「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#130 「お・も・て・な・し」


ルノー ルーテシア インテンス 試乗インプレッション (2013.10)



~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 新型ルノー・ルーテシアも世の潮流に追随して小排気量+ターボにDCTの組み合わせで登場した。アンチドイツ派にとって気になる存在になるだろう。実のところルーテシアは免減税の対象になっていないのだが、それでもルノーが作る最新の小型車とあらば外すわけには行かない。ベーシックラインとしてどのような出来、走りを見せてくれるのか、確かめてきた。



エクステリア



 フランス車として強い主張があるわけでなし、どんな風景にも紛れ込んでしまうであろうスタイル。しかしそれが本来のルノーだと思ってもらいたい。フランスの他メーカーでは仰々しいまでのデコレーションで濃い口のデザインを施しているものもあるが、あれは輸出先国の人間が「フランス」と思うものを象徴的に作り出しているに過ぎず、こちらが本来のフランスの「普段着」と捉えるべきだろう。




 どこか日本車的なテイストがあるなと感じていたが、なるほど、マツダに在籍した経歴のあるデザイナーによるスタイリングだという。




 決してキライではないが、アルファ147あたりから始まったこの種のテールランプデザイントレンドは、いったいいつまで続くのだろう。



視界・扱いやすさ



 メーターはユニークな構成で、アナログタコメーターと燃料残量計の間にデジタルの速度表示が備わる。見やすい。ハンドルはチルト&テレスコピック。しかしスポーク部から延びてくる樹脂素材とリムに張られているレザー素材の手触りに統一感がなく、個人的に好まない。パワーウインドウは運転席のみワンタッチ。ラチェット式の運転席シートリフターとダイアル調整式リクライニングを備える。ナビのような画面がついているがこれはオーディオ機能のみ。行く行くビルトインタイプナビゲーションを出すつもりだというが・・・




 Aピラー方向の視界はスッキリとしている。




 試乗車と異なるが、一応同一車種で撮影、後方視界。世の中バックガラスがどんどん小さくなっていく。



インテリア・ラゲッジ



 先述Aピラー付近のすっきり感とスカットル高の低さも手伝って開放感がある。これはフランス車のよき伝統。試乗車は外装色とコーディネートされたブルーのアクセントが施されている。外装のブルーと比べて一段トーンが下げられているあたり、芸が細かい。




 一見なんの変哲もないシートに見えて、座ると10分も必要ない。フィット感などという安っぽい表現を用いるのも失礼なくらい、身体に対する「お・も・て・な・し」が徹底しているシート。全体的にガッシリとした印象で安心感を与えつつ、「ここを押さえてくれると気持ちいい」という場所をみごとに押さえている。ツボにはまるのだ。相変わらず身体に優しいシート、このシート一点買いしてもいいくらいだ。

・前席頭上空間/こぶし1つ




 後席もケチっていないのがまたいいところ。サイズしかり、形状しかり、前席からの見劣り感の少なさはやはりルノー。しかしスペースそのものはちょっと狭いかな。

・後席頭上空間/手のひら1枚
・後席膝前空間/手のひら2枚




 ラゲッジスペースは意外と確保してある方に思える。横方向に掘り込めないのは後突対策か。



エンジン・トランスミッション

 1.2リッター4気筒ターボは粘り強く低速域からハイギア、低回転で頑張る。回して官能的という訳ではないが、高回転でもイヤな音や振動が高まらない、耳に入って鼓膜がイヤがらない設えに成っている。これもルノーの「お・も・て・な・し」。




 EDCと呼ばれるデュアルクラッチミッション(DCT)。エンジンの性格もとくに快活というより粘り強いという印象が勝るから、ミッションも手動操作に対し電光石火のギアチェンジというより、ナチュラルに、スムースに、という動作を念頭においているように思う。ただ唯一、走り出しの初動クラッチミートが、思いのほかドンと来るのが目立ったくらい。ま、慣れの問題。



足廻り



 ハンドルは軽いが、ハンドルのリムからはきちんと路面のタッチを伝えてくる。余分な振動がカットされている感じで洗練されている。205/45、17インチを履くこのグレード、タイア踏面の硬さを感じるのはいたしかたないとして、サスペンションストロークは余裕に満ち、少々の外乱、凹凸では馬脚を現さないしたたかさとしなやかさを両立している。剛性も取れているようでイヤな騒音、振動をクルマ全体でカットできている。乗っていて快適、というか、身体がイヤがらないという表現が適切。



結論

 少なくともこのクルマ、表面的な部分はむしろ地味なほうですらある。乗ってみて五感に訴えるもの。それはイタリアが官能ならこちらはまちがいなく「優しさ」。自動車は鉄の塊だし合成物質を組み合わせて作り上げられた工業製品だが、ルーテシアに乗って伝わってくるものとは、ヒトを生理的に嫌がらせない、優しく、心地好い移動空間、移動時間とさせたい心遣いである。ディーラーに行って綺麗なお嬢さんが迎え出てくれたり、ナビを押すとレストランを予約してくれるのが日本車流のモテナシだとするなら、こちらはフランス車流の「お・も・て・な・し」がある。日本流がどちらかというと後付けなのに対し、こちらはクルマの本質からアプローチした歴史のなせる業、という気がするのだが、いかがだろう。







10項目採点評価

基本ポリシー >>> 8
スタイル/インテリア >>> 7
エンジン/トランスミッション >>> 8
NVH >>> 9
ドライバビリティ >>> 9
スペース >>> 6
気配り度 >>> 8
先見性 >>> 7
完成度 >>> 9
バリューフォーマネー >>> 8



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試乗データ

試乗日:2013年10月3日
試乗車:ルノー ルーテシア インテンス(車両本体価格:2,380,000円)
型式:ABA-RH5F
エンジン:H5F/1,197cc・4気筒・ターボチャージャー付・気筒内直接噴射DOHC16バルブ
トランスミッション:6段オートマチック(EDC・エフィシエント デュアル クラッチ)
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:4095×1750×1445mm
ホイールベース:2600mm
最小回転半径: -
車両重量:1210kg
タイア:205/45R17
JC08モード: -
ボディタイプ:5ドアハッチバック
ボディ色:ブルー ドゥ フランス
内装色:ブルー&ブラック/ファブリック
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メーカーサイト

http://www.renault.jp/car_lineup/lutecia/



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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。

前田恵祐



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