「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#084 成長するスポーツ心

スズキ スイフトスポーツ 6段マニュアル~試乗インプレッション(2012.2)
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~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 スイフトスポーツは、カネにモノを言わせず、比較的単純なメカニズムをやりくりして賢くドライバーを楽しませる、こう言ってはナンだが庶民派スポーツの最右翼で、高い人気を誇ってきた。そのスイスポが、最新世代に進化。ベースモデルからして高いポテンシャルを感じさせていた新型スイフトだけに、俄然期待は高まったわけである。



エクステリア



 ギュッと凝縮、されていた感じのあの圧縮感が潔かった先代からすこし拡大されたが、処理がうまく、行き届いているから間延びにはなっていない。美しささえ感じさせる。ヨーロッパのライバルと並んでも引けを取らないキャラクターと質感と精神。




 それでも寸詰まり感がこのデザインのポイント。他には無い、このクルマの独自の雰囲気を持っている。貴重なことだ。




 ふっくらしたテールデザイン。旧型はちょっとペッタンコだったがこれくらいがちょうどいい。



視界・扱いやすさ



 ダッシュボードのデザインは奇をてらわずオーソドックスなものだが、質感も充分だし、大人っぽい、落ち着いた印象。計器盤も華美になりすぎない装飾でこれも大人っぽい印象に寄与する。スポーツ=子供っぽいを脱却した。




 最近の車にしてはAピラーの存在感を感じさせる方か。サイドミラーは大きく外から見るとボテッとしているが、そのかわりとても見やすい。



インテリア・ラゲッジ



 前席はフレームのガッシリしたバケットシートでホールド感の強いもの。ワインディングロード向き。乗り降りにはすこしサイドサポートが気になる。座面や背もたれの剛性と、身体とのフィット感のバランスも良く、敢えてレカロにしなくてもいいくらい、と思ったらレカロの設定はなくなったようだ。

前席頭上空間:こぶし1つと手のひら1枚




 後席スペースも拡大はされているが広々ではない。座面高が一段高いので前方見晴らしは比較的良い方。つま先が前席座面下に収まるよう、効果的にスペースを確保している。

後席頭上空間:こぶし半分
後席膝前空間:手のひら2枚




 寸詰りボディなだけにラゲッジはこの程度。



エンジン・トランスミッション

 このクルマの、ある意味もっとも大きな見せ場でウリの一つはエンジン。1.6リッター専用エンジンは先代に対して燃費対策などと共に高出力化などを盛り込んだ最新仕様。第一印象は静かでスムーズ。トルクの谷も感じさせず、どこからでもスルスルと加速する。情熱的でこそないが、粛々と雑味なく忠実に仕事をするエンジンの良さがマニュアルギアボックスでさらに引き立つという良い例だ。ただしギアリングはもっとクロースしていても良いか。シフトレバーは短くスパッと決まるスポーティなものだが、もう少しレバーの剛性、ガッシリ感があるとなお良い。加えてクラッチペダルのトラベルも少し詰めたいところだ。




 以前のスイスポのエンジンは、個人的に「昭和」を感じさせた。つまり、ユーノスロードスターやパルサーX1ツインカムのような味わい。ちょっとガサツだが豪快で気持ちよくフケ上がる、懐かしい味。給食のカレーライスみたいなところがあったが、今回のエンジンはレストランのシェフが作るカレーライスくらいにはなっている。ずっと洗練されていて、現代的なスポーツエンジン。進化、成長の幅は大きい。



足廻り

 元が良いだけに固めても無難に仕上がっている。骨格がしっかりしているのと、サスペンションパーツの組み付け部もしっかりしていて、イヤな捩れ感やガタツキ、バタつきとは無縁。17インチタイアもきちんと履きこなす。ハンドルは軽く、出来ればもう少し手応えと路面情報のフィードバックは欲しい。ブレーキのペダルタッチは剛性感があり効き味もダイレクトでこのクルマの目的にも適っている。




 個人的にはもっとダンパーが強くてもいいかなと思う。新型もモンロー製ダンパーを採用しているが、動作の引き締めとロードホールディングのバランス点は先代の方が高かったように思う。このあたりはチューニングひとつでいかようにでもなる部分ではあるし、走行距離が進むにつれてフリクションが取れピストンの動作精度が高まることで改善する可能性もなくはない。



結論

 ベースモデルに乗って、「ああ、これは大人っぽくなったな」と感じたのと同じように、スイフトスポーツも大人っぽく仕上がっていた。それはデザインや装飾のみならず、シートの印象や運転感覚、エンジンの特性に到るまで、洗練された大人のスポーツモデルと呼ぶに相応しい仕上がりなのだ。






 細かな注文もあるにはあるが、カネをかけて立派に、大袈裟にすることがスポーティ、という方向に向かっている今のスポーツカー、スポーティカー市場にあって、この規模、大きさ、価格、内容で大いに楽しめるスイフトスポーツの存在はきわめて貴重だ。所有していると賢く、あるいはちょっと知的に見られるクルマである。



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5段階評価/★★★★★
大人も楽しめる小型スポーティーカーとしてピカイチ。



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試乗データ

試乗日:2012年2月2日
試乗車:スズキ スイフトスポーツ(メーカーOP含む車両本体価格:1,743,000円)
型式:CBA-ZC32S
エンジン:M16A
トランスミッション:6段マニュアル
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:3890×1695×1510mm
ホイールベース:2430mm
最小回転半径:5.2m
車両重量:1050kg
ボディタイプ:5ドアハッチバック
ボディ色:スノーホワイトパール(ZMT)
内装色:ブラック/布
装着されていたオプション:
  ディスチャージヘッドランプ+オートライトシステム
  フロアマット



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メーカーサイト
http://www.suzuki.co.jp/car/swift_sport/


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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。







前田恵祐


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