「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#142 妙にお手軽な感じがイヤだ


スバル レヴォーグ 1.6GT 試乗インプレッション (2014.6)



~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 レヴォーグの発売に当たって、スバルは25年ぶりのフルモデルチェンジとうたっている。レガシィツーリングワゴンの生まれ変わりだといいたいのだろう。しかし実のところこのクルマは格下のインプレッサをベースとしており、いわばインプレッサ・ツーリングワゴンだ。ダウンサイジングすることで拡大しつづけたレガシィへの批判に応えた格好だが、従前のレガシィファンを納得させられるだけのものがあるのか、確かめてきた。



 エクステリア



 ボンネット上の大きなエアスクープを備える攻撃的な表情に、低く弧を描くようにカーブするルーフ。一見してそのスタイリングはスポーツカーのものだ。




 悪く思わないで欲しい。筆者にはカルディナとどこが違うのだ、と思えてならない。ま、ワゴンのスポーツカーを目指しているなら同じようなシェイプにはなっていくだろう。ホイールは17インチでアルミホイールに空力的処理を施したホイールカバーが被せてある。




 テールライトはレガシィのイメージ。オーバーハングも短く、いわゆるツーリングワゴンというよりショート・スポーツワゴン。



 視界・扱いやすさ



 試乗グレードはベースグレードでアイサイトも備えない。オーディオレス4スピーカーが標準。エアコン操作はダイアル式で温度などは上部ディスプレイに表示。シートは手動で、ラチェット式高さ調整が可能。駐車ブレーキはこのグレードに限っては一般的なハンドレバーで、他は電気式スイッチで操作する。パワーウインドウは全席ワンタッチ。ハンドルはチルトとテレスコピックを一度に調整できる。





 Aピラーは方向の視界。ピラーは細めだが白くて反射する。ただし反射する面を極力少なくするような工夫も見られる。ドアミラーはやや後ろよりに取り付けられており、意識的に首を振って視認するイメージ。




 最終ピラーをより立ててガラスの隅を抉ってくれればもっとすっきりする後方視界。しかし寝かせたいのはスタイリングと空力と後突時の対衝撃性。縦の柱とするより横方向の梁の延長とした方が強度は取りやすい。



 インテリア・ラゲッジ



 内装色は基本的に黒で、本革にはアイボリーも選択できる。オーソドックスだが殺風景でもあり、ボリュームゾーンが300万円クラスのクルマとしては味気ない気がする。




 シートはインプレッサシリーズと同じものと思われる。サイズはほどほど、横方向の拘束も少なめで乗り降りはしやすいが、身体をきちんと支えてくれる印象も弱く、どこかとりとめのないかけ心地。GT-Sのスポーツシートになると、その点なかなか具合がいい。

・前席頭上空間/こぶし1つ+アルファ




 後席のかけ心地が見劣りしないところがスバルの美点でもある。サイズ、座面高とも適切で、空間の余裕はたっぷりとは言えないが快適な居住空間。やや天井が低いのが気になる。

・後席頭上空間/こぶし1つ弱
・後席膝前空間/こぶし1つ半




 ラゲッジスペースの床面積は広い。スバルの得意とするところだ。ワンタッチで後席を倒しフラットフロアを得ることもできる。



 エンジン・トランスミッション



 FB16型フラット4を直噴ターボ化。シリーズの中では実用性重視のレギュラーガソリン仕様。トルクフルというわけではないが、リニアトロニックがうまく馬力を引き出してストレスなく街中をリードできる。スロットルを意識的に深く踏み込めば穏やかにブースト圧が高まり帆に風を受けたヨットのごとく滑らかに速度を上昇させる。軽快かつ滑らかにして静か。よく出来たパワーユニット。ボンネットはダンパーで支える。




 試乗中の燃費は13.7Km/Lという値が出た。



 足廻り



 ハンドルは歯切れがよくダイレクトでセンタリングもはっきりしている。バネ系も引き締まった印象で基本的に堅めながらダンパーの動作精度が高く、微小突起をうまくいなし、路面のうねりも鷹揚に受け流す。パーツ単位だけでなく取り付け剛性も高められているからこそサスペンションが上手く作動し、堅くしても乗り心地を損なわない、そのお手本のような足さばき。こうしたところ、スバルはちょっと他の国産車を寄せ付けないだけのものはある。ライバルはBMWだろう。



 結論

 比較的小型のスポーツワゴンとしては上出来。エンジン、足廻りともじつに洗練されていて、運転するといいクルマであることがわかる。しかし、これをレガシィの生まれ変わりとするにはチト無理があるんではなかろうか。レガシィが築き上げてきた信頼とは、技術、思想の点でスバルの持つ先端を行くことにあり、妥協せず理想主義的に仕上げられた、いうなれば高級車である。このクルマは、インプレッサをベースとしていることが隠しようがなく、どうしても格下というイメージが払拭できない。




 スバルというメーカーは真面目なのはいいが、反面遊び心を知らない。それは以前から指摘されているところだ。本来レヴォーグは「小さな高級車」を目指すべきではなかったか。外板にベース車であるインプレッサのイメージが残ってしまうのが仕方ないとするなら、内装はもっと贅沢なトリムとして、本革、ファブリックともいくつかセンスのいいものを選択肢として挙げておく、またカラーリングも、納期はかかるがいくつかの種類を用意しておくなど、ただの量産車では実現できないことを可能とさせる「高級」の提案があっていい。でなければレガシィとほぼ同等の価格を支払う説得力が薄い。そこいらあたりの「創造力(想像力)」に乏しく、従前の「スポーティ」から新たにイメージを拡げていけないあたりがスバルの弱点であり、このクルマの可能性を狭めてしまっている悪因だと筆者は思うのだが、いかがだろうか。




 10項目採点評価

ポリシー >>> 6
スタイル・インテリア >>> 4
エンジン・トランスミッション >>> 10
NVH >>> 10
ドライバビリティ >>> 10
スペース >>> 7
気配り度 >>> 7
先見性 >>> 8
完成度 >>> 8
バリューフォーマネー >>> 6




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 試乗データ

試乗日:2014年6月13日
試乗車:スバル レヴォーグ 1.6GT (車輌本体価格:2,667,600円)
型式:DBA-VM4
エンジン:FB16(水平対向4気筒1599cc直噴ターボ)
トランスミッション:リニアトロニックCVT
駆動方式:AWD
全長×全幅×全高:4690×1780×1485(ルーフアンテナ含)mm
ホイールベース:2650mm
車輌重量:1520kg
最小回転半径:5.4m
タイア:215/50R17
JC08モード燃費:17.4km/L
ボディタイプ:5ドアステーションワゴン
ボディ色:ギャラクシィブルーシリカ
内装色/素材:ブラック/ファブリック





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 メーカーサイト

http://www.subaru.jp/levorg/levorg/





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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある仕様や評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をして、よくお確かめください。










前田恵祐



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