忍者ブログ
前田恵祐は2018年5月18日、闘病の末この世を去りました。 故人の意思を尊重し、ブロクは閉じずにそのまま残すこととしました。 以前からの読者の方、初めてブログに訪れてくださった方もこれまでの記事をご覧にっていただけるとありがたく存じます。(遺族一同) 当ブログのURLリンク、内容、文章等を、他のwebサイト、SNS、掲示板等へ貼り付け拡散する行為、印字して配布する行為は、いかなる場合も禁止事項として固くお断りいたします。

#133 Wild but Formal Season3

 
トヨタ ハリアー2.0 エレガンス(2WD) 試乗インプレッション(2014.1)




この試乗記は個人的な印象記です
捉え方や感じ方には個人差があります
ご自身で乗ってお確かめください



++++++++++++++++++++++++++++++++++++


 二代目のモデルライフは長く10年作り続けられた。めまぐるしく変化する市場ニーズに対応しながら定番SUVとしての地位を不動のものとした観のあるハリアー。こうして三代目を迎えることが出来たのは初代から続くコンセプトにブレがなかったことと、読みが当たっていたからでもあるだろう。つくづく、トヨタの巧さを感じさせるクルマだ。


エクステリア



 細部に違いはあるものの、概ね従来型を踏襲したデザイン。でしゃばり過ぎず落ち着きすぎず、程好く上質感を感じさせる雰囲気作りはこのクルマならではだ。




 サイドプロポーションはさらに新旧の判別がつかない。それはけっして悪いことではない。




 テールライトはちょっと今風のキレ長なデザイン。Cピラーの処理に歴代のアイデンティティが現れているように思う。



視界・扱いやすさ



 着座位置は高めだがダッシュボードのデザインは包まれ感を重視したタイプ。パワーウインドウは全席ワンタッチ。ハンドルはチルトとテレスコピックを手動調整。シフトレバーは歴代同様インパネに設置されているがコンソールの操作系への動線干渉は少なめ。エアコンの操作は例のタッチパネルだが、温度調節などの使用頻度の高い部分には凹凸が付けられており、配慮が伺える。ディーラーオプションナビは9インチディスプレイ。運転席は8ウェイパワーシート。個人的にはもう少しヒップポイントが低く出来れば、という気もする。




 Aピラーの存在感は控えめでガラスへの映り込み対策もなされている。サイドミラーの下部にある小型ミラーは狭い場所での幅寄せにも有効。大振りなボディサイズにして取り回しは良好。




 目視後方視界。Cピラーに埋め込まれた小さなウインドウが思いのほか効果的。



インテリア・ラゲッジ



 乗員を包み込むような形状のダッシュボード。柔らかな曲線と丁寧な縫製仕上げでぬくもりを表現している。演出過剰でなく、優しくゆったりとした雰囲気作りに成功している。




 前席のサイズはおおぶりで、大柄な筆者でもゆとりを感じさせる。試乗グレードはエレガンスで、標準仕様の合皮+ファブリック。とくに中央部のファブリックはやや張りを持たせた仕立てで腰や尻とのフィッティングがよく、滑らない。全体的なホールド感も上々。

・前席頭上空間/こぶし1つ+アルファ




 後席はやや硬めで平板な気もするが、リクライニング調整も効くので満足の行く姿勢は取れそう。前席越しの視界はあまり開けている方ではない。

・後席頭上空間/こぶし1つ
・後席膝前空間/こぶし1つ+アルファ




 ラゲッジスペースは奥行き充分にして床下スペースも深い。もちろんこれはスペアタイアを備えないことによる。後席背もたれは6:4分割可倒でフラットになる。



エンジン・トランスミッション


 3ZR型バルブマチック付きエンジンはウィッシュやアベンシスワゴンとも共通のもの。かつては2.4リッターが収まっていたが今は2リッターで行く。しかしこのエンジン、予てからの好印象そのままで、どの領域でもトルクフル。同時に静かで滑らかとなかなか優秀な実用エンジン。このクルマのゆったりとした走りの演出に一役買っている。試乗中の燃費はちょうど10.0km/Lの表示だった。



足廻り


 乗り心地は基本的にしっとりとしてしなやか。しかし大入力を正直に伝えてくるという落差があるのはいつものトヨタ車。フリクションの少ないストロークによる鷹揚とした立ち居振る舞いはなかなかの雰囲気。ハンドルは特別クイックではないものの舳先の軽さを感じさせる。全体的に大人っぽくゆったりとした気持ちにさせながら、同時に軽やかさも忘れていない、という印象にまとめられている。



結論

 大人っぽく程好い雰囲気にまとめられたミディアムサイズのSUV。ど真ん中の直球勝負だがそれを堂々とやってのけるあたりがトヨタの自信というものだろう。今回試乗したのはガソリン車だったが、ハイブリッド車も以前より買いやすく展開されており、そちらも気になるところだ。ガソリン車について言うことがあるとするなら、もっと、攻めたかたちで小排気量化、ダウンサイジングを敢行してもよかったのではないかということ。このクラスで2リッターではまだまだ従来の常識の範囲だ。これを1.8といわず、1.6の直噴あたりでも充分走るんだぜ、というところを見せ付けてもよかった。不可能ではないと思うのだが。






10項目採点評価

基本ポリシー >>> 7
スタイル・インテリア >>> 8
エンジン・トランスミッション >>> 7
NVH >>> 7
ドライバビリティ >>> 8
スペース >>> 7
気配り度 >>> 8
先見性 >>> 7
完成度 >>> 8
バリューフォーマネー >>> 8



--------------------------------------------------



試乗データ

試乗日:2014年1月21日
試乗車:ハリアー2.0エレガンス2WD(車輌本体価格:2,800,000円)
型式:DBA-ZSU60W-ANXMP
エンジン:3ZR-FAE(2リッター直列4気筒、バルブマチック付き)
トランスミッション:Super CVT-i
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:4720×1835×1690mm
ホイールベース:1660mm
最小回転半径:5.3m
車輌重量:1580kg
タイア:225/65R17
JC08モード燃費:16.0km/L
ボディタイプ:5ドアSUV
ボディ色:ダークスチールマイカ<1H2>
内装色:ブラック(ファブリック(上級)+合成皮革)
装着されていたオプション:
     9インチスマートナビ[NSTZ-Y62G](278,640円)
     バックガイドモニター(28,080円)
     ETCビルトインタイプ[ナビ連動](25,812円)
     サイドバイザーワイドタイプ(26,028円)
     フロアマット[エクセレントタイプ](39,960円)
     エアロパーツセット[Styling Package Ver.1](134,400円)
     リアスポイラー(37,800円)
     メッキグリル(48,300円)
     ロアグリル(シルバー塗装)(23,100円)



--------------------------------------------------



メーカーサイト

http://toyota.jp/harrier/



--------------------------------------------------



ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある仕様や評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をして、よくお確かめください。






前田恵祐



.

拍手[4回]

PR