「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#137 焦点は”ステアリングバイワイア”


日産 スカイライン350GT HYBRID Type SP 試乗インプレッション (2014.3)

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~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 最新のスカイライン。いつの世にあってもクルマ好きにとって一度ハンドルを握ってその走りを確かめてみたいクルマである。他のブランドよりはっきりと期待値が高く、その分仕上がりのハードルが高い。ま、自らドライバーズカーであることを主張しているだけに自信もあることだろう。二世代前、それまでのマニア向け銘柄からプレミアムカーとして再出発。数えて13年。国内外にライバルがひしめく中、スカイラインの立ち位置はどこにあるのか、確かめてきた。



 エクステリア



 パールホワイト塗装のため膨張して見えるが、実際によく観察してみるとサイズは大きいもののシェイプされていてシャープな印象もある。発売直前まで議論された結果インフィニティCIを備えることになったという。他の日産とは違うんですよ、ということらしい。




 Cピラーの形状などにV35型以来のアイデンティティが見られる。




 丸目四灯であるかどうかの議論もあったが遠い昔。しかしこのクルマならではというリアデザインを生み出せているかどうかは疑問。



 視界・扱いやすさ



 ナビゲーション標準。エアコン、オーディオ等の操作系に例のタッチパネル式を採用。これはやはり操作性と美観(指紋が目立つ)に難あり。ハンドルは電動チルト&テレスコピック調整。駐車ブレーキはペダル式で解除は二度踏み。運転席、助手席とも8ウェイパワーシートでランバーサポートも電動。パワーウインドウは全席ワンタッチ。運転席からはボンネットを視認出来る。




 Aピラーはフロントガラスに映りこむがむやみに太くはない。




 リアウインドウは天地が薄いもののサイドウインドウはウエストラインも低くまずまずの後方実視界。不使用時にリアへッドレストがきれいに収納できればなおよし。



 インテリア・ラゲッジ



 白に近いベージュのインテリアだがダッシュボードは黒とのツートン。もちろんフロントガラスへの映り込み対策だがならばAピラーも黒くすればいいのに。試乗車の本木目フィニッシャーはオプション。これ以外に本アルミフィニッシャーなどがあるのも歴代共通。全体的に先代と似通ったイメージ。




 このクラスのクルマとしてはシートクッションが薄い印象の前席。サイズも余裕たっぷりというほどではない。といってスポーティに左右の拘束感が強いかというとそうでもなく、なんだかとりとめのない坐り心地。ランバーサポートがきちんと効いているのが救い。

・前席頭上空間/こぶし1つ(サンルーフあり)




 後席はサイズも充分でなぜか前席よりかけ心地はリッチ。前後方向の余裕もあり、フーガより広く感じるほど。なかなかの居住性。

・後席頭上空間/手のひら1枚(サンルーフあり)
・後席膝前空間/こぶし2つ




 キャビンとトランクの隔壁部にハイブリッドバッテリーが鎮座。それでもゴルフバッグ4つを飲み込むという。トランクリッドのヒンジはパンタグラフ式。



 エンジン・トランスミッション



 フーガハイブリッドと基本的に同じシステム。いまだに3.5リッターという「大排気量エンジン」を組み合わせているが、それでいて高速域でもEV走行できるというメリットも持ち合わせている(他のハイブリッドでは高速域、EV走行できないものが多い)。トランスミッションも7段の一般的なオートマでハイブリッド車特有の違和感を感じない。モーターとエンジンを総動員したときの圧倒的な加速力も見どころのひとつ。



 足廻り

 新しいスカイラインの大きな特徴のひとつにダイレクトアダプティブステアリング、即ちステアリングバイワイアがある。これはドライバーによるハンドル操作を電気信号に変換してステアリング機構を作動させるもので、ステアリングシャフトは原則途中で分断されている(緊急時のためのバックアップ用直結クラッチは存在する)。ステアリングのロックトゥロックは2回転ほどで、それ自体目立ってクイックというわけではないが、実際にはバリアブルレシオをもつステアリングのように微小舵角では穏やかに、切り増すほどにクイックに、という特性を持つ。




 それよりなによりこのシステムは、レーキーピングアシストなどをよりきめ細かくコントロールするためであったり、将来的には自動運転を視野に入れたシステムだと思ったほうがいい。個人的にそうしたものは機械が人間を信用していないようでなんだかイヤなのだが、これもまた世の流れというもの。車輌全体の身のこなしは軽快で、かつ剛性感のあるものになっている。なぜかサスペンションストロークを意図的に短く感じさせるような設えになっていて、それが「スポーツカーらしさ」の狙いなのかもしれないが、そのへんの考え方はやや旧いかなと感じた。



 結論

 残念なのは、ステアリングバイワイア以外に新しいものがないということ。スポーツセダンとして妥当な出来だと思うし、パワーユニットやハンドリングにも魅力はそれなりにあるが、2014年に登場する、しかもクルマ好きから注目されることがわかっているクルマとしては少々ボンヤリしている方ではないだろうか。例えばエンジンはもっと小型化していてもおかしくないし、デザインにしろ、サイズにしろ、従前の価値観のまま出てきているという印象だ。キープコンセプトという行き方もあるが、それはあまり積極的でない。積極的でないスカイラインはただの凡グルマだ。もっと斬新な価値観と磨きのかかった走りを両立した、目の覚めるようなクルマであって欲しい。







 10項目採点評価

ポリシー >>> 6
スタイル・インテリア >>> 7
エンジン・トランスミッション >>> 8
NVH >>> 6
ドライバビリティ >>> 8
スペース >>> 8
気配り度 >>> 7
先見性 >>> 7
完成度 >>> 7
バリューフォーマネー >>> 6




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 試乗データ

試乗日:2014年3月17日
試乗車:日産 スカイライン 350GT HYBRID TypeSP (車輌本体価格:5,264,700円/OP別)
型式:DAA-HV37
エンジン:VQ35HR+HM34
トランスミッション:7段オートマチック
駆動方式:FR
全長×全幅×全高:4800×1820×1440mm
ホイールベース:2850mm
車輌重量:1800kg
最小回転半径5.6m
タイア:245/40RF19 94W(ランフラットタイア)
JC08モード燃費:17.8km/L
ボディタイプ:4ドアセダン
ボディ色:クリスタルホワイトパール<#QAA スクラッチシールド>(特別塗装色)
内装色/素材:ベージュ/本革




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 メーカーサイト

http://www2.nissan.co.jp/SKYLINE/




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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある仕様や評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をして、よくお確かめください。










前田恵祐



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