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前田恵祐は2018年5月18日、闘病の末この世を去りました。 故人の意思を尊重し、ブロクは閉じずにそのまま残すこととしました。 以前からの読者の方、初めてブログに訪れてくださった方もこれまでの記事をご覧にっていただけるとありがたく存じます。(遺族一同) 当ブログのURLリンク、内容、文章等を、他のwebサイト、SNS、掲示板等へ貼り付け拡散する行為、印字して配布する行為は、いかなる場合も禁止事項として固くお断りいたします。

#147 高性能とは、ときに贅沢だ


スバル WRX STi TypeS 6段マニュアル 試乗インプレッション (2014.9)



この試乗記は個人的な印象記です
捉え方や感じ方には個人差があります
ご自身で乗ってお確かめください



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 これまたインプレッサからの派生車種ではあるが、独立したネーミングを与えられた「WRX」の最新モデルである。むろんWRCでの経験が礎になっていることを示しているが、現在はラリーに出ているわけではなく、ニュルブルクリンク24時間レースに出ている。ランチアはもはやインテグラーレを出していないが、スバルはいつまでもラリーが拠りどころなのだ。それを変わらない良さと取るか、新しいものを生み出せない限界と取るか・・・



 エクステリア



 試乗グレードであるタイプSはBBS製鍛造アルミホイールに大型ウイングを備えるところが識別点。基本的にインプレッサやレヴォーグと共通イメージ。




 小さく見えるホイールは18インチ。




 大型リアウイングはこう見えてあまり視界に支障しない。



 視界・扱いやすさ



 原則としてインプレッサやレヴォーグと同じインパネ。赤く光るメーターパネルが「リアルスポーツ」の証。ハンドルはご覧のとおり太いグリップでゴツいがエアバッグをコンパクトにまとめてあって余計な慣性がかからない操舵感。チルトとテレスコピックの調整が可能。ダイアル式の空調コントロールは一撃で操作できたいへんよろしい。6段マニュアルのシフトは短く確実な印象。パワーウインドウは全席ワンタッチ。




 Aピラーは細めでブラックアウトされているのがいい。



 インテリア・ラゲッジ



 凝ったデザインではないが厭味のないすっきりとした印象のダッシュボード。黒系しかないのはちょっと物足りない。




 運転席は電動調整で好みのポジションを得られる。ランバーサポートと体圧の分散が優れ、快適かつホールド感も良好。インプレッサもレヴォーグも全車このシートにしてほしいくらい。

・前席頭上空間/こぶし1つ半




 後席もおざなりでなく、硬めだがきちんと身体を支えてくれる。前方視界も良好。

・後席頭上空間/手のひら1枚
・後席膝前空間/こぶし1つ半




 AWDで、かつダブルウイッシュボーンサスを持ちながらラゲッジスペースへの侵食は少なく、広い。



 エンジン・トランスミッション



 じつはこのWRXのマニュアル車、エンジン形式は「古き良き」”EJ20”である。マニュアルギアボックスとのマッチングを新型エンジンにおいてはまだ行なっていないとのことで、このエンジンが再登用された。以前よりもフレキシブル性は高くなっていて、交差点を3速で曲がれるくらいの粘りに、高回転でのシャープさや爆発力もそのままと、このクルマの性格に相応しいだけのものにはなっている。しかもそこそこ踏み込んで走った市街地燃費もそんなに悪くない。6段マニュアルは軽快なシフトを可能とするが、ひとつだけ注文があるとしたら、それはクラッチのトラベルがやや長いことだろうか。ボンネットはダンパーで支える。





 試乗中の燃費は7.3Km/L。



 足廻り



 BBS製鍛造アルミホイールにビルシュタインという王道の組み合わせ。硬いというより良く引き締められており無駄な動きが排除されているだけでなく、当然のように高い剛性と動作精度の高いダンパーのおかげで振動も少なく快適ですらある乗り心地。ハンドルのギア比はクイックになっていて中立からの反応も素早いが切り増しなんか屁でもないという余裕。



 結論

 このクルマを屈伏させるような走りが出来るシーンはそうそうないし、そんな腕を持っている人はほんの一握りだからチャレンジなどしないほうがいい。しかし、オーバースペックとは即ち貯金であり、それは気持ちのゆとりにつながる。







 実用的な条件を満たしていればそれでいい、という考え方はある。それはじつに合理的なことだが、一方で動力性能やハンドリング、ブレーキに大きな余裕を蓄えた上で走るというのは、ある意味で贅沢なことだ。贅沢とはなにも豪奢なインテリアばかりではない。過剰なる性能を所有する満足感は高級車の条件の一つになるのではないだろうか。





 10項目採点評価

ポリシー >>> 8
スタイル・インテリア >>> 6
エンジン・トランスミッション >>> 9
NVH >>> 8
ドライバビリティ >>> 8
スペース >>> 8
気配り度 >>> 8
先見性 >>> 6
完成度 >>> 9
バリューフォーマネー >>> 8




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 試乗データ

試乗日:2014年9月14日
試乗車:スバル WRX STi Type S (車輌本体価格:4,179,600円/OP含む)
型式:CBA-VAB
エンジン:EJ20(水平対抗4気筒1994ccターボ)
トランスミッション:3ペダル6段マニュアル
駆動方式:AWD
全長×全幅×全高:4595×1795×1475mm
ホイールベース:2650mm
車輌重量:1490kg
最小回転半径:5.6m
タイア:245/40R18
JC08モード燃費:9.4km/L
燃料タンク容量:60L(無鉛プレミアムガソリン)
ボディタイプ:4ドアセダン
ボディ色:クリスタルホワイト・パール(32,400円高)
内装色/素材/:ブラック/アルカンターラ・本革
装着されていたオプション:
     ウエルカムライティング&サテンメッキドアミラー
     運転席パワーシート
     フロアマット





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 メーカーサイト

http://www.subaru.jp/wrx/sti/




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ご留意ください
この試乗記はあなたの試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある仕様や評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をして、よくお確かめください。











前田恵祐



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