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前田恵祐は2018年5月18日、闘病の末この世を去りました。 故人の意思を尊重し、ブロクは閉じずにそのまま残すこととしました。 以前からの読者の方、初めてブログに訪れてくださった方もこれまでの記事をご覧にっていただけるとありがたく存じます。(遺族一同) 当ブログのURLリンク、内容、文章等を、他のwebサイト、SNS、掲示板等へ貼り付け拡散する行為、印字して配布する行為は、いかなる場合も禁止事項として固くお断りいたします。

#121 標準的軽自動車


日産デイズ・ハイウェイスターG ~ 試乗インプレッション(2013.6)

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この試乗記は個人的な印象記です
捉え方や感じ方には個人差があります
ご自身で乗ってお確かめください



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 各メーカー軽自動車に本腰だ。顧客の気分は「最小限」「身の丈」の概念を具現化している軽自動車こそ現代のマイカーだから、仮にリッターカーより高くとも、その売れ行きには勢いがある。日産は三菱と組み現代におけるベーシックなカタチのワゴン型軽自動車を仕立ててきた。それが、今月発売されたデイズである。三菱ではeKワゴンとして売られ、価格設定も微妙に異なるという。今回はちょっとダンディな仕立ての「ハイウェイスター」でデイズの乗り味を確かめてきた。
エクステリア



 すっきりとした厭味のないフォルム。裏を返せば特徴が無いとも言えるが、ノートがそうであるように、オーソドキシィを敢えて狙ったものなのだろう。日産自ら関わった初めての軽自動車として常識的なセンで行こう、というわけだ。ハイウェイスターの顔はちょっとイカツイ、ミニエルグランドといったふぜいだが、こうしたものも用意しなければいけない中で、個人的にはいじり倒していないセンスの良さを感じる。




 もうどこの軽だかわからない。




 ダイハツでもない、スズキでもない何かを表現できないだろうか。



視界・扱いやすさ



 珍しくタコメーター付き。運転状況を葉っぱで知らせるのは他と同様。パワーウインドウは運転席のみワンタッチ。チルトステアリングを備え、運転席はダイアルで座面の高さを変えられる。エアコン操作部分はグラフィック表示が目を引くがべつにそのグラフィックをタッチしてスマホのように操れるわけではなかった。ON、OFF、強弱は別途操作パネルがある。




 Aピラー方向。三角窓はあるが小さめ。ピラーも頑張って細くしようという意思を感じない。




 斜め後方。Cピラーの形状などに工夫があり、見えやすいほう。



インテリア・ラゲッジ



 前席のサイズは標準的でかけ心地もこれといって違和感も無いが特徴も無い。日産が作ったのだから、と感じさせるなにかがこのあたりに現れていると積極的に奨められるポイントになるのだが。そこは普通。
前席頭上空間/こぶし2つ




 後席の広さはちょっとしたものだ。頭の周囲が広いのとフロアスペースの採り方がうまく平たい床面を広く視認できるため、視覚的にも有利。シートのサイズも軽自動車としては頑張っている方だと思う。
後席頭上空間/こぶし1つ
後席膝前空間/こぶし2つ




 ラゲッジはこんな具合。後席のスペース重視。



エンジン・トランスミッション



 NA3気筒エンジン+CVT。燃費の為とはいえ、エンジンが止まったりかかったりがせわしない。しかもそれぞれの瞬間にショックがつたわってくるからさらにその印象に拍車をかける。エンジンは低速トルクが充分でなく、CVTの制御も上手く行っているとは思えない。全般的にスムーズネスを欠き、主にストップアンドゴーの続く市街地でより顕著。ある程度の速度に達してしまえばまぁまぁスムーズだが、街中でスムーズでない、というのはちょっとイタい。音、振動もとりたててアドバンテージは感じなかった。



足廻り



 ハンドルの手応えは甘めだがキビキビと立ち回る。極端にサスペンションストロークを殺していないようで、フラット感、ロールに対するチェックもほどほどに行き届いている。剛性感や路面からの振動の処理なども、まぁ普通。



結論

 リッターカー以上の普通車を作っている日産の目で作られた軽自動車。故に軽自動車の既成概念にとらわれず、相応のクォリティが与えられているだろうと期待していたのだが。あらゆる点で現代の、しかも既存の軽自動車の標準を満たしているに過ぎないクルマで、このクルマならではというものに乏しい。声高に「日産のすべてをつぎ込んで」というような宣伝をしているが、それはもしかするとコストダウンの技術なのかもしれない。先日乗ったスズキ・スペーシアが期待以上に頑張っていたことを思うと、これでいいのかいな、と思わざるをえない。






10項目採点評価

基本ポリシー >>> 6
スタイル/インテリア >>> 7
エンジン/トランスミッション >>> 5
NVH >>> 7
ドライバビリティ >>> 4
スペース >>> 8
気配り度 >>> 7
先見性 >>> 6
完成度 >>> 5
バリューフォーマネー >>> 5



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試乗データ

試乗日:2013年6月14日
試乗車:デイズ・ハイウェイスターG(車両本体価格:1,379,700円)
型式:DBA-B21W
エンジン:3B20
トランスミッション:エクストロニックCVT
駆動方式:FF
全長×全幅×全高:3395×1475×1620mm
ホイールベース:2430mm
最小回転半径:4.7m
車両重量:840kg
タイア:165/55R15 75V
JC08モード:29.2km/L
ボディタイプ:5ドアワゴン
ボディ色:プレミアムパープル(P)<#VYN・特別塗装色>
内装色:布/エボニー



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メーカーサイト



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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。





前田恵祐



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