忍者ブログ
前田恵祐は2018年5月18日、闘病の末この世を去りました。 故人の意思を尊重し、ブロクは閉じずにそのまま残すこととしました。 以前からの読者の方、初めてブログに訪れてくださった方もこれまでの記事をご覧にっていただけるとありがたく存じます。(遺族一同) 当ブログのURLリンク、内容、文章等を、他のwebサイト、SNS、掲示板等へ貼り付け拡散する行為、印字して配布する行為は、いかなる場合も禁止事項として固くお断りいたします。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

#112 相変わらずしなやか足

プジョー208Allure 5段マニュアル ~ 試乗インプレッション(2013.2)
.

この試乗記は個人的な印象記です
捉え方や感じ方には個人差があります
ご自身で乗ってお確かめください



++++++++++++++++++++++++++++++++++++


 日本では205から続く人気銘柄で最新の208は昨年の秋日本上陸を果たした。今回試乗させていただいた1.2リッター3気筒+マニュアルのモデルは昨年12月に少し遅れて投入され、早くも注目を集めるモデルとなっているようだ。小粒で気の利いたスタイリングとしなやかな身のこなしは最もわかりやすいフランス車の魅力を凝縮した姿。輸入車としてはリーズナブルな価格も魅力の一つで、ドイツ車では飽き足らないドライバーにとって有力な選択肢の一つだろう。



エクステリア



 試乗車、1.2NA3気筒+5段MTのAllureは3ドアのみ。ちなみに1.6ターボ+6段MTのGTも3ドアのみ。家族持ちでなくても5ドアの方がなにかと便利で使い勝手がいいはずで、買いやすいと思うのだが。寸法は先代207より少しずつ小さくされた。実物を前にするとギュッと引き締まった印象は数値以上だ。衝突安全対策のためとはいえ、いたずらにサイズアップしたことへの反省か。やはりプジョーは小粒なほうが、らしい。





 4mに収まる全長。オーバーハングが短く、タイアを四隅に配する、そして丸くこじんまりとしたラインで結ぶ。キュートなプジョーのプロポーションそのものだ。凝った形状のアクセントやクロムの装飾でさらに個性的に。





 意外と彫りが深い造形を見て取れる。




視界・扱いやすさ



 視界の良さもフランス車の伝統。室内が明るい。明かりの採り方が巧みなのだ。メーターナセルを上方に移動しハンドルの上からメーターを見る。視線移動が少なく済むメリットは確かにある。オーディオ部分はタブレット端末のようなタッチパネル式。平均燃費などの走行情報も表示する。





 助手席側Aピラー付近の視界。いつもながら工夫をこらしている。






 斜め後方視界。車線変更時に一番見えたい付近にぶっといCピラーが鎮座している。



インテリア・ラゲッジ



 いつもの逸品、プジョーのシート。はじめは硬めかなと感じるものの、10分、15分と、時間の経過と共にしなやかに、ジワジワと身体に馴染んでくる、優しいシート。しなやかだが芯があり、身を預け安心感を底辺に据えてドライブできる。サイドサポート、ランバーサポートも充分で、ホールド性、乗り心地のバランスは最高ランク。表皮はやわらかめの合皮とテキスタイルで、これもフィット感に一役買っている。

前席頭上空間/こぶし1つ+アルファ





 前席から見劣りの少ないリアシートのかけ心地。視野も確保されている。広さはこのクラスのクルマとしては平均的。

後席頭上空間/手のひら2枚
後席膝前空間/こぶし1つ




 ラゲッジスペース。奥行きに余裕。



エンジン・トランスミッション

 1.2リッター3気筒エンジンにはバランスシャフトが与えられている。必要充分なスペック、それより滑らかさ、静けさ、軽やかさが大きな魅力になっている。4気筒からの見劣り感はまったくない。ややローギアードなマニュアルで気がつくと回転計は跳ね上がっているというタイプ。といって、ボトムエンドのトルクも充分。むろんトルクでモリモリ走るタイプではないが、力不足を感じるシーンはあまりないだろう。




 マニュアルのギアレバーはやや長いがスムーズな操作が可能。しかしフランス車にしてはやや華奢な手応えにも思える。プジョーのマニュアルはもっとゴツいのが常だった。また、クラッチのミートポイントがやや手前なのも個人的には気になった。



足廻り



 195/55、16インチを履く足の第一印象はタイア踏面の硬さ。しかし基本的にはストロークの長い足がゆったりと「イイ仕事」をしていることには違いない。プジョーのアシだ。タイアサイズが本国仕様と同じなのかどうかは不明だが、もう少しおとなしいタイアを選べばよりマイルドな印象となり全体的な調律レベルも高まるのではないか。ハンドルは軽くクイックではあるものの路面からのフィードバックが少ないのはやや残念だ。しなやかなアシと相まって羽のように軽い身のこなしを示す。



結論

 非常に魅力的な、最新のフランス車だ。プジョーの「アジ」というより「ダシ」が大いに出ている。理屈よりも感覚で味わえる魅力。どんなクルマでも同じことではあるが、プジョーのようなクルマは特に実際に乗って運転してみて初めて良さがわかる。楽しく軽快で快適な小型車。




 かえすがえす、お値段もリーズナブル。MTに5ドアモデルが無いのが残念だが、「世の中つまらないクルマばかりだ」と嘆く前にこのクルマも試して見て欲しい。今回出来の良いダウンサイジングエンジンを得てテクノロジーも一歩進んだうえにそれをマニュアルで楽しめる。フランスの足軽ここにあり、といったところだ。





10項目採点評価

ポリシー >>> 9
スタイル/インテリア >>>10
エンジン/トランスミッション >>> 9
NVH >>>10
ドライバビリティ >>> 9
スペース >>> 8
先見性 >>> 8
社会性 >>> 8
良識度 >>> 8
バリューフォーマネー >>> 9




--------------------------------------------------




試乗データ

試乗日:2013年2月1日
試乗車:プジョー208Allure 5段マニュアル(車両本体価格:1,990,000円)
型式:ABA-A9CHM01
エンジン:直列3気筒DOHC
トランスミッション:3ペダル5段マニュアル
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:3960×1740×1470mm
ホイールベース:2540mm
最小回転半径:5.3m
車両重量:1070kg
タイア:195/55R16(ミシュラン)
JC08モード:19.0km/L
ボディタイプ:3ドアハッチバック
ボディ色:スピリット・グレー
内装色:ブラック・ファブリック/テップレザー
装着されていたオプション:
          フロアマット

--------------------------------------------------





メーカーサイト

http://peugeot208.jp/




--------------------------------------------------





ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。





前田恵祐


.

拍手[4回]

PR