忍者ブログ
前田恵祐は2018年5月18日、闘病の末この世を去りました。 故人の意思を尊重し、ブロクは閉じずにそのまま残すこととしました。 以前からの読者の方、初めてブログに訪れてくださった方もこれまでの記事をご覧にっていただけるとありがたく存じます。(遺族一同) 当ブログのURLリンク、内容、文章等を、他のwebサイト、SNS、掲示板等へ貼り付け拡散する行為、印字して配布する行為は、いかなる場合も禁止事項として固くお断りいたします。

#107 多目的なクルマ

トヨタ ポルテ 1.3X ~ 試乗インプレッション(2012.10)

.

この試乗記は個人的な印象記です
捉え方や感じ方には個人差があります
ご自身で乗ってお確かめください



++++++++++++++++++++++++++++++++++++


 使いやすい道具とはどういうものなのだろうか。便利な自動車とはどんなカタチをしているべきなのだろうか。その疑問に対する一つの回答がトヨタ・ポルテにあると思う。徹底したユニバーサルデザインは助手席側の大型スライドドアを特徴として随所に様々な工夫がほどこされている。しかしそこまでする必要があるのか、という思いも、反面あるのは事実である。



 エクステリア



 自動車としての従来の価値観から成る美しさとは程遠い。徹底した使いやすさの追求で、美しさの追求はまったくなされていない。むろんそういうクルマなのだし、買う側もそこは気にしないのであろう。




 運転席側には後席ドアが追加された。




 デザインの美しさはこのクルマにとって重要ではないと見切っている。しかしホンモノのインダストリアルデザインとは機能と美しさの高次元での両立にあることを忘れないでほしい。



 視界・扱いやすさ



 エンジンはスマートキーのプッシュスタート、駐車ブレーキは足踏み式でリリースは二度踏み、パワーウインドウは運転席のみワンタッチ、運転席はラチェット式のリフターを備える。センターメーターがインテリアに溶け込みすぎて意識に入らない。大して見やすいとも思えないし、こうしたところの「ユニバーサル度」が中途半端なのが惜しい。




 Aピラー付近はうまく処理してミラーを前へ移動させた。見やすい位置にあると思う。



 インテリア・ラゲッジ



 シートサイズは適当で短時間ならストレスもなさそうだが、長時間のドライブとなるともう少し腰と尻をがっちりサポートしてほしい気がする。助手席はロングスライドを採用していていろんな位置に固定できるが、それは主に後席へモノを積み込む為の目的であろう。

前席頭上空間/こぶし2つ以上




 前席を通常の位置にあわせれば後席はとても広い。しかしそれはただ広い箱の中にいるというだけで、リラックスできるとか、居心地がいいとか、そうした部分はあまり重要視されていないように思う。

後席頭上空間/こぶし2つ以上
後席膝前空間/こぶし3つ(運転席側)


 後席を倒さないとトランクルームはこんな感じ。バックドアというより、やはりスライドドアからじゃんじゃん積み込んでくださいということか。



 エンジン・トランスミッション



 街中を行くには1.3で充分なパワー。というよりパワーとかトルクとか、そういうことはどうでもいいと思わせるクルマ。原動機付き小部屋のようなもの。エンジンは二の次。試乗グレード(1.3X)にはアイドリングストップ機能を備える。



 足廻り



 路面との当たりが優しく、同時にフラットなライドは昨今のトヨタ味。カローラ・アクシオあたりとも共通性のあるなかなかどうして完成度の高いアシ。ハンドルを切ってもグラリとは来ないし、かといって路面の凹凸を丁寧に吸収して乗員に与えるショックを少なくする努力がなされている。乗れば快適。意外ときっちり走る。



 結論

 このクルマを見ていると、こいつはクルマだとは思わないほうがいいのかもしれないな、と思わされるが、しかし時速100キロ以上でカッ飛ぶことの出来る鉄の箱であることには違いない。自動車の機能が付いた小部屋。しかし厳然として自動車として売られる。自動車は人やモノを運ぶ目的があることは確かだが、このクルマの場合、ことに後ろに積んだ荷物やら赤ん坊やらに注意が向きすぎていて、自動車特有の緊張感が希薄なのだ。運転席に座りシートベルトを締めて「運転するぞ」とスイッチが入る、やはりこれは大事な儀式だと思うのだが、このクルマはその境目が曖昧だ。そいつはことによると危険なことなのではなかろうか。ちなみに、あの大きなスライドドア、駅にある多目的トイレみたいで私はどうにも好きになれない。







 10項目採点評価

ポリシー >>> 6
スタイル/インテリア >>> 
エンジン/トランスミッション >>> 
NVH >>> 
ドライバビリティ >>> 
スペース >>> 
先見性 >>> 
社会性 >>> 
良識度 >>> 
バリューフォーマネー >>> 



--------------------------------------------------




 試乗データ

試乗日:2012年10月18日
試乗車:トヨタ ポルテ 1.3X(車両本体価格:1,550,000円)
型式:DBA-NSP140
エンジン:1NR-FE
トランスミッション:CVT
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:3995×1695×1690mm
ホイールベース:2600mm
最小回転半径:5.0m
車両重量:1120kg
タイア:175/65R15
JC08モード:19.6Km/L
ボディタイプ:3ドア+リアゲートハッチバック
ボディ色:ライトブルーマイカメタリック<8S1>
内装色:プラム
装着されていたオプション:
  ナノイーパッケージ
  スーパーUVカットパッケージ
  スマートエントリーパッケージ
  ドレスアップパッケージ
  HIDパッケージ
  ナビレディパッケージ&ナビゲーションシステム



--------------------------------------------------




 メーカーサイト
http://toyota.jp/porte/


--------------------------------------------------




ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。







前田恵祐


.
 

拍手[1回]

PR