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前田恵祐は2018年5月18日、闘病の末この世を去りました。 故人の意思を尊重し、ブロクは閉じずにそのまま残すこととしました。 以前からの読者の方、初めてブログに訪れてくださった方もこれまでの記事をご覧にっていただけるとありがたく存じます。(遺族一同) 当ブログのURLリンク、内容、文章等を、他のwebサイト、SNS、掲示板等へ貼り付け拡散する行為、印字して配布する行為は、いかなる場合も禁止事項として固くお断りいたします。

#054 Chic!!

シトロエン DS3 Sport Chic 試乗インプレッション(2010.8)
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この試乗記は個人的な印象記です
捉え方や感じ方には個人差があります
ご自身で乗ってお確かめください



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エクステリア

 3ドアの、ホットハッチというよりパーソナルクーペ、というか旧い言い方ではスポーツエステート。どうしてもBMWミニをイメージしてしまうのはエンジンが共通だからということでもないのだろうが、明らかにあのポジションにある。




 フォルムそのものはどうってことはないハッチバックだが、シトロエンなりのデコレーションが効果的に存在感を強めている。メインのボディ色とルーフ、ドアミラー色、内装トリムなどの組み合わせはオプション含めてリスト上Sport Chicでは99通り。




 特徴的なBピラー。ミニとは違ってプレスドア。柔らかくラウンドするクォーターガラスも美しい。




 テールは丸くてキュート。



視界・扱いやすさ

 Aピラーはそれなりに太いが効果的にえぐってあり、三角窓とミラーの位置関係も適切で視界を妨げない。ミラーは大きく見やすい。昔のイタフラ車の後方視界がいかにおろそかであったことか。ノーズは短いから見えなくとも取り回しには気を使わない。総じて運転しやすいクルマ。ハンドルやシートの調整幅も大きく、ありがちなペダルオフセットも気にならない。唯一フットレストとクラッチペダルの間隔は狭め。それでも国産車からの乗換えにも違和感は少ないだろう。





インテリア・ラゲッジ

 C4のような透かしのメーターパネルはないが、文字盤のデザインも美しい。デザインはちょっとやり過ぎな気もしなくはないが、がんばって助手席の足元を広く取って見せたりと工夫の跡は確かにある。




 ハイライトはやはりシート。いつ乗っても素晴らしい。仮に試乗車のようなスポーティグレードであっても闇雲に硬く拘束するタイプのシートとはせず、あくまでも人間の身体にナチュラルにフィットして、そして路面からの突き上げから優しく守る。フランス車の乗り心地のよさはシートに在り。シートで稼ぐ分、アシをしっかりさせてもなお身体はフラットに保たれる。走れば俊敏確実に行く、という具合。


 試乗車は無難に黒の布内装だが、個人的にはラグジュアリーな設定が似合うと思う。ミニがスポーティでいくなら、こちらはラグジーでもいいはず。明るい色のレザーやアルカンタラを用いてちょっとリッチな装いがあっても似合うはずだ・・・と思ったら、カタログ上にはレザーのオプションもありカラーバリエーションも豊富に用意されていた。




 後席は坐れば広いが入るのが大変。ちなみにリアシートは3人がけ。




 ラゲッジはこんな具合。オヤクソクの6:4の分割可倒も可能。



エンジン・トランスミッション

 BMW系のエンジンがシトロエンに積まれるというだけで、過去を知る者にとっては夢のような話である。1.6ターボエンジンはラグなど当然のように感じさせず、低速から図太く行く。また、マニュアルギアボックスは6段もあるのにワイドなギアレシオ。豊かなトルクとあいまって各ギアの守備範囲は広く、おかげでかなりのズボラも可能。市街地では3速4速を適宜選んでマッタリいくのがいい。回せば回したでBM系らしくキッチリ仕事はするが、音はフレンチの常であまり情熱的ではないから、やっぱりクルージング向き。シフトレバーは短くはないもののスムーズで軽い操作感。そして動作が確実に決まりいたって快適。





足廻り

 上述のとおり、優れた乗り心地はアシとシートの連携によるもの。このグレードのアシはそれなりに締め上げられており、ややゴツゴツを感じさせるシーンもある。しかしそれもシートがもみ消し(?)てくれるわけだ。むろん、基本的にはゆったりとした挙動でせわしないようなところがなく、味わいは長閑、鷹揚、マッタリ。このままどこかへ行ってしまいたい思い。




 でいてこれが決してヤワでない。例えばガタつきやたわみが少なくソリッドであるし、足回り部品それぞれの取り付け剛性も高そう。専門用語でコンプライアンス設定と呼ばれる部分。つまり遊びが少なく正確に動作しトバせばかなりのレベルまで応えるはず、の意味。ハンドルは軽く舵の効きは正確。パワステは電動。



結論

 フランスのエスプリが効いたchicな仕立て。優れた乗り心地、良く観察してシミジミわかる優れたアシさばき。初めての人にもとっつきやすく、ベテラン(?)のフランス車ファンにも納得させる懐の深さがある。小ぶりでお洒落なパーソナルカーであり、大人っぽく、クーペのような存在でもある。クーペというと皆大上段に構えてしまってアシやエンジンをこだわりすぎて、暑苦しいことになってしまいがちなのだが、シトロエンの涼しげなセンスで仕立てられ、快適でちょっとリッチなグランツーリスモの味わい。やはりそれだけで独自性が高く魅力あり。ミニのゴツさが子供っぽいとお感じの貴方お勧め。大人向きの乗り物。AT車もあります(エンジンは自然吸気)。



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5段階評価:★★★★★




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試乗データ

試乗日:2010年8月18日
試乗車:シトロエンDS3 Sport Chic(車両本体価格:2,690,000円)
型式:ABA-A5C5F04
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:3695×1715×1455mm
ホイールベース:2455mm
最小回転半径:5.4m
車両重量:1190kg
トランスミッション:6段マニュアル
ボディタイプ:3ドアハッチバック
ボディ色:グリ トリウム(Me)/ルーフ・ドアミラーカラー:ブルーポッティチェリ
内装:アルカンタラ&ファブリック(ミストラル)



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インポーターサイト
http://ds3.citroen.jp/


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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。







前田恵祐


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