「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#140 爪を隠す小鷹


トヨタ アクア G"G's" 試乗インプレッション (2014.5)



~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 アクアはトヨタ最小のハイブリッドカー。ヴィッツクラスの車体にトヨタ自慢のTHS2を搭載し、標準グレードでJC08モード燃費37.0Km/Lを実現する。2011年暮れに登場すると瞬く間に大人気車種の地位を獲得した。時代背景として、よりダウンサイジングが求められていたことに即応したことが勝機といえた。今回試乗させていただいたのは、アクアのシリーズの中でも特にスポーティな走りを追求した話題の"G's"仕様である。



 エクステリア



 クリーンな印象のアクアのマスクだが、深いエアロバンパーとそこに施されるメッキ加飾によって一種のエグさを醸す。こうした見栄えに関しては好みの問題。レスオプションがあってもいいように思う。試乗車にはオプションのカーボン柄ドアミラーカバーを装着。




 Aピラーの傾斜はボンネットから始まって頂点をBピラー付近で迎える。アルミホイールは17インチ。全長は4メートルをわずかに超える。




 ボディ同色のリアワイパー。テールレンズはこれでもノーマルと同じ。尾灯点灯時、制動灯は面積の変化で認識できる。



 視界・扱いやすさ



 オーディオレス4スピーカーが標準で試乗車はディーラーOPナビ装着。空調の操作系統は目視を最小限にしてブラインド操作可能。シフトレバーは通常のゲート式、駐車ブレーキはハンドレバー。パワーウインドウは運転席のみワンタッチ。ハンドルは小径でグリップも太い。




 Aピラーは方向の視界はごらんの通り。フロントガラスへのピラー映り込みあり。ピラーは寝ているがガラス面積は標準的で特別開放感があるわけでもない。




 Cピラーの太さ。リアドア後端はデザイン上の理由から斜めにカットされており、惜しいことに視界をやや妨げている。せめてバックドアガラスの天地方向の幅がもう少し稼げていればと思う。



 インテリア・ラゲッジ



 ”G's”のダッシュボードには合皮にステッチ仕上げのフェイスフィニッシャーがあしらわれる。さわり心地もソフト。全体的にダッシュボート、スカットル高は低めで圧迫感が少ない。しかし黒=スポーティという固定観念もそろそろ捨てられないものだろうか。もっと新しい提案があっていい。




 前席は”G's”専用のバケット。掘りの深いサイドサポートと適度な硬さでレカロシートを髣髴とさせる。サイドが合皮、中央部分がアルカンタラの表皮を採用し、特に腰と尻部分の滑りにくさを確保する。座面は前端に向かって高くなっており尻が前にずれるのを防ぐ。これと併せ、背もたれの調節で好みの後傾角を調整できる。また、ラチェット式の高さ調節を備える。

・前席頭上空間/こぶし1つ




 後席座面下部にハイブリッド用バッテリーを設置していることと、エアロダイナミクスの観点から天井はBピラーを頂点に後端に向けて下がっているから後席の天地方向のゆとりはミニマムだが、座面の形状を工夫してなんとか支障のない空間を得ている。

・後席頭上空間/手のひら1枚
・後席膝前空間/こぶし1つ




 ラゲッジスペースのフロア面積は外観から想像する以上に確保されているように思う。むろん6:4分割可倒する。この手のものとしてはスペースを上手く使っているほうだろう。



 エンジン・トランスミッション



 ”G's”はあくまでもボディと足廻りのチューニングでエンジンはノーマル。ここはノーマルアクアと同じと思っていい。希望を言うなら1.5よりもさらに低いエンジンで成立させて欲しいということ、また、”G's”専用のチューンとして、例えばF1のKERSのようなスクランブルブースト機能などがあるとなお楽しいかなとは思う。




 試乗中の燃費は19.1Km/Lだった。



 足廻り



 ”G's”の見所はまさにここ。17インチタイアを備えるだけでなく、硬められたサスペンション、各部に施された補強でより強固になったボディ、そこから生み出されるソリッドな走りにある。しかし実際に走ってみると、日常領域では元来アクアが持つしっとりとした優しい味わいを残していて、想像よりずっとゴツゴツ感は少ない。けれどもそれはボディを補強しているために17インチタイアでさえも無難に履きこなしている証でもある。また、ひとたび高負荷がかかると車体のしっかり感がはっきりと感じられ、コーナーリング時の安定感やハンドルに伝わる接地感など、「これは普通のアクアではないな」と思わせる。特別回頭性が高められている印象はないが、ハンドルの手応えと骨太な剛性感を味わいながらリズミカルなコーナーリングを楽しむにはもってこいのセッティングだ。



 結論

 先にも書いたが、外観の仕様でノーマルを選べたらいいのにと思う。そうなればまさしく能ある鷹は爪を隠す、になる。ボディ、足廻りという、体感領域のチューニングを施したトヨタの独自スポーツブランド”G's”。その実力は、実は我が我がと主張してくるものではなく、普段は快適な走りをキープしながら、飛ばすと能力の高さを発揮するというじつにツウ好みのものだった。外観の子供っぽさとは裏腹のその実力は、外観で選ぶ人にはちょっと届きにくいかもしれない。だからこそ、筆者はノーマル然とした仕様が好ましい。





 トヨタが自ら、外観はともかくこうした「味付け」のクルマを出してきていることに意外性があり、興味深い。今後、こうした「実験」が、大量生産車にも反映されて、トヨタのクルマの乗り味はいいね、という定評に繋がっていくことを願ってやまない。




 10項目採点評価

ポリシー >>> 9
スタイル・インテリア >>> 5
エンジン・トランスミッション >>> 8
NVH >>> 10
ドライバビリティ >>> 10
スペース >>> 7
気配り度 >>> 7
先見性 >>> 8
完成度 >>> 9
バリューフォーマネー >>> 7




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 試乗データ

試乗日:2014年5月17日
試乗車:トヨタ アクアG”G's” (車輌本体価格:2,283,429円)
型式:DAA-NHP10-VLJBXE
エンジン:1NZ-FXE+1LM(直列4気筒1496cc+モーター)
トランスミッション:CVT
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:4055×1695×1420mm
ホイールベース:2550mm
車輌重量:1110kg
最小回転半径:5.8m
タイア:195/45R17 BSポテンザRE050A
JC08モード燃費:37.0km/L(ベース車)
ボディタイプ:5ドアハッチバック
ボディ色:イエロー<5A3>
内装色/素材:ブラック/合皮&アルカンタラ(”G's”専用)
装着オプション:
     G'sアルミホイール(ダークスパッタリング)(64,800円)
     LEDヘッドランプパッケージ(108,000円)
     スマートエントリーパッケージ(55,080円)
     ナビレディパッケージ+アドバンストディスプレイパッケージ(76,680円)
     フロアマット(G's専用)(23,760円)
     ドアミラーカバー,カーボン調(18,360円)
     スマートナビ「NSZT-W60G」(183,600円)
     ETC車載器(ブラックボイス,ナビ連動)(27,000円)




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 メーカーサイト

http://dkwt.toyota.jp/gs/lineup/aqua/index.html




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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある仕様や評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をして、よくお確かめください。










前田恵祐

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