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前田恵祐は2018年5月18日、闘病の末この世を去りました。 故人の意思を尊重し、ブロクは閉じずにそのまま残すこととしました。 以前からの読者の方、初めてブログに訪れてくださった方もこれまでの記事をご覧にっていただけるとありがたく存じます。(遺族一同) 当ブログのURLリンク、内容、文章等を、他のwebサイト、SNS、掲示板等へ貼り付け拡散する行為、印字して配布する行為は、いかなる場合も禁止事項として固くお断りいたします。

#195 ホンダ・シビックセダン ~ 試乗 〈2017.11〉



この試乗記は個人的な印象記です
捉え方や感じ方には個人差があります
ご自身で乗ってお確かめください

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 シビックというクルマ 

 元来小型車のホープであったところのシビックも年々大型高級化を歩み、いまやミドルクラスの高級サルーンという位置づけになった。ホンダとしても小型で若々しいのはフィットあたりに任せて、このクルマは大人向けの高品質で価格相応のつくりを持つ車種、と、したい反面、シビックというブランドゆえにスポーティな車種への固定イメージを無視することができず、マニュアル車を用意してみたり、タイプRを作ってみたりと、まあ気を使って作っているという感じだろうか。


 外 装 



 現代のクルマとしてはあまりゴテゴテとプレスが入ったり、無駄な造形をほどこしたりせず、シンプルな構成。顔つきはあいかわらずツリ目。これにはもう飽きた。新しいアイデアが欲しいし、そうした常識となったものを突き崩す発想力や提案力というモノが欲しい気がする。




 ちなみにこれはセダンである。と言われてもわからないくらいハッチバック然としているのは昨今の流行り。フォルムは流麗で実物はなかなかエレガント。




 リアエンドもあまり演出が過剰になっておらず、作為的なデザインに走っていないところがいい。タイアはオプションの17インチ。


 運 転 席 



 メインのメーターはフル液晶表示。内容も整理されていて瞬読も容易ではないだろうか。視力の低下した世代にも優しいと思う。ホンダはスマホ式タッチパネルのエアコン操作部を積極展開するが、このクルマは通常のスイッチ、ダイアル。これのほうがいい。シフトレバーはロック解除ノブのあるストレートパターン。駐車ブレーキはシフトレバー右脇の電気式スイッチ。センターコンソールは高くいささか仰々しく立ちはだかっているが、電池が入っているわけでもなし、ただの造形。ステアリングは手動のチルト&テレスコピックで調整幅は大きい。ステアリングスイッチは現代のクルマとしては整理されている方か。パワーウインドウは前席のみワンタッチ。子供が乗って「危ない」となった時に咄嗟に作動を止められる、これも見識と思う。




 Aピラー方向の視野。Aピラー内装は白いが、角度が良くあまりガラスに大写しにはならない。サイドミラーは撫で肩形状にあらずイカリ肩であり、斜め後方の視野確保の助けになる。総じて内装の映り込みも少なく、その点のストレスは少ないと思われる。




 さすがにサイズにゆとりもあるため、不自然なところはないペダル周り。ブレーキ操作時に感じたのは、ペダルそのものの肉厚の薄さ。分厚すぎてつま先が引っ掛かり気味だったりするクルマもあるが、このクルマに乗ると肉厚の薄さやペダルそのものの高さも適切でストレスがないことに気が付ける。見た目の立派さなど関係ないと言ってしまいたくなる。このクルマ特有とか、特別にそうしてあるわけではないと思うが。




 目視後方視界はご覧の感じ。リアガラスに後席後方のボードが映り込み気味だが、総じて視界確保には配慮が感じられる。


 内 装 



 ダッシュボードは圧迫感が少なく、スカットル高も今のクルマにしては低めに感じられた。過剰な造形や装飾より、材質感で勝負している印象。大人っぽい。ここまで来ると、内装色やウッドの種類が選べたりするといいのに、というような気分にも。つまりそういう品質感のある室内。ペナペナでない。




 前席シート。第一印象はサイズが小さくストロークも少ない感じがするが、次第次第に身体に馴染み良好なフィット感を味わえる。振動や突き上げの減衰にも長けていて、ドイツ車のようにガッシリでもなく、アメ車のように大らかすぎず、そう、イタ車、昔のではない現代のフランス車のような感じのシート。絶妙。パワーシートによって各部角度などの調整はお好みのまま。ぜんぜん安っぽくない。

 前席頭上空間:こぶし2つ




 見た目では座面の薄さが気にならないでもないが、座ってみると底づき感もなく、かといってしなやかでもあり、角度も不自然でなくアイポイントの調整もよろしく前がちゃんと見える。トランクスルーあり。ちゃんとしたサイズとつくりのヘッドレストもプラス点。

