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前田恵祐は2018年5月18日、闘病の末この世を去りました。 故人の意思を尊重し、ブロクは閉じずにそのまま残すこととしました。 以前からの読者の方、初めてブログに訪れてくださった方もこれまでの記事をご覧にっていただけるとありがたく存じます。(遺族一同) 当ブログのURLリンク、内容、文章等を、他のwebサイト、SNS、掲示板等へ貼り付け拡散する行為、印字して配布する行為は、いかなる場合も禁止事項として固くお断りいたします。

#106 やりくり上手な軽やかエコカー

スズキ ワゴンR FXリミテッド ~ 試乗インプレッション(2012.9)
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この試乗記は個人的な印象記です
捉え方や感じ方には個人差があります
ご自身で乗ってお確かめください



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 定評のあるクルマのモデルチェンジは難しい。だからこそ今回のワゴンRのスタイリングは保守的で旧モデルと一見見分けがつかないくらいイメージを踏襲する。しかしそれだけではニューモデルとして認知されない。もちろんスズキは今回のモデルチェンジに相応しい内容の新技術をワゴンRに与えてきた。



エクステリア



 初代の”道具感”の潔さも懐かしい。代を重ねるに連れて軽自動車のスタンダードとなる「乗用車」となった。しかし徹底したキープコンセプト。




 並べてみないと旧モデルとの差がわからないかもしれない。




 私にはさっぱり、違いが。



視界・扱いやすさ



 派手な装飾より実用性。メーターパネルにはタコメーターがあるがこれはもはや必要ないのではないか。アイドルストップを確認するくらいにしか用途がないなら、もっと退化させてもいい。駐車ブレーキは足踏み式で解除は二度踏み。運転席のみワンタッチのパワーウインドウ。




 助手席側Aピラー方向の視界はこんな具合。



インテリア・ラゲッジ



 スズキの軽自動車の弱点の一つはシート。率直に言ってこのクルマのシートももう一歩。ソフトだが必要なところの強化が充分でなくかけ心地が頼りない。

前席頭上空間/こぶし1つ半




 このサイズのクルマでこの広さがあればなにも言うことはない。文句なしの広さ。サイドウインドウの下端のラインも今回のモデルチェンジで低められているらしい。視界も良好。

後席頭上空間/こぶし1つ
後席膝前空間/こぶし2つ以上




 後席をスライドしたり倒したりすることで充分な広さを確保できる。



エンジン・トランスミッション

 注目の「エネチャージ」とは、発電機を駆動するタイミングを徹底的に効率化。減速時に発電を集中的に行い同時にリチウムイオンバッテリーに備蓄し、電装品に分配使用する。つまり今のところエンジンそのものに電気の力は加わっていないが、行く行くはハイブリッドが視野に入っているのではないか、そんな予感をさせる。エアコンの冷却機器に保冷剤を用いて従来より長くなったアイドルストップ中の室内冷却を促進しようというユニークなアイデアも。




 走り始めた第一印象の軽やかさが印象的だ。加速時に発電を行なわないことに加え、約70キログラムにもなる軽量化もその一つの要素であろう。昨今のエコカーにアリガチな「モッサリアクセル」を用いずして軽やかにエコカー。ストレスフリー。



足廻り



 サスペンションストロークが短く姿勢変化も多い。ロールセンターが低く頭が大きく振られる。他のハイト系軽自動車も同じだから平均的といえば平均的だが、スズキはアルトでヨーロッパ車をイメージさせるレベルの高いアシをモノにしている。それを考えるともう少しやりようがあったのではないか、そんなふうにも思える。



結論

 エコカーとしてレベルアップしたワゴンR。エネチャージの採用や軽量化など「目に見えないところ」で頑張った結果といえる。走りが軽やかなのもいい。しかし新車としてそれだけでよかったのだろうか。あるいはスズキはワゴンRとしてこれ以上のやりようがないということなのか。スタイリングにせよ走りにせよ、エコカーとしてのレベルアップに留まらない新たな指針や提案があってもよかったのではないか、そんな気がする。






*助手席座面下の収納の更に床下に収められた小型リチウムイオンバッテリー。





10項目採点評価

ポリシー >>> 7
スタイル/インテリア >>> 
エンジン/トランスミッション >>> 
NVH >>> 
ドライバビリティ >>> 
スペース >>> 
先見性 >>> 
社会性 >>> 
良識度 >>> 
バリューフォーマネー >>> 





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試乗データ

試乗日:2012年9月10日
試乗車:ワゴンR FXリミテッド(車両本体価格:1,249,500円)
型式:DBA-MH34S
エンジン:R06A
トランスミッション:CVT
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:3395×1475×1640mm
ホイールベース:2425mm
最小回転半径:4.4
車両重量:790kg
タイア:155/65R14 75S(ダンロップ)
JC08モード:28.8km/L
ボディタイプ:5ドアワゴン
ボディ色:ミステリアスバイオレットパール(ZED)(有料色)
内装色:ダークグレー/布
装着されていたオプション:
     FMAM/CDプレーヤー
     フロアマット



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メーカーサイト
http://www.suzuki.co.jp/car/wagonr/




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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。







前田恵祐


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