「新車試乗インプレッション」と「自動車批評」を主とするBLOGですが、ここに記されているレポートは鵜呑みにせず、ご自身で何事も検証してください。自己検証が大事だ、と言い続けたいブログなのです。 キミたちはもっと利口にならなければ、利口になろうと思わなければならない!

僕はカタログのニオイフェチ



日々進化する自動車カタログ(2012.7)



 昔の自動車のカタログなんてものは、今ほど分厚いものではなかった。本カタログで30ページあればいいほう。ペラッペラだったのは、やはり紙媒体よりも実物を見て判断してください、ってコトだったんだと思う。それと、今のカタログは本当に、写真というよりコンピュータグラフィックス。いろいろ手を加えてあって、もしかするとほんとうにそう見えるのか怪しいものまである。エロサイトの入口に出ている顔を修正しまくりの画像を思い出させる。スタジオやロケで収めたきちんとした写真で見せていたバブル期のカタログはちょっと見物だ。


 メーカーによって異なるのは、内部構成というより、個人的にはニオイ。カタログのニオイ。トヨタのカタログは紙質もニオイもほぼ同一であんまり面白くないが、日産のカタログはどうやら発注先の印刷会社が異なるのか、車種によって紙質やニオイが異なって面白い。個人的に気に入っているのはフーガのカタログである。ハードカバーで立派な装丁なのとなんといってもニオイがいい。安っぽくない。わざわざニオイ付けされているわけではないだろうけれど。そうなってくるとフーガというクルマそのものも好きになってきてしまう、単純すぎる僕である。






 フェアレディZのカタログで可哀想なのはテストドライバーの加藤さんだ。せっかく「官能領域まで評価できる類まれなる感性の持ち主」(要旨)とまで紹介されているのに、服装が日産の作業服だ。作業服にコンビニに売ってそうなグラサンかけさせられて運転しているシーンが収められている。もっといい服装させてあげればいいのに。せっかく晴れの実車カタログ出演なのだから。これじゃあ厚木や栃木や追浜の近所のスナックでチビチビやってるオヤジと変わらん。

 先にも記したが、昔より立派に、そして分厚くなった自動車カタログ。それはカタログの中で説明したいことがぎっしりと詰まっているからに他ならない。それだけ来店の可能性をメーカーは低く見積もっているのだろう。「あとは実車で確認してよ」ではなくなった。それに今は僕もやるようにインターネットでメーカーが無料配送してくれるから余計に来店は減るだろう。これ、店に来ないともらえないよ、ということにしたらもっと来店が増えると思ったりするんだけどいかがか。商談の機会も増える。


 個人的に気に入らないのは、やはりカタログに文字数が増えたことだ。装備や機能が多様化してそれをきちんと説明しなければならないというのはあるんだろうが、あまりにも雄弁すぎる。実車をイメージできる美しい写真と諸元と装備とカラーコーディネートをきっちりやってあれば、あとは見る側がイメージを膨らます、イマジネーションする世界だと思うのね。特に高級車やスポーツカーというのは、口や文字で説明されて説き伏せられて買うものではないから、いかに買う側が買う前にそのクルマの所有感をイメージとして膨らませることが出来るか、ということだと思うし、逆に、それが出来るユーザーであるかどうかを試されているような部分もあっていいと思う。カタログというのはそういう勝負みたいな世界であっていいと思うのね。


 以前も書いた気がするが、自動車雑誌媒体が衰退した今、メーカーが出すカタログはけっこう重要な広告媒体になっていると思う。自動車雑誌に出していた広告費をこちらに回しているのかもしれない。故にキチッと力を入れなければならないのはわかるし、余すところなく、と思うのは自然なことかもしれないが、もうすこし読み物として想像力や感受性に訴えかけてくるようなモノであってくれると、直感的にそのクルマを理解できるようになってくると思う。現状では理屈っぽくて文字数も多すぎ、やたら説明的だ。


 そんな思いにかられるのも、自動車カタログが以前と姿を変えようとしているからに他ならない。パンフレットなのか読み物なのか、ましてや自らを自ら語る媒体なわけだから、じつは簡単なものではなかったりすると僕は想像できるわけだが、細かいことは「すべて本」に任せて、カタログのほうはもうちょっと力を抜いて直感的に理解できるような構成になればいいのにな、と、余計なお世話かもしれませんが思ったりするわけです。







前田恵祐


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