「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#090 ラインを忠実にトレース

スバルBRZ S 6段マニュアル ~ 試乗インプレッション(2012.4)

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~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 スポーツカーとは何なのか。なにがなんでもFRでなければならないのか。FFではダメなのか、MRだっていいじゃないか。議論は尽きない。しかしFRのコーナーリングフォームはキレイで気持ちよい。それを味わうために敢えて非効率なFRを採る理由はあるだろう。かくいう筆者の愛車もFRだ。しかし今の新車市場、FRは皆高価い。安く手軽に楽しめるFRを・・・まぁどこかで聞いたことのあるフレーズだが、このテーマにスバル/トヨタ連合が取り組んだ成果がBRZ/86である。



エクステリア



 ロングノーズにしてショートデッキ。クラシックなスポーツカーのライン。トヨタ2000GTを思わせるような美しさ。スポーツカーとしては無難に仕上げたと思うし私は嫌いではないが、最新鋭の新型車のデザインとして冒険心は不足していると思う。やはり若者向けではないということか。




 写真で見るより実際は短いと感じた。乗り込むと車体がドライバーの身体の延長線上にあるような感覚。




 どことなくトヨタ2000GTなテール。



視界・扱いやすさ



 フロントスクリーンは立っており、奥行き短くT字にそそり立つダッシュボードがクラシックカーのようなタイト感。視界良くフェンダーの峰を目視でき、これが狭い道の車幅感覚のみならず山岳路をギリギリのラインで攻める際の助けになる。じつに心得た設え。




 Aピラー付近はスッキリしていて見晴らし良好。これも「走り」に寄与。



インテリア・ラゲッジ



 レカロシートのような前席はタイトだが収まってしまえば快適。ランバーサポートも適切で身体のラインに忠実に支えてくれる安心感がある。スポーティというと赤いボチボチ(ステッチ)を施すというのはちょっとありてい。

前席ヘッドルーム:こぶし1つ




 前席を筆者のポジションに合わせると、後席に筆者は収まらない。体育坐りでもツラい。あるだけマシ程度のスペース。実質荷物置き場。ポストRX8かなと思ったが、この後席をして撤回。日常性をいうならもう少し頑張れなかったか。

後席ヘッドルーム:頭が天上、リアガラスに支える/膝前:前席バックレストに支える




 トランクルームは思いのほか広く、使える。ダブルヒンジ採用。




 後席(一体可倒)を倒せばこのように。



エンジン・トランスミッション



 エンジンは思った以上にスバルを感じさせる、あのパサパサ感あり。全域でフラットにトルクを発するが、逆に言えばとりわけ強力ではないし、スポーツカーに期待するピーク感のようなものもなく、やや眠い。音の盛り上がりにも欠ける。ま、このあたりはイジり白が残っている部分と思えばいい。アフターパーツもこれから出揃うのだろう。




 この画像で搭載位置の低さがわかるか。ギアレシオはこれ以上広がってしまっては・・・と思わせるギリギリ。ズボラもできる。シフトストロークは短くスポーティーだが、レバーの長さはいたずらに短くされておらず、運転のリズムとしてクラッチ操作などとも調和が取りやすい。試乗車はトルセンLSDと低められたファイナルを持つ仕様。



足廻り

 車輌重量軽く1230kg。演出ではない、十二分に配慮された構造や重量配分から成る敏捷さ、鋭さがあり、同時に中立付近は過敏にならないよう注意深く初期応答を調整されている。ハンドルに伝わる情報量は豊富でダイレクト。また舳先は軽く確実なトラクションを感じながら美しいフォームでコーナーを駆け抜ける。




 躾けにブレがなく統一された指標に基づき忠実に仕上げられたと感じさせる質の高い足回り。どこかに妥協があったり、見切ったりする部分があると、ことスポーツカーのハンドリングにははっきりと表れる。ドライバーもそれを敏感に感じるだろう。運転する側もそれなりの心構えで乗るから、ウソはつけないのだ。その点このクルマのハンドリングはきわめて純度が高いといえる。試乗したSグレードのタイアは17インチで銘柄はミシュラン。しかしオトナの目で見ると、16インチのほうが乗り心地との調和が取れて良いのではないかとも思った。



結論

 ただ、率直言ってこのクルマはいったい誰に目がけて売り出しているのかがわからなかった。売れ筋グレードでも車輌本体で約280万円。決して安い買い物ではない。ましてや若い年齢層はクルマにカネをかけることを決してカッコいいことだとは思っていない。もっと安く済むモノでおしゃれを楽しむ。そうなるとやはりマツダ・ロードスターが陥ったように高年齢層でなければ手が出せない、しかもそれなりに裕福でなければ、という条件付になるのではないか、諸々の結果そんな見え方もしてくるし、そうせざるをえなかったのかな、とも思える。






 スポーツカーは格好よくなければならない。しかし格好よさとは時代と共に変化する。クール、スマートであること。スマホがいいとされるのは、使用感がクールでスマートなところだ。現代のスポーツカーならもっと小柄で安いものの方が今の人の生活感に合っているだろう。それがそうはならなかったのは手持ちの機材に適したものがなかったからだ。新しくエンジン等を起こすとなればコスト増となりそれはできない。これがスバル/トヨタの、あるいは現代のスポーツカーエンジニアリングの限界なのかもしれない。







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5段階評価/★★★★
・やや前時代的なこと(-1)
・実質2シーターなこと(-1)
・やや眠いエンジン(-1)
・とはいえ今時敢えてスポーツカーを出してきたこと(+1)
・完成度の高いハンドリング(+1)

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試乗データ

試乗日:2012年4月5日
試乗車:スバルBRZ S(車両本体価格:2,793,000円)
型式:DBA-ZC6
エンジン:FA20
トランスミッション:6段マニュアル
駆動方式:FR
全長×全幅×全高:4240×1775×1300mm
ホイールベース:2570mm
最小回転半径:5.4m
車両重量:1230kg
ボディタイプ:2ドアクーペ
ボディ色:WRブルー・マイカ
内装色:ブラック/ファブリック
装着されていたオプション:エアロパッケージ

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メーカーサイト
http://www.subaru.jp/brz/brz/

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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。




前田恵祐


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