するのではなかったか、個人的にずっと思ってきた。マイナーチェンジのタイミングで登場したこのフィット・ハイブリッド。やっと出てきた、というのが率直な印象だ。



エクステリア



 基本的に従来型からの化粧直し。色の選択やハイブリッド用の化粧も定石どおりといった印象。サンプルの”フレッシュライム・メタリック”はハイブリッド専用カラー。




 空力には不利な背の高さだそうな。




 電気やハイブリッドとなると、揃ってピカピカキラキラというのも通り一遍な気もする。



視界・扱いやすさ



 印象的なのはダッシュボードの奥行きが大きく視界が開けていること。これには面積を大きく確保された三角窓の存在も効いている。幅、見切りが掴みやすく、老若男女問わず愛用されるフィットの強みの一つだ。居心地よいテラスのよう。




 メーターパネルもインサイトのように二段式は採用せず、標準タイプにドライブモニタを与えたもので瞬読性に優れる。運転状況に応じてスピードメーターの照明色が変化するのはインサイトとも共通する機能。



インテリア・ラゲッジ

 優しいベージュ色が採用された。せいぜい膨らまされた室内空間。開放感の演出がうまいのはホンダ車の伝統。




 前席は物理的な厚みこそほどほどだが平板な印象を回避していてやわらかく身体を包んでくれる優れもの。インサイトはどちらかというとがっちりしたシートだったと記憶しているが、こちらは柔らかい。サイズも充分。しかし個人的にはヒップポイントをもう少し下げられ、ハンドルのチルトももう少し上に動いてくれると嬉しい。




 後席も坐り心地は共通。広さもそのまま。当然インサイトのように頭がつかえることはない。安くて広いなら”こっち”にしない手はないでしょう。




 トランクは床板の高さが若干違い、ハイブリッドのほうはサブトランク部分に電池を積むからやや底上げ。しかし気にするほどではない。充分以上。間口の広さはあいかわらずこのクルマの魅力。




 ガソリン車はこうだ。



エンジン・トランスミッション

 インサイトのそれよりモーターで動く領域を増やしているとかいろいろ理屈はならべられているが、基本的にインサイトの動力系と同じで、同じ味わいと思っていい。もちろん、あれから時間は経っているから振動が減っていたりスムーズさが向上していたり、ビミョーに進化は感じられる。たしかにアイドルストップからの復旧は早くなり、上り坂発進でも逆行することは減った。でもヒルアシスト(逆行防止ブレーキ)はあったほうがいい。




 エコカーだからと燃費計をにらみつつエコドライブに血眼になってしまいそうな自分にも気がつくが、時にアクセルを多めに開けるとフワリと追い風に吹かれるような爽やかな加速が味わえるのもハイブリッドの魅力。1.3リッター4気筒エンジン+モーターのIMAハイブリッドはこのボディとの組み合わせだと1.8リッタークラスの力感を示す。因みに街乗りばかりの試乗車、平均燃費計は17.4km/Lを示していた。



足廻り

 ややガソリン車より重くなり、ウエイト・ディストリビューションもやや変化があり・・・と、これまたデータの上では変化があるものの、それと分かるのはほんの少ししっとりと、落ち着きを手に入れた身のこなしを感じ取るかどうかのみ。ノーマル車よりほんの少し上質、と思えばいい。初代の硬さを知っていれば、シートの優秀さを伴った乗り心地のよさは大きな改善ポイント。現行フィット全体を通した魅力の一つだ。




 ホイールは15インチ。ロードノイズはほんの少し静かになった。



結論

 価格はベースグレードの159万円から。試乗車(本体価格172万円)で見積もりを取ると、ナビなどのOPを含めた総額が210万円前後という数字で出てくる。グレード、装備を選べば総額200万円に収まるハイブリッド。なぜこれを先につくらなかった(つくれなかった)のだろう。フィット生来の使いやすさや親しみやすさをそのままに、30.0km/Lというインサイトと同じ燃費を達成した。しかしここ数年のフィットは既にこうあるべきだった。なぜこんなに時間がかかったのか、クリアせねばならない課題がそれでもたくさんあったのかもしれないが、不思議でしょうがない。






 まして、今にして見ればホンダの製品としての”驚き”が薄い。「遅れてやってきた分、驚かしてやるぞ、やってやるぞ」という気概が見えてこないのだ。常識的に”いいクルマ”に仕上がっていることは事実だが、そんなことは他メーカーに任せればいい。例えばうんと上質な、新しい感覚の乗り味や静粛性を持たせるとか、もっと言えばインサイトの燃費を大幅に上回るとか、やれることはたくさんあったように思う。昔のホンダが持っていた「粋な計らい」のたぐいがまったく見る影もなくて、その部分が残念なのである。それくらい期待値が高かったということの裏返し、ではあるのだが。



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5段階評価:★★★
☆☆




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試乗データ

試乗日:2010年10月15日
試乗車:フィット・ハイブリッド・スマートセレクション(OP含む車両本体価格:1,985,000円)
型式:DAA-GP1
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:3900×1695×1525mm
ホイールベース:2500mm
最小回転半径:4.9m
車両重量:1130kg
トランスミッション:ホンダマルチマチックS
ボディタイプ:5ドアハッチバック
ボディ色:フレッシュライム・メタリック
内装色:ベージュ
装着されていたオプション:Honda HDDインターナビシステム〈リアカメラ付〉(265,000円)



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メーカーサイト
http://www.honda.co.jp/Fit/


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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。










前田恵祐


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