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前田恵祐は2018年5月18日、闘病の末この世を去りました。 故人の意思を尊重し、ブロクは閉じずにそのまま残すこととしました。 以前からの読者の方、初めてブログに訪れてくださった方もこれまでの記事をご覧にっていただけるとありがたく存じます。(遺族一同) 当ブログのURLリンク、内容、文章等を、他のwebサイト、SNS、掲示板等へ貼り付け拡散する行為、印字して配布する行為は、いかなる場合も禁止事項として固くお断りいたします。

#103 気になる「三菱濃度」

三菱 ミラージュ G ~ 試乗インプレッション(2012.8)
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この試乗記は個人的な印象記です
捉え方や感じ方には個人差があります
ご自身で乗ってお確かめください



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 三菱は真面目なメーカーでそれは時に不器用なくらいだ。実直、率直、誠実なクルマ作り。実情としては潤沢な経営状態でもないだろうし、技術的にも手持ちのカードはそれほどたくさんあるわけではない。そのなかで上手くやりくりをして真面目を取り得に商品構成を成している。D:5もRVRもギャランフォルティスもコルトも地味だがいいクルマだ。そのよさをきちんとわかってくれる人が賢く選んでいく。その中で新しいミラージュがどんな立ち位置になっていくのか、そんな眼で試乗してきた。



エクステリア



 シンプルで厭味のない第一印象。地味だがそれは生産効率やコスト、また燃費にかかわる空力性能との兼ね合いでこうなったと察する。わざとらしい造形や装飾を排し飽きの来ない仕上がりになっている。




 サイドに斜めに入ったキャラクターラインは最近の流行りか。




 うしろがすぼまっているのは風の流れをスムーズにするため。とはいえ後述の通り空間はあまり犠牲になっていない。



視界・扱いやすさ



 この点でも装飾や遊び心より実用本位の仕立て。速度計は200キロメートルまで目盛られている。簡易的なエコメーターも備わる。樹脂の質感はまぁまぁ。




 Aピラーはちょっと太め。恐らくこれは生産性のからみもあるのだろうが、フロントガラスの湾曲は少なく平面に近い。そのため車幅感覚をつかみやすいという利点もうまれた。



インテリア・ラゲッジ



 布地は上級グレードだとカラーミックスのブラックかオフホワイトがボディカラーに応じて組み合わされる。前席のかけ心地はソフトだが腰と尻の沈み込みは少し大きいように思う。長時間走行時に負担がかかるかどうかやや不安。高さ調整は座面の高さのみが変化するタイプ。

前席頭上空間/こぶし1つ




 うしろすぼまりなスタイルのわりに後席があまり割を食っていない。視覚的にも実質の広さも、余裕たっぷりでこそないがこのクルマにはこれで充分。中央にヘッドレストがないのが残念賞。

後席頭上空間/手のひら1枚
後席膝前空間/こぶし1つ




 ラゲッジはこの程度。あまり広すぎてモノ置きがわりにしてしまってはせっかくの燃費にも響いてくるというものだ。



エンジン・トランスミッション



 1リッター3気筒マイベック。直噴でもなんでもないエンジンで免税を獲得したのは立派。低速トルクも充分にあるし振動も抑えられている方だと思う。エンジン単体ではいい仕上がり。しかし問題なのはアクセルレスポンス。やはりというべきか、意図的に鈍く設定してあるのは発進時にいたずらに深く踏み過ぎぬよう意を払ったもの。いわゆる「第三のエコカー」と呼ばれるクルマの多くはこうした仕様になっている。つまり発進時にこそもっとも燃料を食うというわけだ。おかげでこうした仕様になっていないクルマから乗り換えると慣れるまでちょっとフラストレーションが溜まるかもしれない。



足廻り



 コルトなどが比較的ピシッと引き締まったハンドルと足廻りを持っていたことを考えると、新しいミラージュはどちらかというと柔らかく、素直に姿勢変化を許すタイプ。とはいってもダンパーはきちんと効いていると見えて不快な動きは抑えてある。ハンドルも軽く路面の状態やタイアの向きを積極的に伝えてくるタイプではない。やや後退。このあたり、コルトなどが持っていたしなやかな中にある芯の強さのようなものを引き継いでいてくれたら、と期待していたのだが。また、ブレーキの初期応答がやや鈍い。もっともこれはアクセルペダルの鈍さに反応を合わせてあるのかも知れない。慣れるまではお気をつけあそばせ。



結論

 中間量販グレードで120万円弱という価格設定は、個人的にはもう少し下げてもいいのではないかと感じた。つまりクルマの仕上がりやコストダウンの痕跡などを勘案すると驚くべき安さというわけではない。全体的に見て今までの三菱車にみられた密度の濃さのようなものはやや薄い。軽く作ればそれはそうなるだろうし、このクルマに要求したものを考えれば仕方のない部分かもしれないが、今までの三菱ユーザーがそれで納得するかは微妙なところ。真面目に安く効率よく燃費良く、というふうに、ハードルは決して低くはなかっただろう。しかしそうして仕上がってきたミラージュというクルマ。期待は高かったが何か光るものがあるかと問われると、「免税」というキーワードの他に見つけにくいのは残念だ。











10項目採点評価

ポリシー >>> 8
スタイル/インテリア >>> 7
エンジン/トランスミッション >>> 6
NVH >>> 6
ドライバビリティ >>> 5
スペース >>> 8
先見性 >>> 8
社会性 >>> 8
良識度 >>> 8
バリューフォーマネー >>> 6





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試乗データ

試乗日:2012年8月24日
試乗車:三菱 ミラージュ G(車両本体価格:1,288,000円)
型式:DBA-A05A
エンジン:3A90 MIVEC
トランスミッション:CVT
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:3710×1665×1490mm
ホイールベース:2450mm
最小回転半径:4.4m
車両重量:870kg
タイア:165/65R14(BSエコピア)
JC08モード:27.2km/L
ボディタイプ:5ドアハッチバック
ボディ色:カシスパープルメタリック<PR>
内装色:ブラック/布
装着されていたオプション:
 フロアマット



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メーカーサイト
http://www.mitsubishi-motors.co.jp/mirage/



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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。








前田恵祐


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