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前田恵祐は2018年5月18日、闘病の末この世を去りました。 故人の意思を尊重し、ブロクは閉じずにそのまま残すこととしました。 以前からの読者の方、初めてブログに訪れてくださった方もこれまでの記事をご覧にっていただけるとありがたく存じます。(遺族一同) 当ブログのURLリンク、内容、文章等を、他のwebサイト、SNS、掲示板等へ貼り付け拡散する行為、印字して配布する行為は、いかなる場合も禁止事項として固くお断りいたします。

#079 コワモテ顔に秘めた魅力

日産 エルグランド・ライダー2.5~試乗インプレッション(2011.12)

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この試乗記は個人的な印象記です
捉え方や感じ方には個人差があります
ご自身で乗ってお確かめください



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 エクステリア



 ライダーはオーテックジャパンの手が入った特別仕様。顔は標準車に輪をかけて”イカツイ”。




 約100mm全高が低められた。とはいえ全長5m弱。堂々としたシルエット。




 クロムでピカピカ。私の趣味ではないが、この種のクルマを選択する層の好み。クロムにしようがつや消しにしようが大してコストは変わらない。



 視界・扱いやすさ

 フロントガラスの曲率は小さく平らに近い。ダッシュボードの奥行きもいたずらに深くはなく、よって見切りもしやすい。フロントガラスの圧迫感も小さい。




 ダッシュボードや計器盤のデザインも奇をてらったものではなく、操作性も理解しやすい。常識的で、それでいい。アラウンドビューモニター、これは便利だなと感心するが、「実際にご確認ください」との但し書きが画面上にも出る。「何かあっても日産は責任を担保しませんよ」ということなのだが、しかし何のための装備なんだか、どこまで実用品として信用していいのやら。


 インテリア・ラゲッジ

 試乗車は本革内装。




 前席。サイズはたっぷりとしていて調整幅も大きく採られている。2.5はパワーシートでない。

前席頭上空間:こぶし2つ




 二列目。ここがこのクルマの内装でひとつの見所。キャプテンシートにはオットマンが備わり、ついでに背もたれは中折れする。確かに快適。どうぞおくつろぎください、ということなのだが、クルマは常に揺れているし遠心力もかかっているから、自分の身体をどう支え、固定するかということもお忘れなきよう。でないと逆に疲労は増幅され車酔いの原因にもなります。

二列目頭上空間:こぶし2つ
二列目膝前空間:こぶし2つ以上




 三列目。跳ね上げでもスライドでもなく背もたれを倒すことで荷室を広げるタイプ。だからシートがそのための割りを食っていない。3名分のヘッドレスト、3点式シートベルトを備える。

三列目頭上空間:こぶし2つ
三列目膝前空間:こぶし2つ以上




 席が立っていると狭いようだが...




 サブトランクはこんなに深い。



 エンジン・トランスミッション

 QR25DEはあいかわらず、静かでこそないが実用域から有効なトルクをフラットな特性をもってアウトプットし、じつに扱いやすく、同時に想像以上に機敏に行くことが出来る。




 CVTも回転だけが上昇することもなくダイレクトに力を伝える。しかしこれだけ重い(1.9tクラス)車体にCVTベルトの耐久性は大丈夫なのか。



 足廻り

 日産車のFFプラットフォームはほぼ全てルノーと共通。いまや床板という表現は適切でこそないが、強靭な床板、そこへ取り付けられるサスペンションの動作は、ガタや遊びが少ない。よって、しなやかに設定しても不快な振動や捩れを感じさせないから、ゆったりと鷹揚とした身のこなしの良い部分だけを享受することができる。重心とロールセンターの設定も適切で、カーブでも頭が大きく振られない。さすがルノーの血が入っているだけはあるなと感じた。意外に硬派な仕上がり。




 ライバルが、この種のクルマはハードウェアより押しの強さ、見栄の部分が大事とばかりに見切っているようなところもある。その点、”走り”にも手を抜いていないのが日産の美点。例によってブレーキの踏み応えもいい。




 今回は、ミニバンとあって二列目に乗車し走行インプレッションをさせてもらった。シートの項目で書いたように、シートは多機能でそれ自体とてもいいものが付いているが、前席より気になったのは特にリア側から来る突き上げだった。コツンコツンと、大きくはないがハーシュネスの減衰が完璧ではなかった。上の画像は二列目からの眺め。



 結論

 エルグランドはアルファードと並んで見栄と虚勢のクルマの代表格のようなものだが、エルグランドは乗ってみると目に見えない部分にもしっかり手を抜かずに、キチッと仕上げてきていることがわかる。走りの良さは、今回FF化されて全高が下がったことも効いているだろう。






 エンジンの特性、足回りのゆったり感など相まって優しくマイルドな走り味が魅力。マイルドという言葉は期待値に到達していない時に代替的に用いられる言葉だが、エルグランドは様々な部分のキャパシティに余裕がある中でのマイルドなのだ。外見がワルっぽくて、じつは走りもマトモな「いいクルマ」であるということが伝わりにくいのがもったいないくらいだ。




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 5段階評価/★★★★
ドギツい外観が、やっぱり私は好きではありません(-1)





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 試乗データ

試乗日:2011年12月8日
試乗車:日産エルグランド2.5ライダー黒本革(車両本体価格:3,864,000円)
型式:DBA-TE52
エンジン:QR25DE
トランスミッション:エクストロニックCVT-M6
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:4980×1850×1815mm
ホイールベース:3000mm
最小回転半径:5.7m
車両重量:1930kg
定員:7名
ボディタイプ:3列シートミニバン
ボディ色:ブリリアントホワイトパール<#QAB・スクラッチシールド>(特別塗装色)
内装色:黒本革
装着されていたオプション:
・カーウイングスナビゲーションシステム(地デジ内臓・HDD方式)
  +ETCユニット
  +ライダー専用アラウンドビューモニター
  +ステアリングスイッチ
  +CD一体FMAMラジオ
  +ナビ協調変速機能
  +エルグランド専用チューニング地デジ4ダイバーシティアンテナ
・11インチ大型ワイドモニター後席エンターテイメントシステム
(上記合計661,500円)





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 メーカーサイト
http://www.nissan.co.jp/ELGRAND/





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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。






前田恵祐


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