「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

#164 内に秘めたドヤ顔を見た心地


 トヨタ カローラフィールダー ハイブリッド 試乗インプレッション(2015.6)



~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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 三年前に出たばかりの現行カローラ・アクシオに試乗してとても印象が良かった記憶がある。しかしトヨタ自動車は時に改良が真の改善ではなく収支改善の方向に動くこともあるし、顧客からの苦情を鵜呑みにして元の良さを台無しにすることも多々あるから、こうしてマイナー後のモデルにも乗っておく必要がある、ということを言っておきたいし、実際にその結果がどうだったのかの報告も必要であろうと。前回の1.3セダンと異なりフィールダーのハイブリッドにはなるが、改めてカローラを試してきた。



 エクステリア



 最近はヘン顔エグ顔の流行りは収束の方向という認識だが、トヨタはまだそのあたり考えあぐねている模様。ま、トヨタというのはそういう会社。慎重であり物事をよく見極めてから行動に移す。




 ただの営業用ライトバンみたいな雰囲気だが、これはベースグレードゆえおとなしい外観。しかしこれはこれで頓着がすぎず、暑苦しくなくていいのかも。




 前期のすっきりとした印象からややお化粧を施された感のあるテール。フォルムは従前のカローラ、というか常識的な自動車のフォルムをしていて、むしろ安心感さえある。世の中どんどん過剰に個性を追求しようとする方向性にある中で、こういうクルマが一台くらいあってもいいじゃないか。



 運転環境



 このグレードのハンドルはチルトのみでこのひとつ上のグレードならテレスコピックも備わる。ハイブリッドだがタコメーターが備わり、シフトはゲート式、駐車ブレーキはコンソールに設置した従来型のレバー式。ナビ・オーディオの位置は特等席を確保。エアコンのスイッチは頻度の高い項目をダイアル、その他をプッシュというふうに使い分け整理してある。間違ってもタッチパネルなどと馬鹿なことはやっていない。パワーウインドウはこのベースグレードでも全席ワンタッチなのは立派。迷いようのない操作性。




 Aピラーは細くしてありフロントガラスへの角度もよく考えられていて映り込みも少ない。黒く塗ればさらに良し。ピラー自体は立っており、また位置も、例えば交差点で歩行者を隠してしまわないような配慮の感じられるもの。カローラは高齢ドライバーが多くその点を配慮されているというが、こうした設えに喜べるのはなにも高齢ドライバーだけではない。運転する上で誰にとっても等しく重要なポイントだ。




 目視後方視界。ピラー内装関係の設えはいいが、後席ヘッドレストはバックレストレベルまで沈み込むタイプにできなかったものか。



 インテリア・ラゲッジ



 インテリアはとくに凝ったところもないし、趣味性が高いわけでもなく、じつに無難。それでいい、というクルマ。フィールダーは黒系が基本で、白をアクセントとしたものもある。もう一色、アクシオにもあるベージュ系なんかが選べたらいいのに。




 運転席シートはサイズもたっぷりとしており剛性感も高い。それでいて過剰に拘束されるわけでなくサポート性も優秀。座面の後傾角も満足だしさらには振動や上下動の減衰もいい。ヘッドレストの高さ調整幅も十二分。このシートはトヨタ自動車の中で一番。

・前席頭上空間/こぶし1つ




 後席座面下にはバッテリーと燃料タンクを収めているが、言われなければわからない。サイズ、ストローク、堅さ、全て合格点、その上リクラインの調整幅もあり、後席の乗員がないがしろにされない。ただ、ヘッドレストの上下調整幅はもう少し欲しいかな。床はフラットでセンタートンネルもなく、前席座面下につま先も収まる。じつにきめ細かく配慮の行き届いた設えになっている。

・後席頭上空間/こぶし1つ
・後席膝前空間/こぶし1つ半



 上述のとおり、バッテリーや燃料タンクをうまく後席座面下に収めているため、ほぼ影響を受けていないラゲッジスペース。このうえアンダーフロアにもスペースがある。じつに使い勝手の良さそうなラゲッジスペースだ。



 エンジン・トランスミッション



 1NZ系1.5リッターエンジンと組み合わせたハイブリッドは、もはや他社の新しいハイブリッドの中では古参組。しかしよく手入れがされ乗る度によくなっていく。ただエンジンが加担したときとEV走行時との切れ目や、エンジンそのもののマナーはやはり他社より一歩以上後退してしまったというのが偽らざる印象。おそらくや遠からずトヨタもこのシステムを大幅に刷新する時期がやってくるのではないかと想像する。




 最上段が今回走行時スタート後の平均燃費。試乗終了時に撮ったものだがこの時点で29.0Km/L。それ以前の走行中には32Km/L台も記録していたから、実燃費はかなり伸びる方だと思っていいだろう。発進時はできるだけエンジンを始動させないように、赤信号を早めに察知してスロットルオフを早めに行うこと、これ重要。



