「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。

#192 ダイハツ・ミライース ~ 試乗 〈2017.6〉


~ 試乗記の読み方 ~

 この試乗記は筆者による個人的な印象記に過ぎず、ここに記された内容は必ずしも読者が実車から抱く感想と一致しない場合があります。人間にはそうした個人差、個体差があるものなのです。それが俗に言う個性であり多様性と言い換えてもいい。故にこの試乗記を鵜呑みにしてはいけません。車両購入の際には必ず購入者自ら実車に触れて検証と確認を怠らず、購入者が主体性を持って車種選定の判断を行うことが原則です。したがって・・・

買うときには自分で試乗して確かめる
筆者の言うことに左右されない
自分がいいと思ったものを購入する

・・・これらのことは最低限です。当たり前のことですが、それができない人が多いようです。この試乗記は指示書でも教科書でもバイヤーズガイドでもなく、購入者に試乗の手間を省かせる目的のものではありません。だとしたら何者であるかというと、クルマを「検証する手法」の提示をしているに過ぎません。しかし、その検証の手法、いわゆるモノサシというものがかなりブレているのが今の世の中、今のユーザーのように筆者には見受けられます。そこで、「私ならこのように確かめる」という意味合いでこのような記事の掲出を行っているもの、とご認識いただきたいと思う次第です。


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ミライースというクルマ

 ミラというクルマが長らくダイハツの軽自動車のベーシックとして存在していたが、時代とともに軽自動車というジャンルが多様化しバリエーションを増やした。そこへエコカーブームが訪れ乗用車ではハイブリッドやEVといった技術が発展したものの、軽自動車という寸法や排気量の制約、それにともなう技術的な制約も小さくない中でいかに軽自動車をよりエコ化できるか、というテーマに取り組んだのが初代ミライースだった。




外装チェック

 初代ミライースのデザインはどちらかというとそれまでのベーシックな軽自動車のデザインコンセプトに則りながら空力性能を考慮したり軽量合理化に取り組むなどしたもので、見て楽しむタイプのものではなかったように思う。




 今回も基本的なフォルムは同じで細かな造形を変えることで印象を新たなものにするという手法が採られている。とくに目立つのはグレード別採用ではあるもののLEDをもちいたヘッドライトだろうか。その他やや顔のホリが深くなるなどの手が入っている。




 サイドはウインドウグラフィックスが多少変わった程度。と、いうわけなので、前モデルに対してなにか新しい価値観の提唱を行おうというものではなく、正常進化というスタイリングであり、その考え方はこのクルマ全体を支配していると考えていい。




 テールランプには黒いガーニッシュが囲ってあって、これはもしかするとマイナーチェンジのときには赤くなったり光ったりするんではないかな、と想像。ちなみにアンテナの位置はここが便利。後ろについていると、倒そうというときにイチイチ後ろまで行かねばならない、これが面倒なのです。


運転環境チェック



 試乗グレードにはチルトステアリングなし(現状では最上級グレードのみ)。ごらんのとおり、キーは普通の大きさ。ちなみにスマートキーも最上級グレードのみ。駐車ブレーキはフロアから生えるレバーを引いてかける従来式。やはりこれが一番信頼感がある。シフトレバーはインパネから生えていて足元は広いが、もうそろそろ電気式スイッチを用いて、もっと小さくスマートにしてもいい頃では? ハザードスイッチがちょっと手が届きにくい。メーターは、画像では光っていないがデジタルで表示も簡潔。運転席シートリフターもなくこれも最上級グレードの特権。軽自動車の装備形態というのはいつもだいたいそのようなもので、中間グレード以下はとにかくお買い得に、という名のもと装備が省かれるというのが通例で、このクルマもその例外ではない。エアコンがよく効く。




 Aピラーの傾斜はきついがそんなに存在感を主張せず運転視界の大きな妨げにはならない印象。ピラー内張りの角度もよく、パーツは白いが前ガラスへ反射しにくい形状。ドアミラーも切り分けたショートケーキみたいな三角型を用いるフザケたクルマとは違って、ちゃんと見せようとする意思あり。




 小いクルマだとペダルオフセットが気になるが、このクルマはそれもあまり気にならない。もはやロングホイールベースであり、ホイールハウスの内側張り出しも少ない。フットレストは欲しいですよね。それにペダルそのもののサイズももうちょい大きいほうがいい気もするが、ここは踏み間違い対策か。




 目視後方視界はご覧の感じ。リアドアアンダーラインのキックアップは、なにやら最近の流行りでみんなやりたがっているが、こんなものは視界の妨げにしかなりません。


 内装チェック 



 基本的に旧型とレイアウトは変わらないものの、カップホルダーを備えたり、中段にお堀を設けて小物置き場にできたりと工夫が見られるダッシュボード。ダッシュボードはツートンだがほかの部分の樹脂は全部黒。カラーバリエーションもこれだけ。虚飾を排した潔さはある。それでいて安っぽくもない。




 このクルマに専用設計されたというシート。きっと軽量化とコストダウンに躍起になって作ったに違いない、そう思って座ってみると、これがなかなか塩梅よろしい。リフターがないのが残念だし、後傾角もしっかりつけてお尻の前ズレを防ぎたいが、それでもアンコがきっちり詰まっていて簡単にはクタレないように思える(長時間試乗していないので)信頼感と、腰から背中にかけてのS字フォローとその支持のしっかり感がなんともたのもしい。ただし、「塗り分け」はダサいね。

前席頭上空間:こぶし1つ半




 後席は十二分に広さ。シートも薄っぺらでなく、それなりに後席乗員のことを思って作られている感はある。でも座面はもう少し立体的に、やはりお尻の前ズレ防止をするだけでも居心地としてはかなりよくなる。後席に至っては塗り分けもなく真っ黒。サビシイなあ。

