「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#111 貫かれた平凡

日産シルフィ 1.8X ~ 試乗インプレッション(2013.1)
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~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 シルフィとしては三代目。今回から歴史ある”ブルーバード”の冠が取れた。ま、あってもなくても・・・というくらいのものではあった。もはやかつてのSSSの面影はなく、シルフィは歴代一貫して保守的でまっとうなミディアムサイズのセダンである。そのまっとうなセダンも時代と共にミニバンやSUVに取り囲まれメインストリームにはない。といって、なくしてしまうわけにも行かない。それは目立たずとも確実にこのセグメントに顧客がつくからである。



エクステリア



 イメージは先代に近いが鷹揚としたキャラクターラインやプレスワークで上品で優雅な印象が与えられている。今回から全幅は1700mmを超えた。5ナンバー枠であるということが実用上、無視できないことではないかと思うが、この点を顧客がどう判断するか。




 細部は凝っているが基本的に実用的なビッグキャビン。




 テールはフーガの印象を引き継ぐ。



視界・扱いやすさ



 じつはカタログを見るまで気がつかなかった全幅1760mm。シートポジションをきちんと調整すればボンネットも視野に入れることの出来るドライバーズシート。取り回しに支障はないと言っていいだろう。メーターパネルやエアコンの操作パネルなどは加飾やデザインより視認性を重視。直感的に理解、操作ができる。こうした点は中高年層がボリュームゾーンである顧客のことをよく考えている。駐車ブレーキはハンドタイプに改められた。




 Aピラーは付け根の部分がちょっと分厚くてそこだけ気になる。



インテリア・ラゲッジ



 前席のサイズはたっぷりとしており、坐り心地はしっかり感がある。同時にクッションストロークも充分あるので振動や突き上げの吸収も満足。個人的にはもう少しランバーサポートが張っていてくれたほうがいい。ここ数年の日産車のシートはルノーのようにふんわししていながら芯のある、なかなかの代物だったが、その良さはやや後退して、言うなれば「普通」になった。

前席頭上空間/こぶし1つ半




 後席の広さは先代シルフィからの良き伝統。縦横方向ともに余裕があり、広々感があって快適。シートもしっかりしていてこれなら見劣り感もないだろう。座面が高く視界も良い。空間設計の巧みさが光るが、唯一残念なのはヘッドクリアランスに余裕が少ないこと。

後席頭上空間/手のひら1枚
後席膝前空間/こぶし2つ




 トランクルーム。スクエアにしっかりと確保された空間が嬉しい。



エンジン・トランスミッション



 意外なことにアイドリングストップを備えない。エンジンそのものもオーソドックスな構成であまり凝ったところがない。しかし運転した感覚は非常にスムーズでクセがなく、ストレスフリー。昨今ありがちなアクセルを鈍くしていたり、変速特性が極端に燃費寄りで違和感があるなどのイヤミがない。「ECOモード」選択時でもそうといわれなければ気がつかないほど自然。エンジンは充分に実用トルクがあり同時に静粛である。久々にスッキリ走ってくれるクルマに出会った。



足廻り



 この点でもやはりクセやイヤミがなくストレスフリーである。スムーズかつ静粛。個人的には、暫く続いたルノー的にしなやかな味付けがあるといいな、と思っていたのだが、残念ながらそのあたりは「普通」。ダイレクトに路面情報を伝えてくるわけではないのに応答がやや不自然に敏感なハンドルが気になった。もう少しマイルドにしたほうが全体の調律は取れるように思う。



結論

 偉大なる平凡、という言葉がぴったりである。何一つ目立つところは無いが、さりげなく、人当たり良く、ストレス無く、粛々と仕事をしてくれる良き相棒となるはずだ。クルマに趣味を求めない人にとってはこうしたクルマの方が飽きがこないし、その仕立てのよさやストレスの無さに満足するはずだ。個人的には、それでもエンジン技術に、例えばノートのDIG-Sのようなものが与えられたり、せめてアイドルストップだけでも採用されればなお良かったのにと思う。いかにクルマに趣味や興味がないユーザーであっても、環境や燃費は気になるところのはずで、それこそ大人の社会感覚というものだ。そうした点に何かしらのアドバンスを持っていると、ライバルに一歩先んじることが出来たのにと少し残念ではある。



10項目採点評価

ポリシー >>> 7
スタイル/インテリア >>> 
エンジン/トランスミッション >>> 
NVH >>> 
ドライバビリティ >>> 
スペース >>> 
先見性 >>> 
社会性 >>> 
良識度 >>> 
バリューフォーマネー >>> 



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試乗データ

試乗日:2013年1月10日
試乗車:シルフィ 1.8X(車両本体価格:2,094,750円)
型式:DBA-DB17
エンジン:MRA8DE
トランスミッション:エクストロニックCVT
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:4615×1760×1495mm
ホイールベース:2700mm
最小回転半径:5.2m
車両重量:1230kg
タイア:195/65R15 91S
JC08モード:15.6km/L
ボディタイプ:4ドアセダン
ボディ色:ブリリアントホワイトパール(3P) #QAB
内装色:ブラック/ファブリック<G>
装着されていたオプション:
     ブリリアントホワイトパール色(42,000円)
     メモリーナビ MM312D-W(138,252円)
     バックビューモニター(40,000円)
     フロアカーペット(29,400円)



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メーカーサイト

http://www.nissan.co.jp/SYLPHY/



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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。








前田恵祐


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