 足廻り



 ヴィッツ系のBプラットフォームが用いられている現行カローラ系。ヴィッツのときはあまり感心しなかったが、なぜかカローラはまるで別のクルマのような印象。まず、骨格を含め床板ががっちりと強固で、それに取り付けられるサスペンションパーツの取り付け剛性やパーツそのものの剛性も高く、じつにしっかり感がある。そのうえブッシュもソリッドで無駄な動きがなく、バネダンパー系もいつものトヨタ車のような渋さがなく素直でキレイにストロークする。ましてやハンドルの剛性も高く十分にダイレクトで情報伝達も豊かとなれば、そう、まるで良くできたヨーロッパ車。信頼感、フラット感、しなやかで軽快な身のこなし、全てを十全に獲得している。


 この設えはじつに素晴らしい。情熱的に楽しめるドライブフィールでこそないが、運転していて眠くならない、イヤにならない、退屈しない、過不足ない緊張感を保ちながら正しく運転できる。トヨタ車の中でも屈指の出来栄え。目隠ししてプジョーやワーゲンと乗り比べてみて欲しい・・・目隠し運転はダメだけど。



 結論

 前期型に対するマイナー後のカローラ。元来の出来の良さは歪められていないことが確認できた。むしろ出来の良さをそのままに、約三年分の時間を静粛性向上に充てたり最新の予防安全技術の搭載に充てたりと、適切に手入れをされ、磨きをかけられている、トヨタとしては手厚く厚遇されているクルマだ。トヨタ車の中ではマイナーチェンジをするとガックリさせられる例も少なくない。その点このクルマはその心配はないといっていいだろう。






 自動車にブラインドテイスティングが許されるのなら、先も記したようにヨーロッパのライバルと並べて比べても遜色のない出来のクルマだ。運転視界からはじまり、シートの出来、ピラーの角度、広さやスペース効率への考え方、そして走り・・・このクルマはもしかすると本当にヨーロッパ車になりたかったのかもしれない。決して大げさではなく、カローラの皮を被ったヨーロッパ車と言ってしまいたいくらいだ。


 このクルマをカローラとして購入するクルマにさして興味のない人。その人たちはこのクルマの走りをどう思っているのだろう。あるいは、このクルマに乗ってこのクルマの良さに気が付けないクルマ好きは単なるブランド馬鹿だ。その意味でカローラ(フィールダー)はトヨタの隠し玉であり、ちょっとしたトラップのようなものかも知れない。どうか先入観を捨ててこのクルマに乗ってみてほしい。大バーゲンであることに素直に喜べるはず。


 トヨタが沈着冷静に実用車を、かつ真面目に作ればこのような出来のものができるという好例。まったく気の抜けたコーラのようだったオーリス120Tにはゲンナリさせられたが、本当のトヨタの実力やノウハウを知るにはこのクルマが好適と申し上げておく。






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 10項目採点評価

ポリシー >>> 9
デザイン >>> 7
エンジン・トランスミッション >>> 8
音・振動の処理 >>> 9
走りの調律度 >>> 10
運転環境と室内空間 >>> 10
ヒトへの優しさ度 >>> 10
卓見度 >>> 8
完成度 >>> 10
バリューフォーマネー >>> 9





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 試乗データ

試乗日:2015年6月11日
試乗車:トヨタ・カローラフィールダー ハイブリッド
車輌本体価格:2,195,345円(OP含まず)
型式:DAA-NKE165G
エンジン:1496cc直列4気筒DOHC[1NZ-FXE]+交流同期電動機[1LM]
トランスミッション:電気式無段変速機
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:4400×1695×1475mm
ホイールベース:2600mm
車輌重量:1180kg
最小回転半径:4.9m
タイア:前後175/65R15(BSエコピア)
JC08モード燃費:33.8km/L
燃料タンク容量:36L(無鉛レギュラーガソリン)
ボディタイプ:4ドア+テールゲート/ステーションワゴン
ボディ色:シルバーメタリック/1F7
内装色/素材:ブラック/トリコット
装着されていたオプション:
     スペアタイア(10,800円)
     トヨタセーフティセンスC(54,000円)
     T-Connectナビ[NSZN-W64T](182,304円)
     バックガイドモニター(23,544円)
     フロアマット・デラックスタイプ(21,600円)
     ETC車載器(ビルトイン)ボイスナビ連動(27,162円)






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 メーカーサイト

http://toyota.jp/corollafielder/








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ご留意ください
この試乗記はあなたの試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
あなたと私の感想が一致している必要は全くないし、
私はここに「正解」を示しているつもりは全くありません。
製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある仕様や評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をして、よくお確かめください。









前田恵祐
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