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前田恵祐は2018年5月18日、闘病の末この世を去りました。 故人の意思を尊重し、ブロクは閉じずにそのまま残すこととしました。 以前からの読者の方、初めてブログに訪れてくださった方もこれまでの記事をご覧にっていただけるとありがたく存じます。(遺族一同) 当ブログのURLリンク、内容、文章等を、他のwebサイト、SNS、掲示板等へ貼り付け拡散する行為、印字して配布する行為は、いかなる場合も禁止事項として固くお断りいたします。

#131 どこまで大きくすれば気が済むんだ


マツダ アクセラ スポーツ15S 試乗インプレッション (2013.11)



この試乗記は個人的な印象記です
捉え方や感じ方には個人差があります
ご自身で乗ってお確かめください



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 三代目アクセラである。マツダは常々ヨーロッパを本命視しているところがあり、クルマ作りはヨーロッパ車を手本としているその姿勢が濃厚だ。アクセラはファミリアの時代からゴルフをベンチマークとしてきたが、ここ数年はどちらかというとラテンのライバルも視野に入れているようだ。そのあたりが”パッション”を感じさせるスタイリングに込められているような気がする。早速試乗車のおろされたディーラーに出向いた。


エクステリア



 巧みなデザインでそう感じさせないが、このクルマの全幅は1795mmもある。いったいどこまで大きくすれば気が済むのだろう。ま、それは別として、昨今のマツダデザインに倣って伸びやかなラインを持つノーズとグッと引き締まったキャビン部分の対比がはっきりとしていて、ちょっとクラシックな印象すらある。




 横から見るとその傾向はより顕著。衝突安全の見地からノーズ部分はクラッシャブルゾーンとして稼いでおきたい、しかしキャビンスペースは犠牲に出来ない。デザイナーさんの苦労のしどころだ。




 なだらかな傾斜を持つリアゲート。どっしり落ち着いた印象のあるリアビュー。


視界・扱いやすさ



 BMWのiドライブのようなナビゲーション。空調のスイッチ類は整理されていて明快。チルト&テレスコピックのハンドル。ラチェット式ハイトアジャスターの運転席。パワーウインドウは運転席のみワンタッチ。タコメーターはデジタル表示で中央にアナログの速度計。シンプルで見やすい。全体的にこれ見よがしで凝ったところがなく、機能重視の欧州車然とした雰囲気のダッシュボード。




 Aピラーそのものは決して細くはない標準的なものだが、フロントガラスの隅をきちんと切り込んであり視界はすっきりしている。ドアミラーの厚みはもうちょっと頑張って薄くしたい。




 斜め左後方視界。やはりというかCピラーの太さはいかんともしがたい。だからドアミラーに補助アラームのようなものが備わるわけだ。


インテリア・ラゲッジ



 ダッシュボード全景。先に説明したようにシンプルで機能的。装飾もほどほどで、ある意味このクルマの指針のようなものを示しているダッシュボードではないだろうか。




 内装はこのグレードでは黒の布のみ。運転席のかけ心地はマイルドな印象で、マツダにしては柔らかいかなと思わせるが、時間と共に馴染み、特にランバーサポートがしっかりしていたのが印象的。欧州車もいまや硬いばかりが能ではないというところだから、このへんもトレンドに沿ったかたちか。

・前席頭上空間/こぶし1つ+アルファ




 後席は必ずしも広々ではないが必要充分。前方視界も比較的良い。シートサイズは充分だしケチな印象もなく長距離もこなせよう。

・後席頭上空間/手のひら一枚
・後席膝前空間/こぶし1つ




 床面積はゆとりのあるラゲッジ。横の壁には何が詰まっているのだろう。もう少し掘れるといいのに。しかし全長も4460mmあり、この程度確保されていて、まぁ妥当なところという印象。


エンジン・トランスミッション

 新たに直噴、スカイアクティブとなった1.5リッター。個人的にアクセラの本命はこの1.5だと思っている。話題のディーゼルが載ったり、トヨタの技術供与をうけたハイブリッドが載ったりと話題豊富だが、新技術の真価は小排気量グレードで見るともっともわかりやすい。その意味でこのエンジンは滑らかでトルクもあり、また小排気量で低フリクションだから回して軽快。そのときのエンジン音もなかなかスポーティ。これはそうとう意識して作っているなと感じさせた。久々に気持ちの良いレシプロエンジン、1270kg程度の車重に充分なキャパシティを持っており、これ以上必要だろうかと思わせる。




