「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#101 名前があべこべ

日産 シーマ ハイブリッド ~ 試乗インプレッション(2012.7)
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~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 このクルマはフーガ・ロングである。便宜上シーマを名乗っているだけでホイールベースをストレッチしフォーマルユースを意識して顔つきが少し変わったフーガハイブリッドである。かつてのインフィニティQ45とそのストレッチ版たるプレジデントとの関係に近いものがある。しかしシーマといえば歴代ドライバーズカーで通してきた。ドライバーズカーであるからこそかつてのニューコンセプト・シーマは新たな顧客を獲得してきた。その歴史経緯は完全無視。今度のシーマ、「運転は誰かに任せて自分は後席」という性格だ。クルマの名前をポコポコ変えたり、まるで違うクルマに従来からのブランド名をこじつけたりと、日産の車種整理政策は時々理解できない。



エクステリア



 ギュッと筋肉質だったフーガをガラス細工のように巧みに引き伸ばして流麗なプロポーションを得た。時にフーガのエネルギッシュにすぎる部分が程好く中和された印象。




 サイドシルのメッキフィニッシャーはあるものの、フーガのイメージをそのまま引き継ぐ。気をつけてみるとリアドアが長いとわかる。




 リアデザインはもっと差がわかりにくい。ナンバープレートケースのメッキが分厚い。



視界・扱いやすさ



 前席の眺めはフーガそのもの。径の大きいメーター、ボンネットフードを視認できることなど、扱いやすさへの配慮もそのまま。布張りシートでもドア内張りは合皮レザー。駐車ブレーキは足踏み式で解除は二度踏み。パワーウインドウは4席ともワンタッチ。それにしてもこの曲線過多なダッシュのデザインは惜しい。




 Aピラーの付け根をもう少しすっきりできれば。ドアミラーも大きすぎやしないか。



インテリア・ラゲッジ



 内装はシート、カラー、素材に至るまでフーガと共通。シートはシートバックの高さがやや足りない。フィット感や当たりの柔らかさなど研究の余地あり。それとやはりもう少し独自性を出してもいいのにと思う。シーマならではのシート素材や木目パネルなどがあるだけでもこのクルマを積極的に選択する理由になるというものだ。いくら法人需要がメインとはいっても名前を変えるのだからもう少し手を入れてやってもいいじゃないか。

前席ヘッドルーム:こぶし1つ(電動ガラスサンルーフ標準装備)




 パーソナルカーのフーガをそのままストレッチしただけだから天井が低いのは仕方がないとして、広大な足元、膝前の空間、それこそがシーマのシーマたる所以、ということになる。

後席ヘッドルーム:手のひら1枚/膝前:こぶし4つ




 トランクルーム。ゴルフバッグは実質3つまでか。ダブルヒンジ採用。



エンジン・トランスミッション



 3.5リッターV6エンジンにモーター、7段オートマチックの組み合わせ。モーターの助力もあるから3.5も必要なのかやや疑問。エンジンは市街地走行でほぼ半分以上は眠っている。トヨタ系がイマイチ力を発揮しにくいといわれる高速燃費を稼げると聞いた。またモーターとエンジンの切り替えはきわめてスムースで、その気になれば7段オートマをマニュアルシフトしてカッ飛ばすこともできる。個人的にトヨタ式よりこちらの方に軍配を上げる。



足廻り



 ハンドルの手応えはフーガと比べてややしっとりとして、長大なホイールベースはフラットで鷹揚とした身のこなしをもたらす。重厚。この点も後席居住性と同様シーマのキャラクターを主張する部分だ。これと比べてフーガはハイブリッドも含めて完全なドライバーズカーでスポーティかつ躍動的。はっきり異なる。



結論

 後席使用頻度の高いユーザー、法人向け、あるいはハイヤーをターゲットとした高級車。その意味ではハイブリッドを選択したのは正しいと思う。企業の上層部=後部座席の住人がどんなクルマに乗っているかは大事な企業イメージにつながる。シーマはセンチュリーのライバルとはいえないが、用途は似ている。しかしそのセンチュリーはいまだにデカい12気筒でこれはいかにも旧い。






 ホイールベースが長いということ以外、フーガとシーマ、さしたる違いを見出せないというのが率直な感想。日産としては15cm、60kg、100万円の根拠をなんとか説明しようとカタログにも熱が入っているが、しょせんストレッチフーガ以上のものではない。それより、シーマというブランドは歴代パーソナルな高級車として確固たる立ち位置を自ら見定めていたブランドだ。今回日産としてはシーマ枠が空いていたから「じゃあこのクルマをそこに」、という事情もあるのだろうが、もう少しブランドが持っている性格や歴史をきちんと大事に扱ってやって欲しい。歴代モデルを俯瞰したときにビシッと一本筋が通っていないということは、高級車においてブランドの値打ちに大きく響くのだということを日産は知るべきだ。




10項目採点評価

ポリシー
 >>> 6
スタイル/インテリア >>> 7
エンジン/トランスミッション >>> 9
NVH >>> 8
ドライバビリティ >>> 9
スペース >>> 7
先見性 >>> 7
社会性 >>> 8
良識度 >>> 5
バリューフォーマネー >>> 5




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試乗データ

試乗日:2012年7月23日
試乗車:日産 シーマ ハイブリッド(車両本体価格:7,350,000円)
型式:DAA-HGY51
エンジン:VQ35HR+HM34
トランスミッション:7段オートマチック
駆動方式:FR
全長×全幅×全高:5120×1845×1510mm
ホイールベース:3050mm
最小回転半径:5.8m
車両重量:1930kg
JC08モード:16.6km/L
ボディタイプ:4ドアセダン
ボディ色:クリスタルホワイトパール(3P)#QAA
内装色:ベージュ(スエード調トリコット+ダブルラッセル)
装着されていたオプション:
 フロアマット(115,500円)



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メーカーサイト

http://www2.nissan.co.jp/CIMA/



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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。






前田恵祐


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