「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#150 依然として”ホンモノ”


 メルセデス・ベンツ C200アバンギャルド 試乗インプレッション (2014.11)



~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 小さいのに高級車。それが遡って三十余年、メルセデス190Eのコンセプトだった。しかしそれがCクラスと呼ばれるようになり、コストダウンやサイズの大型化、また理念よりもアクセサリーという、メルセデス本体の方針でかつて貫かれた骨太な正義が少なからず歪められ、薄められてきたことは、往時を知る者としては残念な気持ちになる。メルセデスの正義が揺らいでしまうと、いくらスリーポインテッドスターのオーラをもってしてもイマイチ「買い」がなくなってしまう。そんな思いを募らせた三代目までのCクラスに対し、さて今回の最新型はどう出るか。



 エクステリア



 デカい顔、そのあとは比較的スリークにまとめられていて、ここ数年、ヤボでないメルセデスの文法通りといった印象のスタイリング。試乗車はAMGライン装着車でAMGエクステリアにアルミホイールを備える。




 先代にも増してロングノーズか強調されていることを確認できる。むろんこれは衝突安全への対策によるところが主だろう。ゴテゴテとプレスラインを入れて目立たんとするデザインが横行するなか、比較的穏やかで優しい印象のサイドビュー。




 クォーターパネルに埋め込まれているようなデザインのテールランプが特徴的。リアビューもまたあれこれ手を入れるより、シンプルに美しく、という現代の自動車デザインの中では上品さを感じさせるものとなっている。



 運転環境



 計器盤は凝った演出がなく情報が整理されている。しかしヘッドアップディスプレイは不要。ステアリングコラムは、チルト・テレスコピックとも電動調整で調整幅も十分。シフトレバーはコラムから生えており、右手で操作する。パワーウインドウは全席ワンタッチ。エアコン操作パネルは上下に動かすスイッチで、スイッチのサイズは小さいが視認に要する時間は最小限。ナビの操作は代を追うごとに整理されつつある。でも操作は停車時に。駐車ブレーキはダッシュボード右下にあり、ちょっとわかりにくい。




 Aピラー太い。しかしダッシュボード上面含め、フロントガラスに写りこまないようになっているあたりはさすが。スカットル高が高めで内装部材がやや分厚いと感じられ、車幅感覚にはあまり有利でない。




 リアウインドウの視界よりリアドアガラスの小ささが気になる後方視界。また、前席からルームミラー越しに見ると、リアトレイが一段高くなっていて、これもまた内装が「分厚い」と思わせる要因になっている。



 インテリア・ラゲッジ



 オヤクソクの黒レザーインテリア。木目パネルはつや消し仕上げ。包まれ感がありつつ視界もひらけている、そのバランスの良さがメルセデスのインテリア。とりたてて心躍る魅力に溢れているというわけではないが、飽きが来ず機能的、かつ仕上げが丁寧でイイモノ感がある。昔のヤボったさとは隔世の感だが、それでいて大人の洗練された思想で設計されていることが伝わってくる。




 運転席は深めのサイドサポートに座面前端の長さ調整も備えるスポーツタイプだが思いのほか拘束感は少ない。フロアから座面の高さも以前より確保され、足を投げ出すような以前のCクラスの運転姿勢とは決別している。分厚いクッションとは感じないが、着座姿勢も自然でシート全体で優しく身体を支えてくれる安心感がある。レザーだがこれは合皮で”ARTICO”と呼ばれるもの。言われなければ本革と見紛う。

・前席頭上空間/こぶし1つ半




 きちんと背筋を伸ばして座らせ、シート自体もピシッと身体を受け止める、良い意味で弛緩させないいつものメルセデスのリアシート。しかし、ご覧のとおりヘッドレストはこの大きさで大丈夫なのだろうか。高さの調整幅はあるが、それでも後頭部と「点」で触れるという印象。ちょっと国産車チック。頭上空間は座高90センチにはミニマム。膝前空間はほどほどだが、前席の下につま先が入りにくい。

・後席頭上空間/手のひら1枚
・後席膝前空間/こぶし1つ半




 トランクルームは奥行があり、後席は分割可倒。手前側の左右の壁も掘り込んでありこれはゴルフバック対策と思われる。



 エンジン・トランスミッション



 C200は2リッターターボエンジンの184馬力仕様。日産に供給されているものより振動が少なくなめらかで、軽快感も高い。あるいは単純に車体とのマッチングがいい。7段のトルコン式オートマチックもより洗練されており、シームレスに豊かなトルクを路面に伝達してくれる。パドルシフトも備わるが、とりたててそれを駆使して走ろうという気にはさせない。BMWではないのだからそれでいい。試乗中の燃費は10.5Km/Lを表示していた。


 足廻り



 これまでの筆者の経験上、アバンギャルドのアシでマトモなものにお目にかかったことはなかった。標準メルセデス(例:クラシックやエレガンス)のアシの懐の深さ、なめらかさ、フラットさ、それらと同時に路面とのコンタクトを乗員に必要なだけ伝達するという知的さの高いバランスを、今まで筆者が経験したアバンギャルドのアシはあらかた台無しにしていた。


