「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#097 八方美人のお仕着せ

カローラアクシオ 1.3X "Gエディション" ~ 試乗インプレッション(2012.7)
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~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 クルマと言う商品がユーザーの年齢と共に年老いていくのは寂しい。クルマはユーザーの鏡だ。そのクルマを見ればユーザーがわかる。カローラアクシオのカタログには、絵に描いたような中高年世代の慎ましやかな生活、ささやかな喜び、シアワセのようなものがこれ見よがしに表現されていた。トヨタのマーケティングでは、今の中高年がこういうモノ、感覚を嗜好するという結果が出たのだろう。しかしクルマを買うというポジティブな動機、それに伴う新しい生活感を欲する気持ちにこのクルマは応えられていない。それがカローラだといわれればそれまでなんだが。



エクステリア



 私はスッキリとしていて厭味のない、決して悪くないデザインだと思う。セダンと言う商品はそれでいい。冒険をする必要はなく、品質感や信頼感、安心感を表現できていればそれで充分なのだ。顔つき、ちょっとワーゲン系、入っているような気がしませんか?




 過剰な演出もなく、身の丈にあっている感じ。今回はプラットフォームもヴィッツ系のものになり、全長を詰めてきた。肥大化を食い止めた意義は大きい。




 過ぎ去っても3秒で記憶から消し去れる。その存在感のなさがカローラなのだ。



視界・扱いやすさ



 ハンドルは革巻き。メーターパネルは恐らくや他車と共通性あり。パワーウインドウは全ドアワンタッチ式。パーキングブレーキはハンドレバー。操作性は簡潔。




 Aピラー下部を後退させて広い視野を確保し、同時にピラー自体も細くしてある。ここ最近のトレンドに沿った仕上がり。実際に視界良くドライブしやすい。このクルマのターゲットとなる年齢層には極めて重要なこと。



インテリア・ラゲッジ



 見た目は何の変哲もないシート。しかしサイズがしっかりと採られ、身体を安心して委ねられる。ましてやクッションストロークもたっぷりとしており、かけ心地はとても柔らかくリラックスできる。だからといってフニャフニャフカフカ、ではない。後述する乗り心地ともあわせてまろやかな優しい坐り心地をうまく実現していると思う。

前席ヘッドルーム:こぶし1つ




 坐った印象は後席も同様。スペース的には平凡だが、平凡以上の何かを求めるクルマでもないだろう。具体的には足元はよしとして、頭上空間がもう一歩。左右へッドレストは、このグレードでは固定式。

後席ヘッドルーム:辛うじて手のひら一枚/膝前:こぶし1つ半




 トランクルームにゴルフバッグは3つとの由。



エンジン・トランスミッション



 1.3リッターデュアルVVT-iエンジンにCVTの組み合わせ。静かで滑らかに走り、振動が少ない。馬力は必要充分。高速や山坂道の比率が多い人は1.5のほうがいいかもしれない。アイドリングストップは1.3にはオプションでも選べないのは解せない。



足廻り

 充分に芯の強さを感じさせながらしなやかに凹凸を吸収し、フラットで滑らかなライド。シートの出来もこの印象の良さに貢献していて、もしかするとこれはちょっとフランス車かもしれないと思った。マッタリとしている。オーバーではない。ま、何も言われなければこんなもんかな、というレベルの話。とはいえ地味ながら大きな変化だと思う。ここ数年、日産自動車の製品もその傾向にあるが、きちんと剛性を確保した上でストロークを充分に採り、しなやかにアシを動かすことでフラットなライドと走行安定性のバランスを図っている。今までとは明らかに味付けの方向性が変わった。ドイツのガチガチコンプレックスを脱したか?




 ヴィッツのコンポーネンツを使用している、事実上格下げを受けながらそれを感じさせない。個人的に現行ヴィッツにはあまりいい印象を受けなかったが、そこから派生したラクティスなりアクアなり、このアクシオも含めて、それぞれにまっとうな仕上がりを見せている。



結論

 思った以上に機械としては「いい仕上がり」だったカローラアクシオ。どこにも無理をして頑張りすぎたところがなく、それがこのクルマ特有の空気のような存在感を成しているわけだが、乗ってみれば今までのものとは異なる乗り味の方向性や、実用性の更なる煮詰めが行なわれ、フルモデルチェンジをしただけのことはあると言うことは出来る。カタログさえ見なければ若い人が選んでもおかしくないクルマだ。



 で、問題の中高年向けを丸出しにしているカタログ。それはどうなんだろう。若くても落ち着いた印象のセダンにおとなしく乗りたいと言う人だっているだろうし、中高年の人だって、「アンタはもう歳なんだからこれに乗りなさい」というようなお仕着せは、それはイヤだろう。歳をとった人が若々しくユニクロを着こなすカッコ良さだってある。せっかく大枚はたいて買うクルマなのだから、もうすこしポジティブな印象で売って行かないと、恐らくやこのクルマのボリュームゾーンであるところの団塊の世代は「このお節介が」とソッポを向きかねないんじゃないかな。







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5段階評価/★★★
☆☆
・中高年向け丸出しの売り方(-2)



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試乗データ

試乗日:2012年7月4日
試乗車:カローラ・アクシオ 1.3X "Gエディション"(車両本体価格:1,605,000円)
型式:DBA-NRE160
エンジン:1NR-FE
トランスミッション:Super CVT-i
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:4360×1695×1460mm
ホイールベース:2600mm
最小回転半径:4.9m
車両重量:1050kg
JC08モード:20.6km/L
ボディタイプ:4ドアセダン
ボディ色:シルバーメタリック #1F7
内装色:グレー/ベロア調トリコット
装着されていたオプション:
 スマートエントリー&スタートシステム(45,150円)
 スマートナビ<NSZT-W62G>(175,350円)
 フロアマット<ラグジュアリータイプ>(25,200円)



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メーカーサイト

http://toyota.jp/corollaaxio/



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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。






前田恵祐


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