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前田恵祐は2018年5月18日、闘病の末この世を去りました。 故人の意思を尊重し、ブロクは閉じずにそのまま残すこととしました。 以前からの読者の方、初めてブログに訪れてくださった方もこれまでの記事をご覧にっていただけるとありがたく存じます。(遺族一同) 当ブログのURLリンク、内容、文章等を、他のwebサイト、SNS、掲示板等へ貼り付け拡散する行為、印字して配布する行為は、いかなる場合も禁止事項として固くお断りいたします。

#089 高級車は国の鏡なり

レクサスGS250 Iパッケージ ~ 試乗インプレッション(2012.4)
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この試乗記は個人的な印象記です
捉え方や感じ方には個人差があります
ご自身で乗ってお確かめください



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 レクサスは難しい。いろんな事を思わせる。それはトヨタがまずあって、そのあとにレクサスが出来た、作ったという歴史の切れ目があるからだと私は思う。高級車には同じポリシーで長く作り続け、また認められ続けてきたという経緯、というか、説得力が必要。レクサスにはそれが無い。それを必死でカバーしようとしている。それが余計にこのクルマを難しいものにさせている。



エクステリア



 GSの特徴だった独立4灯は放棄され、昨今のレクサスの顔に則ったものになった。そもそもジウジアーロデザインだった初代を下敷きに描き直し描き直しでやってきたGSのデザインには限界があったと思う。しかし今回のデザインは平凡なものの上に差別化のための説明的なモチーフが目立つ。




 横から見るとなんのクルマだかわからない??




 リアもどこかで見たことがある。「これ」というものが定まっていない。




 ここがとくに説明的。いちいち説明しなければならないものはデザインテーマに相応しくない。説明無用なくらい一目で通ずるものでなければ。



視界・扱いやすさ



 ナビの操作はタッチパネルからHS等と同様のリモコン式に。画面は大きく確かに見やすいが、画面を見ながら運転するというのは前方不注意である。画面ありきの考えに私は反対。ただし、操作系を含め、インパネ、コクピットのデザインはシンプルにまとめられていてイヤミがなく常識的。質感も高い。パーキングブレーキは自動。




 ピラーは以前より細いと感じた。このあたり、最近のクルマはまた視界を確保するためにAピラーを細くする方向に向かっている。 



インテリア・ラゲッジ



 オヤクソクのアイボリー色の革内装。レクサスらしいといえばレクサスらしい色。シートは従来のGSより格段に良くなった。

前席ヘッドルーム:こぶし1つ




 GSの後席はあまり重要視されていない。狭いわけではないが広いわけでもない。それはこのクルマがあくまでオーナードライブのパーソナルカーだからにほかならない。後席にふんぞり返りたければほかに選択肢はあるということだ。

後席ヘッドルーム:手のひら2枚/膝前:こぶし1つ




 トランクルームはご覧の通り。



エンジン・トランスミッション

 お馴染み4GR-FSE、2.5リッターV6。今回から新たに搭載された2.5リッターだが、1640kgの車輌重量には必要充分。ガソリン車のATは全車6段なのが意外だったがコストとの兼ね合いか。しかしLSなどのように8段になるとダウンシフトの操作回数が増えるデメリットはある。ま、この手のクルマを買う人は積極的にダウンシフトはしないのかもしれないが。




 ライバルのメルセデスやBMW、アウディも小排気量化の方向だが、レクサスは彼らほど突き詰めてはいなくて、新しいエンジンを起こしたりはせず今のところ手持ちの機材で賄った。エコにはハイブリッド、というスタンスなのだろう。このGS250、保守的な人にもいちおう6気筒だから話しとしては通りやすそうだが、それでもハイブリッドだけではなくガソリンエンジンやディーゼルでも頑張っているドイツ勢が視野に入っているユーザーにとっては物足りないかもしれない。



足廻り



 もしかすると、この項目が新レクサスGSの中で一番個性を発揮しているポイントかもしれない。試乗車はIパッケージで標準の17インチタイアを備えるが、いつにあっても滑らかで優しく、特に突起を通過した後の微かな余韻がいかにも日本車らしい。何が何でも揺れをピタリと抑えようと頑張るより、自然に足を伸縮させたほうが快適だと私は思う。ただし、バネ下重量を感じさせるゴツゴツだけは違和感だった。



結論

 個人的に、高級乗用車の持つポリシー、というより文化性は、もっともっと土着的なものでいいと思う。その国に根差した、その国の人が使うのにピタリと合わさったもの、その国の人の心に寄り添ったもの、それらが自ずと文化になる。レクサスは海外を目指し、海外で受け入れられんがために日本を捨てているようなところがある。ホームステイには英語くらいしゃべれた方がいいが、心の中までガイジンになってしまう必要は無いだろう。つまりそういうことだ。海外にクラウンやセンチュリーをそのまま持っていけばいいという乱暴な話しでもないが、しかし数年前、私がたまたま出向いたトヨタアムラックス東京で居合わせた外国人観光客が、何を差し置いてクラウンやマジェスタ、センチュリーの元に歩み寄っては好奇の目で、しげしげと観察していたということをここに記しておきたい。



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5段階評価/★★★
☆☆
・スタイル、ポリシー(-2)
・エンジン政策(-1)
・優しい乗り心地(+1)



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試乗データ

試乗日:2012年4月5日
試乗車:レクサスGS250 Iパッケージ(車両本体価格:5,500,000円)
型式:DBA-GRL11
エンジン:4GR-FSE
トランスミッション:6段オートマチック(パドルシフト)
駆動方式:FR
全長×全幅×全高:4850×1840×1455mm
ホイールベース:2850mm
最小回転半径:5.3m
車両重量:1640kg
ボディタイプ:4ドアサルーン
ボディ色:ラピスラズリマイカ<8V3>
内装色:アイボリー(本革)+オーナメントパネル縞杢(アガチス/ブラック)
装着されていたオプション:フロアマット他



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メーカーサイト
http://lexus.jp/variation/gs/index.html



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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。







前田恵祐


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