 後席頭上空間:手のひら2枚
 後席膝前空間:こぶし3つ(前席筆者着座位置設定時)




 間口は狭いが、対して奥行幅ともに広大。ヒンジがアームなのは少々ザンネン。


 走 り 



 と、ここで初めてカタログの諸元欄をみると、ハッチバックはUK製でエンジンはハイオク仕様であり、馬力はあるが燃費はやや落ちる設定。今回乗ったセダンは、レギュラーガソリン仕様でパワーはやや落ちるが燃費が伸びる設定。統一しないのは性格付けか、あるいはメーカーのご都合か不明。まあ、それはどっちでもいい、というくらい、エンジンは魅力的だった。


 低速域からのナチュラルなレスポンスと、言うなれば「エンジン感」。最近のガソリン車はEVなのかHVなのかわからないくらい吸排気を意識させないが、このエンジンは空気を吸って吐いてをやって馬力を出しているという感じがとてもする、そういうキャラクターのエンジン。かといって煩いとか振動が大きいというものではなく、スムーズだし、静かだが、同時にエンジン車を敢えて選んだ値打ちを感じさせる。同じエンジンでも搭載するクルマによって印象がこうも違うものか、とも思った。


 CVTもむやみに低回転に釘付けにするようなところがなく、適度に中速域まで行ったり来たりしながら、これまた自然な振る舞いとともに走らせてくれるから、一言にストレスがなく自然なフィーリング。やっぱりエンジン車はいいなあ、と思わせてくれた。




 走行ルートは80%が市街地で渋滞あり。残りは高速で大人しく巡航。この平均燃費表示は渋滞中に撮ったものだが、もっと伸びて、17Km/L台は簡単に見ることが出来ると思う。アイドリングストップを備えるが、停止時のブレーキの力加減でエンジンを止めずに置くこともできるし、そこはある程度ドライバーの意思を受け付けてくれる。




 足廻りの印象もフツウにイイ。当たり前のように振動騒音の処理に長けているだけではなく、自然なストロークとロールなどの姿勢変化、その時のスタンスはさすがロー&ワイドなディメンションを持つだけのことはある。フラット感が非常にうまく演出されており、芯が強いのにしなやか、軽やかに振舞う仕草はちょっと日本車離れしていると思う。そう、ワーゲンを通り越し、アウディやBMWの領域に近いんじゃなかろうか。つまり、ライバルはそういうクルマたちである。乗ってみると自然すぎて気が付けないかもしれない。でもかなりレベルは高いと思う。



 結 論 

 シビック、というだけでスポーティで若々しい銘柄であるという「刷り込み」に、メーカーは苦慮しているのではないだろうか。むろん、その「刷り込み対策」としてタイプRのようなクルマもこしらえておきつつ、標準グレードに乗ってみれば欧州車と肩を並べる完成度をもつ、これはもうプレミアムカーの領域に達しつつある、もうひとりのシビックを見つけることができるはずだ。


 正直、値段を見てこれは安いと思った。例えば、ワーゲンやアウディ、プジョーやルノーのようなクルマを考えているのだとしたら、こちらも「乗ってみる」ことをおすすめする。どうかひとつ、先入観を捨てて乗ってみてほしい。


 つまり、そういうクルマである。







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 筆者が感じたシビックセダンの「良かった点」
・自然な仕上がりは同時に、ジミにハイレベル
・エンジン・トランスミッション
・エレガントなフォルム

 筆者が思うシビックセダンの「良くして欲しい点」
・外寸をもっと小さくして欲しい
・内外装色のバリエーションを増やして欲しい
・タイプRばかりが注目されすぎること



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 参考データ

試乗日:2017年11月17日
試乗車:ホンダ・シビックセダン
車両本体価格:2,882,520円(本革内装・17インチタイアホイールのOP含)
型式:ホンダDBA-FC1
エンジン:L15B/水冷直列4気筒横置 直噴VTECターボ
駆動方式:FF
トランスミッション:CVT
全長×全幅×全高:4650×1800×1415mm
ホイールベース:2700mm
車両重量:1320kg
最小回転半径:5.3m
装着タイア:215/50R17 91V(BSトランザER33)
JC08モードカタログ燃費:18.6Km/L (無鉛レギュラーガソリン)
ボディ色:ホワイトオーキッドパール
内装色:ブラック(本革/メーカーオプション)
装着オプション:フロアマット(60,264円)
        ドアバイザー(34,128円)
        ナビゲーション185VFI(184,680円)
        TVフィルムアンテナ(7,020円)
        ナビATT(2,160円)
        ETCセットアップ(2,700円)



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 メーカー公式サイト

http://www.honda.co.jp/CIVIC/






2017.11.17 記
前田恵祐

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