「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#086 現代版ホンダのビックリ箱

ホンダ N BOX カスタム ~ 試乗インプレッション(2012.2)
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~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 ホンダは"N"シリーズをこれから復活させ、このN BOXを皮切りに新しい車種展開をしていくという。かつてのN360のNは、一説にはNorimonoのNらしい。対して現代の"N"はNewであり、Nipponであり、そしてやはりNorimonoでもあるという。ミニマムトランスポーテーション(最小限移動体)としてのN、しかし時代はうつろいミニマムの定義も大きく変化した、ということのようだ。



エクステリア



 試乗したのはカスタムシリーズ。軽自動車の多くにこのカスタムと呼ばれる仕様が用意され、それはN BOXでも例外ではなかった。メッキ仕上げのドギツいデコトラ趣味は正直好みに合わない。シンプルな標準車で充分ではないか。これのため(だけではなく装備の差もあるが)に価格が数十万と上昇するのもなんだかバカバカしい。




 リアはフロントと比しておとなしい。



視界・扱いやすさ



 タコメーターを備える計器盤。7250rpmまで常用可能というのはいかにもホンダエンジン。立体的なダッシュボード。視認性、操作性は無難だが、もっとさっぱりとしていて、何も無い、というのだっていい。ちょっと常識にとらわれすぎている。




 合わせ鏡を使ったインナー側に備わる死角フォロー用の補助ミラーはアイデアもの。従来の外にキノコのように出っ張っているのは格好悪い。




 新・リアアンダーミラーはやはり室内側に設置。やればできる。知恵を絞ってモノを作る姿勢、こんなところにホンダのビックリ箱DNAを感じたりするわけだ。




 オートライトの操作ロジックはこうあってほしい。



インテリア・ラゲッジ



 インテリアカラーは、カスタムはブラック、標準車は明るいベージュ。個人的にはやはりベージュ系のほうが明るくて好き。シートはクッションストロークがあり、軽自動車とは思えないほどリッチなかけ心地。ただ、もう少し立体的にサイドサポートをしないと、後で書くロールの処理とのバランスからいって身体が振られる。また、高さ調整はできない。丁度前席床下に燃料タンクを設置しているレイアウトの都合上、高さ調整機構のスペースが取れなかったのだろう。

前席ヘッドルーム:こぶし2個




 前席に対してちょっと見劣り感もないではないが、これで何十時間と長旅にでるわけでもないだろうから、これで充分。広さもいうことなし。どちらかというと折りたたむことを優先した設計。

後席ヘッドルーム:こぶし2個以上/膝前:こぶし2個以上




 後席を倒して平らになるラゲッジ。センタータンクレイアウトが活きる。しかし後席の引き起こしがワンタッチ、ワンアクションとはいかないのがちょっと残念。



エンジン・トランスミッション

 先にも書いたとおり、タコメーターのレッドゾーンがなにより雄弁。しかし、そもそものCVTの設定からあまり回転を上げないで走ることになるからありがたみを感じないのも事実。ホンダの3気筒エンジンは以前から他社のものに比べて振動が少なく、どの回転域にあってもきちんと力を発揮するから走りにストレスが無い。地味にいいエンジン。さすがホンダだけあってエンジンに手を抜いていない。




 アイドリングストップを備えるが、ブレーキペダルの踏力を弱めることで任意で再始動が行なえる他のものと比べて、このクルマの場合ブレーキペダルから足を離すギリギリまで再始動は反応しない。予めエンジンを回しておきたい右折待ちの時やエアコンを回したい暑い時など、ちょっと不便を感じるかもしれない。



足廻り



 ホンダの足廻りは以前からストロークが短く、バネやショックを硬めて傾きを抑える傾向にあり、その弊害は当然のように硬い乗り心地に跳ね返ってきていたわけだが、このクルマも基本的にそれと同じ。ただ、軽自動車のハイトワゴンは概してその傾向にあるから、このクルマだけというわけでもない。つまり、サスペンションの上支点が低く、ホイールの自由長が規制されるだけでなく、ロール軸が低く乗員がその軸より遠くなることから必要以上に頭が振られオットット・・・となってしまう。しかしサスペンションの上支点を高く取るにはエンジンや客室のスペースとのせめぎあいになるから、こうしたクルマでは難しい判断になる。そろそろこのあたり、抜本的に解決するアイデアがほしいところだ。



結論

 はっきりと後発の強みを感じるし、ホンダらしいな、という部分も認められる。概ね常識的に良く出来たクルマだということは出来ると思う。しかし、それでよかったのだろうか。クルマ自体の成り立ちが例えばタント、パレットと大きく違わないことを何とも思わないのだろうか。いうなれば遅まきながら彼らと同じ土俵に上がって来たに過ぎない。返す返すも良く出来ていて当たり前。しかし少なくとも私がホンダに期待するものとはその次元の話しではないのだ。






 ホンダの製品とは、型破りな発想で人々をアッと言わせ、新しい考え方や生活感、人生観をクルマというカタチを借りて表現するような存在だった。その心意気あって初めてユーザーはホンダにカネを払う値打ちを見出せたのだ。今、多くの人が価値観の行き詰まりを感じ、人と比べることでしか自己肯定できないような閉塞した世の中にあって、かつてのホンダが持っていた創意や独自性、常識破りなところ、即ち一本立ちした芯の太い価値観のようなものが、今の時代にこそ、一番求められているのではないだろうか。最後に宗一郎さんの言葉を残しておきたい。



「常識とは人間が考えたもの。それを疑って、打ち破っていくのが進歩なのである」



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5段階評価/★★★
☆☆
ホンダの製品として、誰もが予想できてしまう常識の範疇を出ないこと(-3)
いつもハズレのない良いエンジン(+1)



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試乗データ

試乗日:2012年2月16日
試乗車:N BOX カスタム G・Lパッケージ(メーカーOP含む車両本体価格:1,618,250円)
型式:DBA-JF1
エンジン:S07A
トランスミッション:CVT
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:3395×1475×1780mm
ホイールベース:2520mm
最小回転半径:4.5m
車両重量:960kg
ボディタイプ:5ドア(リアスライドドア)トールワゴン
ボディ色:ポリッシュドメタル・メタリック
内装色:ブラック/布
装着されていたオプション:
メーカーオプション(上記本体価格に含む)
 Lパッケージ(カスタム)
 +14インチアルミホイール
 +フロントアクセサリーLED(ブルー)
 +ブルーイルミネーション(インパネトレイ)
 +内装加飾(ピアノブラック調インパネガーニッシュ
 +フロントドアライニング加飾(表皮付)
 +左右独立式リアセンターアームレスト
 +リア左側パワースライドドア
 +リア両側スライドドア・イージークローザー
 +フルオートエアコンディショナー
 +アレルフリー高性能脱臭フィルター
 +照明付オーディーリモートコントロールスイッチ

 ナビ装着用スペシャルパッケージ
 リア右側パワースライドドア

ディーラーオプション
 フロアマット(19,845円)
 ナビ用ETC(15,960円)
 ETC取付けアタッチメント(11,970円)
 メモリーナビ(203,505円)
 ナビ取付けアタッチメント(1,575円)



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メーカーサイト
http://www.honda.co.jp/Nbox/



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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。








前田恵祐


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