「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#116 スズキの手練

スズキ スペーシア X ~ 試乗インプレッション(2013.3)
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~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 世の中軽自動車である。軽自動車はエコなクルマということらしい。本当だろうか。ハイトワゴンともなれば660ccのチッポケなエンジンで1トン近くの重荷を引っ張る。それでいてエコであってほしいというのは、そいつはチト無理じゃございませんか。だからといってなにもやらないよりは、それはやったほうがいいに決まっているが、そうなるとどこかにシワ寄せが行くのではないか。例えば不自然なほどニブいスロットルとか。バネを固めざるを得ないアシとか・・・そんなことを思いながらスペーシアに試乗した。



エクステリア



 もうどれも似たり寄ったり。ルーフを白くするのが流行っているならこちらもそうする。スライドドアがいいと言うならそれも与える。もはやドングリの背比べ。




 デザインの領域こそ、発想の自由さを表現する場のはずが、同じ幕の内弁当でニンジンの切り方を変えました、というレベルの小さい話になっていく。




 ちょっとソリオかな。
視界・扱いやすさ



 ダッシュボードは妙に凝ろうとせずすっきりした印象。垂直に近いピラーは車幅感覚の助けになる。シートリフターとチルトステアリング付き。パワーウインドウは運転席のみワンタッチ。小さな子供が乗る機会の多いこのクルマならそのほうが安全かもしれない。タコメーターは全車標準。今現在エンジンにどれくらいの負荷を与えているのかを知る意味で、エコカーにこそ必要と思うがいかがか。




 Aピラー方向の視界。





 斜め後方視界。
インテリア・ラゲッジ



 軽自動車としてはたっぷりめのサイズを持つ前席。異例なほどコシのあるかけ心地で、安易に優しい印象を与えることと引き換えにすぐに沈み込む安っぽさがない。こうしたところがしっかりしていると安心感に繋がる。今までのスズキのシートの考え方と違うと思った。

前席頭上空間/こぶし3つ以上




 後席はやはりというか畳み込むことを考えているからやや小ぶりになるのは仕方がないとして、それでもシッカリ感のあるクッションは安心感が違う。シートスライドあり。

後席頭上空間/こぶし3つ以上
後席膝前空間/こぶし2つ(スライドを一番前にし、前席を筆者のポジションにした場合)




 ラゲッジルームは後席を倒して平らな床面を得る。自転車も積み込めるらしい。



エンジン・トランスミッション

 走り出した第一印象として、クルマが軽いと感じた。それもそのはずでこのクルマ、ライバルのN-BOXやタントと比較しておおよそ80~100kgほど軽く、旧パレットよりもやはり80kg軽い。660cc、五十数馬力のエンジンにとって100kgは大きい。よってエンジンのパフォーマンスにも余裕がある。ちなみに試乗車は自然吸気エンジン。この上にさらにターボ車もある。当然のことながら、わざとスロットルをニブくするようなどこかのインチキエコカーのようなことはしていない。




 車体が軽いからCVTの変速比も高めをキープすることができる。やはり加速感もダイレクトで「無理をしていない」という心理的余裕につながる。軽自動車のハイトワゴンは大きく重く、それでいてエコでもあってほしいという無理難題をつきつけられたカテゴリだが、まず軽く仕上げることを念頭に置いたスズキは省エネの意味をよく理解している。



足廻り



 上述のとおり軽くつくられた車体はアシにも効果的。うわものが軽くアシへの負担が少なければいたずらにバネを固める必要がなく、したがってアシの動きには余裕が生まれ自然な印象になる。ロールスピードやピッチングもよくチェックされており、フラットで快適な乗り心地を得ている。軽いからと言って華奢であるかといえばそうではない。剛性もきっちり取れているようで、ミシリともいわないのは当然として、振動、騒音も車室内に届きにくく、また篭らない。全体的にがっちり感があり、静かである。



結論

 当初の先入観は良い意味ですべて覆してくれた。スズキはやはり軽自動車の経験が長く、じつに手練。スズキはこれからを見据えて軽量化が重要であると認識し、このクルマを作る上でも基本に据えた。その考え方はごくまっとうで理にかなっており、またそれを実現するには相応の技術力や企業力がなければ成しえない。そうしたスズキならではの真面目な着眼点やノウハウが、このクルマをライバルの中から一歩抜きん出た存在とさせることは確実だろう。見た目の好みや値引き条件も大切だが、ぜひ乗り比べて決めて欲しい。







10項目採点評価

ポリシー >>> 8
スタイル/インテリア >>> 7
エンジン/トランスミッション >>> 8
NVH >>> 8
ドライバビリティ >>> 9
スペース >>>10
先見性 >>> 9
社会性 >>> 8
良識度 >>> 8
バリューフォーマネー >>> 8



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試乗データ

試乗日:2013年3月26日
試乗車:スペーシア X(車両本体価格:1,323,000円)
型式:DBA-MK32S
エンジン:R06A
トランスミッション:CVT
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:3395×1475×1735mm
ホイールベース:2425mm
最小回転半径:4.4m
車両重量:850kg
タイア:155/65R14
JC08モード:29km/L
ボディタイプ:5ドアハイトワゴン
ボディ色:キャンドルオレンジメタリック ホワイト2トーンルーフ(A1C)
内装色:ベージュ/布
装着されていたオプション:
        フロアマット
        2トーン車体色



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メーカーサイト

http://www.suzuki.co.jp/car/spacia/




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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。







前田恵祐



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