 本当はスカイアクティブMTの6段で試したかったが、さすがに試乗車には降りてこない。試乗車はスカイアクティブ6段オートマ。しかし以前にも書いたようにこのオートマは発進時以外はほぼロックアップのダイレクト駆動状態で、非常にマニュアルライクな走りをする。乾式クラッチを持つDCTより信頼性に秀で、普通のオートマより燃費もドライバビリティもいいと、良い事ずくめだ。この1.5リッターエンジン、トランスミッションのパワーパックはなかなかの完成度だと思う。


足廻り

 ソリッドで無駄な動きを排し、そのかわりゴツゴツしていて振動も少なくない、というのがこれまでのマツダ車だった。しかしこのクルマはアシがよく動きストローク感がある。また大入力にも負けない剛性も確保されているようで乗り心地がスムーズですっきりとしている。ロードノイズも抑えられていて、それも路面に左右されない。これは試乗グレードのタイアが60タイアだったことも無関係ではないと思うが、以前より確実に進化していることは間違いない。




 ハンドルは例によってセンタリングのはっきりとした手応えのあるもので、こちらはいつものマツダ、良い面を継承している。恐らくタイアサイズをよりローハイトなものにすればもっとグイグイ曲がるであろうと想像する。しかし乗り心地とのバランスで言えばこの60タイア仕様が、比べてはいないが抜きん出ているのではないかと思う。


結論

 聞けば既に先行予約が始まっている中で、人気はこの1.5リッターモデルで、MTの受注率も高いのだという。やはりこうしたコンパクトで品質が高く、しかも軽快で楽しく操ることの出来るクルマというのは、世の中から求められているということだ。その点、きちんと環境性能との融合を果たして、ドライブの楽しさを提唱しているあたりがマツダのマツダたる所以、選ぶ大きな理由になってきていると思う。ハイブリッドやEVばかりがクルマじゃない、ガソリンでもやれるところまでやる、同時にファントゥドライブも実現する。やや大ぶりなサイズは玉に瑕だが、クルマ好きにも、そうでない人にもまんべんなくお薦めできるいいクルマが登場した。






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10項目採点評価

基本ポリシー >>> 8
スタイル/インテリア >>> 7
エンジン/トランスミッション >>> 10
NVH >>> 8
ドライバビリティ >>> 8
スペース >>> 7
気配り度 >>> 7
先見性 >>> 7
完成度 >>> 9
バリューフォーマネー >>> 8
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試乗データ

試乗日:2013年11月8日
試乗車:マツダ アクセラ スポーツ 15S(車両本体価格:1,848,000円)
型式:DBA-BM5FS
エンジン:P5-VPS(直列4気筒1496cc直噴自然吸気)
トランスミッション:トルコン式6段オートマチック
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:4460×1795×1470mm
ホイールベース:2700mm
最小回転半径:5.3m
車両重量:1270kg
タイア:205/60R16 92V
JC08モード:19.4km/L
ボディタイプ:5ドアハッチバック
ボディ色:ジェットブラックマイカ
内装色:ブラック/布
装着されていたオプション:
     ディスチャージパッケージ(68,250円)
      ・ディスチャージヘッドランプ(ハイ/ロービーム:オートレベリング機構付 バイキセノン)
        &ユニット内シグネチャーLEDランプ
      ・LEDリアコンビランプ&ユニット内シグネチャーLEDランプ
      ・オートライトシステム
      ・レインセンサーワイパー(フロント)感度調整式
      ・フロントフォグランプ
     セーフティクルーズパッケージ(84,000円)
      ・スマート・シティ・ブレーキ・サポート(SCBS)&AT誤発進抑制制御
      ・クルーズコントロール
      ・リア・ビークル・モニタリングシステム(RVM)
      ・自動防眩ルームミラー



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メーカーサイト

http://www.axela.mazda.co.jp/
試乗時点ではまだ新型が正式発売されていないので、キャプチャは旧型です。



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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。







前田恵祐



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