プジョー508 Allure ~ 試乗インプレッション(2012.3)
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この試乗記は個人的な印象記です
捉え方や感じ方には個人差があります
ご自身で乗ってお確かめください
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世の中ではセダン不振だ何だと言われているが、セダンが特別ダメになったというわけではない、私は思う。とはいえ客足が遠退いた特にミディアムセダン、しかし欧州勢はまだまだこの市場は主流だから製品としての力の入り方が、やはり違う。
■ エクステリア
407登場時にはややアグレッシブになりすぎたディティールに賛否分かれたデザインだが、508は407の基本路線をややおとなしめに修正。落ち着いたセダンらしい雰囲気を身につけた。
横から見ると407が見え隠れする。
テールをツルッとさせることでむしろ印象に残るデザインを採るのはプジョーの伝統。
■ 視界・扱いやすさ
10、30、50・・・と刻まれる速度計はフランス流。電気式パーキングブレーキはステアリングコラム右側のレバーにて操作。解除せずともアクセルオンで自動解除する。視界は開けており明かりの採り方がうまいのはフランスならでは。
Aピラーは太いが付け根付近の形状を工夫してあり気にならない。ドアミラーはシートポジションによって下端が内装で隠れてしまうかもしれない。
■ インテリア・ラゲッジ
最初は硬いと思わせるが次第に馴染んで、カラダとトモダチになってしまう不思議な魅力を持つシート。最初からやわらかくて後で型崩れ、というだらしのない某国のクルマとは大違い。安心して身体を委ねられる。これだけでこのクルマを好きになってしまう人がいてもおかしくないくらい。ちなみにシートが良いと評判のフランス車だが、プジョー、シトロエン、ルノー、それぞれ良さの種類が微妙に異なる。
前席ヘッドルーム:こぶし1つ半
サイドウインドウ下端がやや高めで包まれ感はあるものの、前方視界が開けているので居心地としてはまずまずの後席。座面の後傾角、バックレストの角度が適切。
後席ヘッドルーム:手のひら2枚/膝前:こぶし1つ半
トランクルーム。出っ張りを極力少なくしているようだ。
■ エンジン・トランスミッション
例のBMWがらみの1.6リッター4気筒ターボ、このクルマにとってはダウンサイジングエンジン。今輸入されているプジョー車のエンジンはほぼこれかこれのノンターボ。エンジンを統一することでメンテナンスコストが下がるという効果、目的もあるのだろう。おなじみのエンジン、素直な性格で搭載する車体を選ばない良さがあるが、このクルマ、あるいはトランスミッションとの組み合わせだとターボが思いのほか存在感をアピールしていて、もっとゆったり行きたいのに、と思う人もあるかもしれない。音は静か、振動も充分抑制されている。
オートマチックトランスミッションは6段のアイシンAW製だが、シフトプログラムはプジョーからのリクエストに応じたものらしく、たまにキョドったりするあたりがいかにもフランス風味。ハードウエアの信頼性は日本基準だろうが、シフト動作によりトランスミッションにかかるストレスは大きく違うはずだから、その点もお含み置きを。
試乗車としてはこの燃費、悪くないのではないか。JC08モード値を超えている。
■ 足廻り
しなやかなのに華奢でなく、フトコロ深い。キャパシティの高さを感じさせつつも、車体に対してエンジンが軽いせいか前後重量配分にも有利なようで回頭性良く、この大きさを感じさせない身のこなしをもって行く。走りがプジョーしている。ハンドルの径は小さいがギアレシオや初期応答の調整はぬかりなくてデメリットは感じない。路面情報の伝達もかなりしっかりとあり、山岳路でヤル気にさせるタイプ。
タイアはミシュラン製の60扁平16インチだが、やや硬いと感じた。サイズというより銘柄とのマッチングの問題か。
■ 結論
実際にバッティングすることはあまりないのだろうが、大きさも価格もトヨタ・カムリに近いこのクルマ。しかし、双方ともに、スタイル、走り、エンジンなどにそれぞれの国情が反映されていて、比べてみるとキャラクターの違いをはっきり感じる。簡単に言えば、和食にするかフレンチで行くか。どちらもそれぞれに良い。私は良きライバルだと思う。
価格もこの内容の輸入車としては安いと思う。確かに取り立てて目の覚めるような特徴があるわけではないが、大人が乗るミドルサルーンとしての落ち着いた雰囲気と飽きの来ない泰然とした佇まい、付き合うほどに身体に馴染み静かに訪れる魅力、みてくればかりの安物とは一線を引く芯の強さからはフランスの成熟した国民性を感じさせる。いわゆる手厚いつくりの「良品」に触れたいなら恰好の一台になるはずだ。
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■ 5段階評価/★★★★☆
・たまにキョドるオートマ(-1)
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■ 試乗データ
試乗日:2012年3月15日
試乗車:プジョー508・アリュール(車両本体価格:3,740,000円)
型式:ABA-W25F02
エンジン:(ターボチャージャー付直列4気筒DOHC)
トランスミッション:6段オートマチック(+パドルシフト)
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:4790×1855×1455mm
ホイールベース:2815mm
最小回転半径:5.9m
車両重量:1520kg
ボディタイプ:4ドアセダン
ボディ色:エジプシャン・ブルー
内装色:ブラック/ファブリック
装着されていたオプション:フロアマット
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■ 輸入元公式サイト
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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。
前田恵祐
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