 今回、このC200アヴァンギャルド・AMGラインにはAIRMATICアジリティパッケージが備わっている。これはすなわちエアサス。簡単にいうとこのエアサスが非常にモノを言っている。これまでの「出来損ないの車高短」改めフェザータッチとでも言おうか。具体的にはおとなしく走った時のフラットライドと滑らかさ、キメの細やかさ、静けさは今までの標準モデルのアシ以上だし、クイックに走った時の追従のダイレクトさ、俊敏な身のこなしは今までのアバンギャルド以上だ。エアサスの路面追従性は言うまでもないが、それを受け止める土台と骨格の確かさ、また各取り付け部の剛性が高く、しなやかなのに一体感があり、スポーティですらある。これはなかなか夢のアシだ。



 結論

 部分的にケチっているように思えるところは無いではないし、なにより電子的運転介助などのアクセサリーで気を惹こうとしているようなあたりがメルセデスっぽくない、と感じる中年層の筆者だが、しかし乗ってみればあらゆる部分で完成度が高く、荒っぽさがない。また使っていてフラストレーションが溜まるようなところがないあたり、とても行き届いた設計思想があると感じさせてくれた。昔の、巌の思想、巌の安心、を求めると多少ならずもガッカリするかもしれないが、このクルマ、一言で言うと、モノの良いブランド品である。






 メルセデスのモデルミックスはここ数年多様化が著しく、特に低価格層のFFモデルの充実ぶりが目立つ。それはなによりメルセデス自身が自ら大衆化を望んで、例えば今までフォルクスワーゲンやアウディに奪われていた層を取り込もうと躍起になっている証拠であるし、またそうしたFFメルセデスの出来も相応に納得できるだけのものになっている。だから、このCクラスはやや上級移行したというのが現状だろう。かつてのEクラスと同等立ち位置を与えられていると考えていい。先進国ではデカくてエラそうなクルマに乗るのは格好悪い、というのが世論風潮だから、いかにリッチでもCクラスか、せいぜいEクラスで地味に行くというのがユーザーの気分には合致しているのだろう。その意味で上級クラスからのダウンサイジングを受け止めながら、品質や安全性では上級クラスから見劣りしない、というのがこの新型Cクラスのコンセプトであり、それは十分にまっとうされていると思う。カネがあれば買いたいクルマだ。





 10項目採点評価

ポリシー >>> 9
デザイン >>> 8
エンジン・トランスミッション >>> 8
音・振動の処理 >>> 10
走りの調律度 >>> 10
運転環境と室内空間 >>> 9
ヒトへの優しさ度 >>> 8
卓見度 >>> 8
完成度 >>> 10
バリューフォーマネー >>> 8





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 試乗データ

試乗日:2014年11月20日
試乗車:メルセデス・ベンツC200アバンギャルド
車輌本体価格:5,240,000/オプション別
型式:DBA-205042
エンジン:274(直列4気筒1991ccターボチャージャー付)
トランスミッション:トルコン式7段オートマチック
駆動方式:FR
全長×全幅×全高:4715×1810×1430mm
ホイールベース:2840mm
車輌重量:1590kg
最小回転半径:5.1m
タイア:前225/45R18 後245/40R18(BSポテンザS001)
JC08モード燃費:16.5km/L
燃料タンク容量:66L(無鉛プレミアムガソリン)
ボディタイプ:4ドアセダン
ボディ色:#988ダイアモンドシルバー(メタリック)
内装色/素材:ブラック/レザーARTICO
装着されていたオプション:
    メタリックペイント(86,400円)
    プレミアムパッケージ(320,000円)
     ・パークトロニック
     ・アクティブパーキングアシスト
     ・シートヒーター[前席]
     ・ヘッドアップディスプレイ
     ・ハンズフリーアクセス(トランク自動開閉機能)
     ・自動開閉トランクリッド
    AMGライン(350,000円)
     ・AMGスタイリングパッケージ[フロントスポイラー、サイド&リアスカート]
     ・18インチAMG5スポークアルミホイール
     ・Mercedes-Benzロゴ付きブレーキキャリパー
            &ドリルドベンチレーテッドディスク[フロント]
     ・レザーARTICO AMGスポーツシート[前席]、AMGスポーツステアリング
     ・レザーARTICOダッシュボード、AMGフロアマット、
            ブラックアッシュウッドインテリアトリム
     ・ステンレスアクセル&ブレーキペダル
     ・AIRMATICアジリティパッケージ



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 メーカーサイト

http://www.mercedes-benz.co.jp/content/japan/mpc/mpc_japan_website/ja/home_
mpc/passengercars/home/new_cars/models/c-class/w205.flash.html





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ご留意ください
この試乗記はあなたの試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある仕様や評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をして、よくお確かめください。












前田恵祐



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