「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#061 ちょっとなつかし、アルファ156GTA

アルファ156GTA、当時を思い出して試乗インプレッション(2010.10)
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~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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エクステリア

 アルファ156のデザインは多彩な魅力を秘めている。クラシックでありモダンであり、そしてユニークでもある。家族の使用にも耐えうるサイズや仕立てに美しいフィニッシュ。クルマ好きのみならず多くのユーザーの心を惹き付けたのは間違いなくこの優れたデザインにある。


 GTAのそれは生涯を通じて、アルファ社内デザインのオリジナリティを保たれた。通常モデルでは途中でジウジアーロによる手直しが加えられたが、個人的にはこのオリジナルでこそ156の良さを率直に表現していると思う。GTAは派手になり過ぎない程度のエアロパーツと大径ホイールでドレスアップされ、無骨にならない程度のスポーティさを手にしている。



視界・扱いやすさ

 全長4430mm、全幅1765mm。ワイドトレッドに短い全長はスポーティカーの必須事項。決して大きすぎない適度なサイズで振り回すのにちょうどいい。後述するスポーツシートにより若干下げられたヒップポイントは、ほんの少しこのクルマの素性を意識させるポイント。この頃のクルマはピラーを太くしても視界を妨げない工夫がまだ未熟、とはいえ運転中視界に触れることが少し気になるくらい。この後に登場する159はもっと太い。



インテリア・ラゲッジ

 曲線が多用された今に続くアルファのデザイントレンドの元になったもの。遅れて登場したGTAの内装は、外装のそれとは異なり当初から後期型。外装は前期、内装は後期。センターパネルのデザインが刷新されデジタル表示のオートエアコンになるなどし、フィニッシュが向上した。

 シートはバケットタイプのスポーツシートでガッシリとしたかけ心地。お尻がストンと落とされ、骨太なシートに支えられ、そしていつでも戦闘体制に入れる。革の仕立てが上質なのはイタ車の伝統。革のニオイがいい。

 後席は広くはないが大人二人には充分。クルマ好きお父さん御用達。ゴルフよりは狭いが走りや情熱やデザイン、全てを見通したときのバランスはこちらのほうが高いわけだ。トランクは意外と広い。



エンジン・トランスミッション

 素晴らしきかな人生、と、アルファV6エンジン。3.2リッターで250馬力。柔軟性と刺激性。ゆったりと行くことも出来ればダイナミックに行くことも出来る。おおむね車体に対して余裕のある動力性能で、そのことがドライバーにも余裕を与えている。なにより素晴らしいのが中速域以降の情熱的なサウンドで、おおよそ鉄の塊が発するものとは思えない美声をと鋭さを披露する。この極上のエンジンとともに旅が出来たならどんなに素晴らしいことか。


 6段のマニュアルはシフトレバーをいたずらに短くするわけでなし、適度なストロークとエンジンの回転落ちのバランス、クラッチの性格との同調がよく、どんなシーンでもリズム感をとりやすく気持ちよく走る。セレスピードもこの頃には成熟が進み、特に各ギアのステップが小さい6段ならではのレスポンスの良さを味わうことが出来、実質ハンデを感じない。クラッチペダル付と、どちらを選ぶか悩ませるだけのものはあった。



足廻り

 17インチホイールに硬められたアシ。タイアの銘柄は記憶していないが必ずしもグリップ至上主義にあらず、踏面のしなやかさは自然で人間の感覚にシンクロするタイプだった。硬いがロールは例のアルファ特有のネットリとした”アレ”。しかし重力と接地性の関係をドライバーが把握しやすい。つまり、掌握がラクだから行けるところまでは行きやすい、深く踏み込みやすい。クルマに任せっきりでない、かといって”えい、やー”でも決してないドライバー主体の時に能率と官能が同居する走り。イタ車のスポーツドライビングとはそうしたものだ。



結論

 イタ車のニオイがいい。革とフレグランスとオイルとガソリンとが混ざったあのイタ車のニオイ。あのニオイを嗅ぐとその先には素晴らしい走りの世界が待ち受けていると、体感的に脳が記憶しているのだ。ボクの中では、依然としてベストスポーツセダンの最右翼。充分に速くドライビングを楽しめ、何より柔軟性が高く日常の実用性はそのままだ。しかも仕立てが程よく派手さや攻撃性よりも、静かに存在感を主張するファッションセンスもまたイタリアらしい。


 その後聞くところによれば、細かい電気系統のトラブルがないではないというが、比較的維持しやすい部類にあるイタ車のようだ。このクルマの次の159が拡大してしまい、高級にはなったがスポーティさは薄らいだ。あれはあれで166の領域もカバーしたい目的もあったのだろうが、おかげで156のステータスはより一層高まったようにも思える。今度出てくるジュリエッタもどんなクルマなのか楽しみだが、古くなっても色あせないどころか、一代として完結している魅力が込められているのもイタ車のいいところだ。


 因みに、ツインスパークや2.5V6もそれぞれに良かったです。ご予算に合わせて選ばれてもそれぞれに満足が得られるクルマでしょう。但しご購入は専門的知識のあるショップからか、少なくともイタ車に慣れた整備工場を見つけてからになさることをお勧めしておきます。念のため。

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5段階評価:★★★★★





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試乗データ

試乗日:2003年頃
試乗車:アルファ156GTA、6段MT/6段セレスピード
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:4430×1765×1400mm
ホイールベース:2595mm
車両重量:1420kg
ボディタイプ:4ドアセダン



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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。












前田恵祐


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