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前田恵祐は2018年5月18日、闘病の末この世を去りました。 故人の意思を尊重し、ブロクは閉じずにそのまま残すこととしました。 以前からの読者の方、初めてブログに訪れてくださった方もこれまでの記事をご覧にっていただけるとありがたく存じます。(遺族一同) 当ブログのURLリンク、内容、文章等を、他のwebサイト、SNS、掲示板等へ貼り付け拡散する行為、印字して配布する行為は、いかなる場合も禁止事項として固くお断りいたします。

#080 ハケン?なクルマ

トヨタ アベンシスワゴン Xi~試乗インプレッション(2011.12)
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この試乗記は個人的な印象記です
捉え方や感じ方には個人差があります
ご自身で乗ってお確かめください



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エクステリア



 トヨタはトヨタ。ヨーロッパに佇もうが日本に佇もうがトヨタ。主張が強すぎず風景に馴染むのがトヨタ車。むしろそれが特徴なのだと捉えるべき。




 テールのデザインが少し特徴的。



視界・扱いやすさ



 スカットル、ウエストラインは高めで包まれ感がある。サイドミラーの下端が、座高によっては見切れてしまう。ダッシュボードの操作性は常識的で、デザインも圧迫感がなく目にうるさくない。




 ウインカーとワイパーは左右逆。ウインカーは左レバー。パーキングブレーキは足踏み式ではなく、ドライバーの左膝前に電気スイッチがあり、それで操作する。解除は手軽だがかける時には2秒程度の長押しが必要。ちょっと独特。



インテリア・ラゲッジ



 旧型のシートは座った途端に「これはヨーロッパ生まれ」と感じさせたが、新型はそれほどでもない。とはいえサイズは十分だし、しっかり支えるヨーロッパの流儀。色使いが黒一色なのは寂しいが、販売台数を考えるとたくさん取り揃えるのは難しいのだろう。

前席頭上空間:こぶし1つ半




 開放感より、やはり包まれ感。広さは充分。フロアも平らで足元もすっきりしている。ヘッドレスト、3点式シートベルトは当然のように3名分。座面が少し高いと後席からの見晴らしはより良くなるだろう。

後席頭上空間:こぶし1つ
後席膝前空間:こぶし2つ




 広いラゲッジ。これぞワゴン。雨だったのでさっさと撮影してしまったため収めていないが、後席背もたれを倒せばさらに広大な空間となるのはいうまでもない。



エンジン・トランスミッション

 おなじみバルブマチック2リッター4気筒エンジン。静かでゆとりがあり、いつものように「いい塩梅だなぁ」と感心させられる。いいエンジンだ。




 しかしせっかく遠い国で作って運んでくるのだからその国の国情を感じさせるものであってもいい。そもそも量販を視野に入れていないのだから、マニュアルシフトにディーゼルエンジンがあってもいいんではないかな。無難に2リッターガソリンの既存エンジンを選択したあたりに冒険嫌いのトヨタが顔を覗かせている。



足廻り

 ヨーロッパ車の走り、乗り心地は硬質だが、それは単にバネやダンパーを硬くしただけではない。シャシ剛性、組み付け剛性、ボディ剛性があって、そして初めて足を固める。人の身体の鍛え方を考えてみるといい。足だけ鍛えても駄目なのであって、上半身、腹筋、背筋、腰、そして足だ。




 このプラットフォーム(他車と共用)は、かねてからハーシュネス、振動の処理にてこずってきた経緯があったと私は認識しているが、アベンシスにおいてもその傾向は共通している。特に”本場の”欧州車と比べると華奢な印象がはっきりとある。日本製トヨタ車とあまりかわらない。他車で採用するパフォーマンスダンパは効果があることが確認できている。これには使っていないのだろうか?



結論

 トヨタにはラインナップの中で空白地帯だった中型ステーションワゴン枠を埋めたいという事情があった。そこでというか、トヨタは欧州からこのクルマを連れて来た。今流行のハケン社員みたいだ。ハケン社員は目立ってもらっては困る。会社の求めに応じ、必要充分の人員補填となればそれでいい。しかしハケンには外様としてその会社を客観的な目線で冷静に観察し、会社に有益な助言や提案ができるという側面、もうひとつの特徴がある。このクルマを見ていると、トヨタ自動車がそのことに気が付いていないのではないか、どんな姿勢でハケンを使っているのかが見えてくるような気がする、と言っては言いすぎだろうか。


 アベンシスワゴン、悪くはない。しかし旧型にはあった「舶来モノ感」が薄いのが残念だ。せっかく持ってきたのだから、ヨーロッパ目線で何かを提唱するような存在であってほしかった。



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5段階評価/★★★★
「ならでは」感がイマイチなこと(-1)



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試乗データ

試乗日:2011年12月8日
試乗車:トヨタ アベンシスワゴン Xi(車両本体価格:2,500,000円)
型式:DBA-ZRT272W
エンジン:3ZR-FAE
トランスミッション:CVT
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:4765×1810×1480mm
ホイールベース:2700mm
最小回転半径:5.4m
車両重量:1470kg
ボディタイプ:ステーションワゴン
ボディ色:スーパーホワイトII(#040)
内装色:ブラック/布
装着されていたオプション:
 エクシードナビ NHZN-W61G(266,175円)



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メーカーサイト
http://toyota.jp/avensis/index.html?ptopid=men



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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。







前田恵祐


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