この試乗記は個人的な印象記です
捉え方や感じ方には個人差があります
ご自身で乗ってお確かめください
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迷えるレクサスが放った新しいIS。メルセデスCクラス、あるいはよりBMW3シリーズを意識したクルマで、そのルーツはアルテッツァである。最初は硬派なスポーツセダンだったが、ライバルがグレードアップするにつれて国内でもISとして高級路線を歩むようになった。レクサスというブランドは、大衆車メーカーであるところのトヨタ自動車がチャレンジするプレミアムブランドである。ブランド誕生から二十余年、高級乗用車に必要な「歴史」はまだ浅いというのが事実である。新しいISをハイブリッドモデルで確かめてきた。
■ エクステリア
いぜんとして「説明的」。一目に「美しい」と納得させるものになっていないという時点で、自らの立ち位置、価値観の未消化ぶりがうかがえる。裏を返せば迷えるレクサスを端的に説明できてしまう部分でもある。レクサスのデザインはいまだもって弱い。
造形の美しさ、良く考えられたプレス、陰影、また工作精度などは認められる。
このテールデザインは、良くやったと思う。ユニークだが美しさが端的に現れている。
■ 視界・扱いやすさ
Fスポーツは専用メーター。ドライブモードを「スポーツ」側にセットするとタコメーターを強調したデザインになるもハイブリッドだから「0」を指している時間が長い。それを確認するにはいいかも。電動チルト、テレスコピックのハンドル。全席ワンタッチのパワーウインドウ。シートは8ウェイの電動調節でランバーサポートも電動。GSのダッシュボードは新しい感覚があり、かつ上品でなかなかいいなと思ったが、このクルマはスポーティな性格ということでかニーパッドもそなわるコクピット感覚。
Aピラーを細くしよう、見やすくしようという施策は最近のトヨタ全般の傾向。
■ インテリア・ラゲッジ
前席はスポーティな専用バケットタイプで、試乗車はトパーズブラウンと呼ばれるタン色の本革張りだった。サポートはいいがサイドが高く立っており、乗り降りを繰り返すと磨耗して擦り切れてしまいそうだ。
前席頭上空間/手のひら2枚(電動ムーンルーフ付き、以下同)
後席は旧モデルより拡大されているようで窮屈感はやわらいだ。広々というわけではないが、充分に大人がくつろげる。背もたれ、座面の角度が適切。前席のヘッドレストは大きいが前方は良く見える。
後席頭上空間/手のひら1枚
後席膝前空間/こぶし1つ半
トランクルーム。ゴルフバッグ4つは入らないという。後席は6:4の分割可倒。
■ エンジン・トランスミッション
クラウンと同じユニットのはずが、やはりレクサスということなのか静粛性とスムーズさが一枚上手という気がする。モーター単体の出力を感じることの出来る力強くなめらかな発進加速はハイブリッドカーならではで、それを後輪駆動で味わえることもポイントである。パワートレイン全体がスムーズで、パワーユニットの特性を最大限生かしている。
■ 足廻り
Fスポーツのネーミングから想像するよりずっとマイルド。あまりタイアをゴリゴリさせすぎて疲れさせてはいけない、というのがレクサスのポリシーなのだろう。クラウンでも感じたが4気筒エンジンのためハナが軽く、機敏に立ち回れる。サスペンションが綺麗にストロークしていて、取り付け部分の剛性やブッシュ類のチューニングも行き届いており気持ちの良い走りだが、サスペンションストロークはまだまだ短いようで、この種のクルマとしてはピッチングの周期が短いのが少し気になった。
■ 結論
ハードウエア全体の完成度はとても高いと思う。充分に外国勢のライバルと向こうを張れるだけのものがあるだろう。そんなとき、トヨタお得意のハイブリッドは、アドバンテージというより、日本車ならではの個性という位置づけになりそうだ。
唯一弱いデザイン。迷っているのは良くわかる。もがいているのもよくわかる。でも高級車としてのアイデンティティは頑張ってひねり出そうとして出せるものではなく、外国のライバルの多くは自らの歩んだ時間と共に育んできたもの。レクサスはあくまで「フォロワー」だから悩んだりもがいたりしながら急いで見つけなければならない。そこがレクサスの持って生まれた苦しみではあると思う。しかし、焦らず大樹を育む気持ちで独自の価値観を見出して欲しい。
■ 10項目採点評価
基本ポリシー >>> 7
スタイル/インテリア >>> 7
エンジン/トランスミッション >>> 9
NVH >>> 8
ドライバビリティ >>> 10
スペース >>> 7
気配り度 >>> 7
先見性 >>> 7
完成度 >>> 8
バリューフォーマネー >>> 7
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■ 試乗データ
試乗日:2013年6月17日
試乗車:レクサスIS300h "F SPORT"(車両本体価格:5,380,000円、オプション除く)
型式:DAA-AVE30
エンジン:2AR-FSE+1KM
トランスミッション:電気式無段変速機
駆動方式:FR
全長×全幅×全高:4665×1810×1430mm
ホイールベース:2800mm
最小回転半径:5.2m
車両重量:1670kg(試乗車1690kg)
タイア:前:225/40R18 88Y 後:255/35R18 90Y
JC08モード:23.2km/L
ボディタイプ:4ドアセダン
ボディ色:ソニックチタニウム
内装色:トパーズブラウン/"F SPORT"専用本革
装着されていたオプション:
プリクラッシュセーフティシステム(ミリ波レーダー方式)(63,000円)
クリアランスソナー(42,000)
"マークレビンソン"プレミアムサラウンドサウンドシステム(234,150円)
本革内装/トパーズブラウン(325,500円)
電動ムーンルーフ(105,000円)
リアスポイラー(47,250円)
フロアマット(88,200円)
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■ メーカーサイト
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ご留意ください
この試乗記は貴方の試乗を代行するものではありません。
感じ方や考え方には個人差があります。
また、製品は予告なく改良される場合があり、
文中にある評価がそのまま当てはまらない場合もあります。
購入前にはぜひご自分で試乗をしてよくお確かめください。