「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#127 新エンジンは静やかに


スズキ スイフト 1.2XG-DJE ~ 試乗インプレッション(2013.7)



~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 スイフトに1気筒当たり噴射ノズルを二つ備えた「デュアルジェット」と称する新エンジンが搭載された。燃焼室の圧縮比を高め、かつ適切に燃焼温度や効率をコントロールするもので、これを得た結果JC08モード燃費は2WDのCVT車で26.4km/Lまで向上した。今の時代ただのコンパクトカーというだけでは飽き足らず、なにかしらの燃費向上施策を示さなければ商品力を持たない。その意味で今回エネチャージと共にエンジンそのものにも大きくメスを入れたスイフトのマイナーチェンジはエコカーとしての資質を大きく高めているはずである。



エクステリア



 エクステリアにおける大きな変更点はない。前バンパー左右のグリルにベゼルが追加された程度。外見より中身を進化させるという姿勢は国産車の中にあって真面目な考えだ。




 サイドに回るとホイールカバーが新意匠。




 リアはほぼ変更無し。もともと特徴的でスイフトであると一目でわかるキャラクター。



視界・扱いやすさ



 メーターパネルは専用デザインでスピードメーター内側にエネルギーフローや燃費が表示される。左側にバーグラフ状のタコメーターを備える。ハンドルは手動のチルトとテレスコピック調整。パワーウインドウは運転席のみオート。シートリフターはラチェット式で背もたれも一緒にシート全体が上下する。殺風景だがオーディオはオプション、空調はこのベースグレードでもオートエアコンである。




 左Aピラー方向。角度が立っていて視界を妨げないピラーだがサイドミラーがやや大きめ。




 左後方。Cピラーそのものはさほど太くないが、ドアガラス後端の内張りが視野を削いでおり残念。



インテリア・ラゲッジ



 黒基調のシックなカラリングのみの設定。もう一色あるといいのにと思うが、そこはコストとの兼ね合いが大きいのだろう。前席はバケットタイプでサイドサポートの存在感がはっきりとある。ホールド感は上々で快適だが、座面中央が時間と共に沈む傾向にある。背もたれの硬さとも差が生じるから長時間ドライブでは疲労の原因になるかもしれない。体重の軽い人なら気にならないかもしれないが。
前席頭上空間/こぶし1つ半




 後席は広々とはしていないが、シートもケチらずしっかりしているし、工夫をしてスペースを稼いでいる。例えばつま先は前席の座面下にすんなり収まるし、頭の周囲も圧迫感なく視野も開けている。
後席頭上空間/手のひら1枚
後席膝前空間/こぶし1つ




 ラゲッジスペースはごらんの通り。これも広々とはしていないがこのクラスの標準的レベルといっていいだろう。



エンジン・トランスミッション

 1気筒あたりインジェクターノズルを二本備える理由は、圧縮比向上による不整爆発(ノック)をより精密にコントロールしようという狙いからで、簡単に言えば燃焼効率を高める為の装置だ。そしてこれをさらに凝ったシステムでおこなっているのがマツダのスカイアクティブと考えていい。




 元来静かで滑らかなエンジンだったがそれは変わるところなく、一回りトルクが厚くなったような気がする、その程度の違いである。むしろ、こうした「エコカー」でありながらドライバビリティにまったく影を落とさず、例えばアクセルの反応は極めて自然だし、CVTの印象もいたってダイレクトだ。燃費をなんとかしようとしてドライバビリティが悪化するケースはざらにあるが、このクルマではまったく影響が見られなかった。スズキとしても、そこのあたりをきちんと作ってきたという自負があるようだ。エネチャージを備え、減速中からアイドリングストップを行なうが、その作動や再始動のレスポンスとスムーズさはしっかり確保している。このあたりはうまい。試乗車の平均燃費計は12km/L台を示していた。



足廻り



 このモデルになって、ホイールストロークに比較的余裕があり、懐の深い立ち回りを見せているスイフトだが、今回もその印象は変わらない。アシがきっちり良い仕事をし乗員を揺さぶらないし、ロールスピードやコーナーでの接地感も自然だ。ただ、多少ダンパーが弱められたような気がする。ダンピング不足によるピッチングが多少出ていて収束に少しだけ時間がかかるのが気になった。反面タイアの踏面の硬さがクローズアップされ、バランスが少し崩れたように思う。ダンパーはもう少し強めに効かせていい。



結論

 言われなければ今までのスイフトとまったく同じである。新エンジンだからという事前情報とともに乗り込んで、それでもエンジンが主張してくるわけでなし、かといって燃費のために失ったものがあるわけでなし、うまく仕上がっていることには違いない。燃費が良くなっているのに何も変わっていない、ということに値打ちを見出せる。しかし燃費以外の面でアップデートが見当たらない、という言い方もできる。デビューから三年という期間を経て、燃費以外の部分にもなにかしらの改善点、改良点があってもおかしくないように思える。曰くこの新エンジン搭載車の利益は他のものに比べてかなり少ないという。スズキは良いものを「安く」という姿勢だからいたずらに価格を上昇させるわけにも行かなかったのだろうが。






10項目採点評価

基本ポリシー >>> 8
スタイル/インテリア >>> 8
エンジン/トランスミッション >>> 8
NVH >>> 8
ドライバビリティ >>> 8
スペース >>> 7
気配り度 >>> 8
先見性 >>> 8
完成度 >>> 8
バリューフォーマネー >>> 9



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試乗データ

試乗日:2013年7月22日
試乗車:スズキ スイフト 1.2XG-DJE(車両本体価格:1,397,550円)
型式:DBA-ZC72S
エンジン:K12B
トランスミッション:CVT
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:3850×1695×1500mm
ホイールベース:2430mm
最小回転半径:4.8m
車両重量:1000kg
タイア:175/65R15 84H
JC08モード:26.4km/L
ボディタイプ:5ドアハッチバック
ボディ色:スノーホワイトパール<ZMT>
内装色:ブラック/ファブリック



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メーカーサイト


http://www.suzuki.co.jp/car/swift/



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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。





前田恵祐



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