後席頭上空間:こぶし1つ、プラスアルファ
後席膝前空間:こぶし2つ(前席筆者着座位置設定時)




 ラゲッジスペースはこんな感じ。前後方向はいつものとおりのこんなもん、として、ホイールハウス、というか、何が収まっているのか、サイドの法面でややスペースを食っている感あり。ま、いずれにしても、荷物はできるだけ積まないほうが燃費にはイイわけで。


 走りのチェック 



 エンジンは、というより、カタログ上、表記される燃費は2014年7月現在の旧モデルと変化はない。しかしそこよりも、例えば走りやすさや気持ちの良い運転感覚を高めることに注力したとの説明を受けた。事実、アクセルを踏んだ時の反応がフカフカでなく、ちゃんとレスポンスよく反応し加速してくれる。じつは旧型はこういうところに大きな妥協があった。アクセルの反応を鈍くして燃費を稼いでいるようなところがあった。今回はそれが姿を消したのが大きい。それでいて、カタログ燃費は堅持しているのだから、それはそれで努力の成果と認めるべきだ。




 エコカーで、例えばこのクルマのようにメーター内にエコ運転のスコアなんかが出てきたりするとついついアクセルを緩めてしまうが、しかし大事なのは普通に乗って、走って、それで燃費がどう出るのか、ということ。従って今回はむしろ「踏んで」走った。結果は最終的に17.7Km/Lのメーター読み。おとなしく走って20Km/Lといったところか。




 足廻りの設えもまた、エンジンやトランスミッション同様、エコカーであるがための妥協をできるだけ廃する方向で作り上げられたように見受けられる。まず車体が実にしっかりしている。従ってアシがスッスッと動いて、それは確かに豊かなストローク量はないけれど、この種の車としてはフラットな方。そしてハンドルも中立がしっかりとしており、やや切り始めるとフリクションを感じるものの、頼りなさはかなり影を潜めていて、ドライバーの意思を伝達するメカニズムとして信頼感がある。ブレーキもまた踏みごたえと節度感はかなり改善された。ただし、エコタイアと高めの内圧によるものと思われるが、ロードノイズと高周波の振動は避けられないが、いたしかたあるまい。


 結 論 

 最新の、ベーシックな軽自動車として、とくにライバルに対してアドバンテージのある仕上がりだと思う。「軽のエコカー」としてきわめて高い効率を追求することで商品力をアピールしたいこの種の軽自動車だが、それでも、燃費のためにと妥協していた部分に丁寧に手を入れて完成度を高めた。

 しかし、スタイリングは通り一遍で、それは空力の問題やコスト、軽量化と、多くの課題と向き合う難しさはあるのだろうが、まったく特徴というものがないし、デザインを見て感心する、あるいは心惹かれるといった要素が皆無だ。さらにインテリアも、機能や質感は良いとして、やはり心惹かれるカラリングや素材を用いるという、いうなれば「おしゃれ」の要素が皆無である。

 エコは大事なのだろうし、ユーザーはエコに関心が強い、というマーケティングデータもきっとあるのだろう。しかしそれはあくまでも「過去」のデータに過ぎず、「今」や「今後」を示すものではない。人間はなにもエコや燃費「だけ」を考えてクルマを買うわけではない。だとしたら、このような無味乾燥なスキンではなく、燃料はケチったとしても、見た目だけはもっと心豊かにしてくれるような、従前の常識やデータにとらわれない創造的な「未来への提案」、あるいは「誘導」というがモノあってもいいのではないだろうか。

 エコというとそれだけしか考えられないような、そういう「視野の狭さ」が感じられる。視野の狭さとはすなわち人生経験の少なさとイコールである場合が多い。人生経験とは、じつはしようと願ってできるものではなく、じつは各々が備えた、「未知なる領域への想像力」によっていると筆者は思う。ミライースだけではないが、この昨今の自動車の「視野の狭さ」を見るにつけ、「作る側」も、あるいは、「買う側」も、視野が閉塞して想像力を発揮しにくい状態にあり、もっというと、そのために現状を打破できない世の中そのものの閉塞を生んでいるような気がしてならない。


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 筆者が感じたミライースの「良かった点」
・弱点を真面目に克服しようとした努力
・この種のものとしては節度感あるしっかりした走り
・前席シート

筆者が思うライースの「良くして欲しい点」
・チルトハンドルやシートリフターを全グレードに付けて欲しい
・どうも「幸薄い」スタイリングや内装のデザインセンス、イメージ
・できればロードノイズと高周波振動をなんとかしてくれたら・・・


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参考データ

試乗日:2017年6月14日
試乗車:ダイハツ・ミライースX”SAⅢ”
車両本体価格:1,080,000円
型式:DBA-LA350S-GBMF(LS3)
エンジン:KF型
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:3395×1475×1500mm
ホイールベース:2455mm
車両重量:650kg
最小回転半径:4.4m
装着タイア:155/70R13 75S (ダンロップ・エナセーブEC300+)
JC08モードカタログ燃費:35.2Km/L
ボディ色:スカイブルーメタリック(B83)
内装色:ブラック/グレー(ファブリック)
装着オプション:ナビ装着用アップグレード(19,400円)
        ロングバイザー(10,066円)
        カーペットマット(高機能タイプ)(20,153円)


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メーカー公式サイト

https://www.daihatsu.co.jp/lineup/mira_e-s/


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あなた流のクルマ選びで、
あなた流のいいクルマに出会えるといいですね。







2017.6.16 記
前田恵祐

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