「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#102 侮るなかれ、確実なレベルアップ

トヨタ プリウス G ツーリングセレクション ~ 試乗インプレッション(2012.8)
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~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 プリウスはポピュラーなクルマになってしまった。そのメカニズムや運転感覚は充分に独特で今までの常識を大きく破るものであるにもかかわらず、プリウスの名は社会記号にすらなってしまった観もある。三代目プリウスは昨年マイナーチェンジを受けた。売れているクルマの改良でそのメーカーの姿勢がわかる。それは売れていることにあぐらをかいているかいないか。マイナーチェンジをバカにしてはいけない。



エクステリア



 外観の改良は前後の小変更。見た目はそれほど大きく変わっていない。




 ツーリングセレクションはアルミホイールのデザインも不変。




 リアはテールレンズのデザインが識別ポイント。



視界・扱いやすさ



 私はもうプリウス式の運転操作に完全に慣れてしまった。アクアはやや従来のガソリン車に近いものに後退させたが、プリウス式は動作が少なく覚えればラクである。ここまでくると駐車ブレーキが”フツウ”の足踏み式二度踏み解除であることが意外なほど。パワーウインドウは全席ワンタッチ。




 Aピラーは抉ってあるがむしろ断面積を強調しているようにも思える。次なる改良ポイントはこうしたあたりになってくるのだろう。



インテリア・ラゲッジ



 Gグレードは布とレザーのコンビ。かけ心地は以前感じた妙なカタさや腰のサポートのズレは改善され、より柔らかくしっとりとした印象になったように思う。着座姿勢を矯正されるようなものとは正反対で、「いろんな坐り方」ができてしまうようなあたりはいかにもトヨタ車。ラクちんといえばラクちん。

前席ヘッドルーム:こぶし1つ




 どうしようもないことだが、屋根の後端は流れるようにリアゲートに向かって下がっているから、後席に坐ると頭上空間がミニマム。こうしたあたりもやはり次回はなんとかして来る、であろう。足元は充分。

後席ヘッドルーム:手のひら1枚/膝前:こぶし1つ半




 アンダーフロアにスペアタイアを収める。今流行りのパンク修理キットはオプション。意外。



エンジン・トランスミッション



 このクルマの大事な部分である燃費は計れなかったが、走った印象の部分では走行中にエンジンが始動したときの振動や小さな段つきが殆ど気にならなくなった。俗な言い方をするならリニアになった。静粛性も一段磨きがかかった。しかし、悪く言うとモッサリした、ちょっと前向きに言うなら大型船のような加減速のフィーリングは不変。それがプリウスといえばプリウス。ギザギザとした性急な運転操作に追従させようとするとツラいが、そもそも大舟を操縦しているのだと思えば収まりもいい。・・・が、やはり次回への課題か。



足廻り



 常に軽く効率的に作る走ることに注力していたプリウスだが、そのあたりの技術にはやや余力ができたのだろう。カタログにもうたっているがボディのしっかり感が高まり、17インチ45%タイアを持つこのグレードでも路面の荒れに対する耐性を身につけた。完璧ではないが改良の跡あり。前期型よりピリピリゴロゴロをキチッと押さえ込む。ハンドルも滑らかになり違和感が減少。タイアがどの方向を向いているかもある程度わかる。ちなみに15インチ65%タイアを履くグレードの乗り心地は優しくハンドルはさらに素直。個人的にはこちらのほうが合っていると思う。



結論

 楽器で言うなら、調律のレベルがワンランク上がった、という表現になるだろうか。細かい部分の仕上げや、前期モデルで行き届かなかった小さなウイークポイントを丁寧に潰し、完成度を高めた、実りあるマイナーチェンジと言える。売れているクルマの改良は、ただただアグラをかいて見た目で誤魔化しつつ姑息なコストダウンに走るか、利益として回収した分を次なる投資として製品にきちんと反映させているかを見極める。プリウスの場合、言うまでもなく後者であった。それはつまり、トヨタがプリウスのお客さんをいかに大事にしているかとイコールである。トヨタにとってプリウスがどうでもいいクルマでないことはハッキリしている。






 プリウスは少し余裕のある家庭のガレージに収まっているクルマの代名詞のようなものだ。プリウスに乗っていれば極端に怪しい人だとも思われまい。自動車界におけるひとつの常識。それはかつてのマークIIが居た立ち位置そのものだ。それを十数年、三世代でモノにしてみせたトヨタの、あらゆる意味での「力」は大したものだ。先を見る力、大衆心理を見抜く力、そしてもちろん技術の総力戦。プリウスに乗っているとトヨタ車特有の誤魔化され感が極めて少ない。なるべくしてこうなったのだという説得力がある。そこがどちらかというとマヤカシグルマだったマークIIとの最大の違いといっていいだろう。




10項目採点評価

ポリシー >>> 8
スタイル/インテリア >>> 7
エンジン/トランスミッション >>> 9
NVH >>> 7
ドライバビリティ >>> 7
スペース >>> 7
先見性 >>> 9
社会性 >>>10 
良識度 >>> 9
バリューフォーマネ >>> 9



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試乗データ

試乗日:2012年8月3日
試乗車:プリウス G "TOURING selection"(車両本体価格:2,720,000円)
型式:DAA-ZVW30
エンジン:2ZR-FXE+3JM
トランスミッション:電気式無断変速
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:4480×1745×1490mm
ホイールベース:2700mm
最小回転半径:5.5m
車両重量:1370kg
JC08モード:30.4km/L
ボディタイプ:5ドアハッチバック
ボディ色:ホワイトパールクリスタルシャイン<070>
内装色:アクア(上級ファブリック(スエード調)×ソフトレザー)
装着されていたオプション:
      メーカーオプション色
      オーディオレス+ディーラーオプションナビ
      フロアマット




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メーカーサイト

http://toyota.jp/prius/




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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。






前田恵祐


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