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前田恵祐は2018年5月18日、闘病の末この世を去りました。 故人の意思を尊重し、ブロクは閉じずにそのまま残すこととしました。 以前からの読者の方、初めてブログに訪れてくださった方もこれまでの記事をご覧にっていただけるとありがたく存じます。(遺族一同) 当ブログのURLリンク、内容、文章等を、他のwebサイト、SNS、掲示板等へ貼り付け拡散する行為、印字して配布する行為は、いかなる場合も禁止事項として固くお断りいたします。

#082 実力派ヨンクが街を行く

日産 エクストレイル 20Xt 4WD~試乗インプレッション(2012.1)
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この試乗記は個人的な印象記です
捉え方や感じ方には個人差があります
ご自身で乗ってお確かめください



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エクステリア



 いきおい乗用車化するSUV車にあって四角いボディのメリットは少なくない。




 潔い道具感がこのクルマの魅力。




 印象は先代とあまり変わらない。



視界・扱いやすさ



 視界、グラスエリアは広く、見晴らし良好。ボンネットを視野に確かと収め、易しい車幅感覚で車体を掌握する。スポーツカーのそれとはまた異なる一体感というものがある。




 字発光メーターはサイズ、フォント、サイズとも常識的。妙な装飾感がないのがいい。最新モデルのステアリングから初代のようなキックアップは省かれているが、チルトとテレスコピック調整が可能。



インテリア・ラゲッジ



 前席は、もうここ数年の日産の常でしっとりやさしく身体を支えてくれるタイプ。後述するシャシの特性も相まって乗員の身体は不必要に揺すられず疲労は少ない。合皮仕様のシートには、各席ヒーターが備わる。

前席試乗空間:こぶし1つ半




 後席は、このドンガラのわりに、ゆとりたっぷりではない。必要充分。後席スペースよりもラゲッジスペースに充てていることがわかる。以下画像参照。

後席頭上空間:こぶし1つ半
後席膝前空間:こぶし1つ




 ラゲッジ広大。二段式。スノーボード板は後席中央を倒して4名分を積載し4名乗車で出かけることが可能。ちなみにカタログなどにはドロンコの自転車の画像などが掲載されているが、決してホースの水を室内に撒いてザブザブ洗えるわけではないんだそうな。筆者はできると思っていました。それはやめるようにと釘を刺されました。



エンジン・トランスミッション

 おなじみMR20DEはいつものように滑らかで静か。癖のない走りだが、しかしそれを実現することは簡単なことではない。同一エンジンを複数車種に搭載し量産したことで熟成が進んだ良い例といえる。せっかくだからアイドリングストップが載るとなおいいのに。力は必要充分。これで不足ならさらにユッタリ癒し系QR25DEもあるし、話題のクリーンディーゼルもある。




 CVTとの連携もいい。車重対策からかやや回転をあげて使う設定になっている。歯車式で言うなら、ローギアードということになる。しかし、この種のヘビーデューティーを想定した車種なら、信頼性が高く、一定のギアに固定しやすい歯車式トランスミッションのほうがよりそれらしいと思うがどうか。



足廻り

 確りとしていて軽めのモノコックボディ、そしてスムースにガタつきなく動くアシ。このクルマの乗り心地の法則も他の日産車のそれに沿っている。騒音、振動も少ない。18インチホイールの重さは感じるもののフラットでしなやか、そして充分に配慮された重心高、ロール軸などから腰高の不安も少ない。乗用車からの乗換えにも違和感は少ないだろう。四駆としての性能を確保しながらタウンライドでのコンフォート性能のバランス感覚がとてもいい。




 ハンドルは格別正確ではないがこのタイプのクルマならそれでいいだろう。あえて切った時の正確さに拘らない方が外乱の影響も受けにくいし運転者を神経質にさせない。つまり疲れは少なくなっていく。だが、その方向性とは裏腹に、ステアリングホイールの外径は乗用タイプのクルマと同じと見えて、少し小さい。比較的小径のステアリングで反応の良さを演出しているということなのだろうか?あと1センチでも大きくすれば、例えば、手の微妙な力加減で繊細なコントロールを必要とされるような悪路や雪道での走行性、ドライバビリティにも寄与するはずだ。



結論

 
内容を考えれば価格もリーズナブルだと思う。こうしたクルマの使い道は狭い林道のような場所に入っていく、行かざるを得ないユーザーもいるだろう。となると、決して小さいとはいえないが車幅感覚が掴みやすく、四駆としての性能にも定評があるこのクルマは一定の支持を得るのは然るべきで、事実、山間部にいくとこのクルマのパトロールカーも存在する。そうした能力をマージンとして携え、日々の暮らしに供する、そんな心持がこのクルマの持ち味の一つだろう。






 エクストレイルは既に定評のある本格四輪駆動車だ。しかし、であればこそ、メルセデスのゲレンデやレインジローバーのように高級な設定があってもそれはそれでサマになるんじゃなかろうか、と考えたりする。サファリではデカすぎる、かといってムラーノでもない。ゴツくて硬派なエクストレイルでやるから豪奢な装いもサマになる、その様子はゲレンデやレインジローバーのようなものに、あの雰囲気になるんじゃなかろうか。ましてあの大排気量ガソリンばら撒きグルマよりずっとヘルシー・・・いかがか。





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5段階評価/★★★
☆☆
せめてアイドルストップくらいはほしい(-1)
後席スペースやハンドル径など細かな妥協(?)があること(-1)



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試乗データ

試乗日:2012年1月
試乗車:エクストレイル20Xt(車両本体価格:2,549,400円)
型式:DBA-NT31
エンジン:MR20DE
トランスミッション:エクストロニックCVT
駆動方式:ALL MODE 4×4-i
全長×全幅×全高:4635×1790×1785mm
ホイールベース:2630mm
最低地上高:215mm
最小回転半径:5.5m
車両重量:1530kg
ボディタイプ:5ドアSUV
ボディ色:ダイヤモンドブラック(P)<#G41スクラッチシールド>
内装色:ブラック<Z>/セルクロス・ネオソフィール・パートナー(コンビ)
装着されていたオプション:
 日産純正ナビゲーション/メモリータイプ(MP311D-A)
 フロアカーペット



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メーカーサイト
http://www.nissan.co.jp/X-TRAIL/



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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。






前田恵祐


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